10%の利回りを誇る米国ETF【YYY】【ZMLP】2本を紹介します。
米国ETFはVTIやS&P500のように、安定して長期でリターンを取りに行くETFもあれば、それらをコアにしてサテライトとして配するに適したETFもあります。いずれにせよ、その多様性は世界一です。
弊ブログでは普段、コアになるようなETFをご紹介しつつ、債券ETFや商品系のETFも記事にしています。今回は、あまりメジャーではないですが、その利回りの高さで目を引く2つのETFを記事にしてみました。いずれも日本のネット証券でも買うことができます。
イールドシェアーズ・ハイインカムETF【YYY】とは?
高配当のファンド、ハイイールド債、ジャンク債を集めた高分配金にフォーカスしたETFです。利回りは8%~10%あります。ただし、信託報酬も0.5%ほどあります。初心者さんは手出し無用の高分配金ETFです。
単純なイールドギャップで8%以上取れるというのはなかなか、と思いますが総経費率だともろもろのコストが乗って約1.6%程度かかります。この手のハイイールドなものは諸経費が乗るケースがありますので注意が必要です。
イールドシェアーズ・ハイインカムETF【YYY】の構成銘柄
Symbol | Name | % Weight |
USA | Liberty All-Star Equity | 4.62% |
ETJ | EV Risk-Mgd Divers Equity Inc | 4.50% |
DSL | DoubleLine Income Solutions | 4.42% |
AOD | Aberdeen Total Dynamic Dividend | 4.32% |
HYT | BlackRock Corp High Yield | 4.25% |
BIT | BlackRock Multi-Sector Income | 4.24% |
Pgim Global Short Duration High Yield Fd | 4.23% | |
Pgim Short Duration High Yield Fd | 4.20% | |
RQI | Cohen & Steers Qty Inc Realty | 4.16% |
EVV | EV Limited Duration Income | 4.10% |
イールドシェアーズ・ハイインカムETF【YYY】は以上のような構成になります。ハイイールド債や、ジャンク債などで利回りを高くしています。それから、高利回りファンドですね。30銘柄ほど集めており、高リスクになりがちな債券、あるいはファンドに一応の分散性を持たせています。
例えば、組み入れトップのLiberty All-Star Equity【USA】は利回りで10%を超えます。
イールドシェアーズ・ハイインカムETF【YYY】の株価と配当
取引値は今は割と安定的です。ただし、2012年当時に0.2ドルあった分配金は0.16ドルになり、0.13ドルになり・・・漸減しています。初心者さんが手出し無用というのはここにあります。持っていれば株価が上がる、持っていれば増配する、そういう性質ではありません。
今ある高分配金を享受する、そういう性質の投資対象ですね。
Direxion ザックス MLP ハイインカムシェアーズ【ZMLP】とは
一言で言うと、MLPに投資するETFです。
MLPというのはマスター・リミテッド・パートナーシップの略です。パイプラインや製油施設などに共同で投資するものです。1986年に法制化されました。その後、その制度を採用して広めたのは石油インフラ大手のキンダーモルガン【KMI】です。
使用にあたってのリターンを出資者に一定割合以上還元すれば、法人税がかからないそれにより高配当を実現する、という仕組みにしています。事業者にとってはインフラへの投資リスクを分散できるメリットがあります。投資家にとっては高利回りなことから、人気がありました。
対象に投資して、その収益を出資者と高利でシェアするということです。そういう意味ではリートに近い存在です。投資リスクの分散と、高利回りによる還元という仕組みですね。
原油安が始まったときには、「シェールオイルに関わるパイプラインは使われ続けるから、業績に原油安は無関係だ」という論調がありましたが、崩れ去りましたね。多くのMLPは原油安で減配に次ぐ減配、あるいは無配転落をしました。ところが、原油安が落ち着くと同時にまた注目を浴びつつあるのがこのMLPです。
Direxion ザックス MLP ハイインカムシェアーズ【ZMLP】の株価と配当
こちらも取引値は冴えませんが、直近の利回りでは10%を超えます。こちらもやはり高配当に伴うリスクはあります。原油相場との相関性があることが先の原油相場で証明されましたから、そこをどう考えるかということです。初心者が利回りだけで飛びつくと痛い目に遭う可能性がある、そういう商品になっています。
分配金もかつての6割程度、一時期無配でしたね。ただし、その分取引値も下がっていますので、これを妙味と思う方もいるでしょう。
さて、長くなりましたがご質問を紹介します。
【YYY】【ZMLP】という高利回り米国ETFをサテライト的に活用したい
たばぞう様、いつも拝見させていただいています。
私は35歳の保険業についているものです。はずかしながらこの業種につく前は、投資=ハイリスクで危険なものという認識で投資は全くしておりませんでした。しかし、金融関係の職についたことで何を調べたというわけではありませんが、自然と知識がつき、投資をしないことのリスクや自分でリスクをコントロールする事などを学び、30代中盤で遅ればせながら投資を始めました。
投資については自分なりに調べた程度ですが、投資スタイルとしましては、基本的にはETF重視で(VYMとLQDをコアにしています)、ETF8割に対し、個別株2割(高配当や連続増配銘柄)といったバランスをとり、インカムゲインを重視し複利で買い増ししていくスタイルです。
前置きが長くなりましたがここで質問なのですが、最近「どうせ配当金や分配金なのだから、もう少しリスクをとってもいいのではないだろうか?」と考え始めたのです。具体的にはインカムゲインの一部をYYYやZMLPなどの高利回りのETFに少し入れてみるのも面白いのではないかと思ったのです。もちろんハイリスクな銘柄なので、これらをコアにする気はありません。
YYYやZMLPをたばぞう様はどう考えますでしょうか?また、複利で回す際に、よりリスクが高い銘柄を買い付けるという行為自体もどう思われるかお聞きしたいです。
リスクを知ったうえで投資をするならば、面白いかもしれません。
高配当ETFはそれなりのリスクもありますが、リスクを知ったうえで投資するならば面白いかもしれませんね。自分の知識と経験も付くでしょう。ただ、それぞれ取引値を始めとしてある程度相場情報にキャッチアップしていく必要があります。
特にZMLPは原油市況との関係が密ですから、中東情勢や地政学的なリスクも含めて配慮が必要です。こうしたことを知ったうえで投資をするのは良いと思いますよ。
ただ、私だったら投資しませんけどね(笑)。
上場廃止にならずにそういう商品があるということは、ある意味では需要があるということです。やはりそれなりの存在価値と意味があります。みんながみんな、VTやVTI、S&P500連動ETFばかりを買うというのはどこかで非現実的なのです。
上手いこと使いこなして利益を得る人もいます。こういう多様性も米国株投資の1つの醍醐味だと思いますよ。ご質問ありがとうございました。
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こちらも高配当ETFです。【PFF】の場合は優先株式に投資をしています。
こちらは米国ETFランキングです。高利回り系はあまり上位ランクインしていませんね。性質を考えるとそうなるでしょう。
高利回り商品は月のキャッシュフローを一気に改善する魅力があります。しかし、リスクもありますので、吟味が必要です。