米国株ETFに関する基本的な考え
バンガードやブラックロック、ステートストリート、この3社はETF業界を寡占しています。低価格の信託報酬で次々と良い商品を出しており、投資のハードルは急激に下がりつつあると言ってよいでしょう。
弊ブログではシンプルにVTIやS&P500連動ETFを推薦してきました。特に優れていると思っているのがVTIです。そもそもこのブログは、投資を知らない職場の後輩にズバリ誰でもできる投資の最適解を示すために始めたものです。
そのため、「ごちゃごちゃ言わずにVTI」というのが基本スタンスです。
もっとも、米国推しではなく世界を含みたいならばVT、債券ならばBNDあるいは世界債券でBNDXというのも良いでしょう。
いずれにせよ、これらの優れたETFが投資を簡単にしたことは間違いのないところです。さて、今回はこの米国株ETFに関してご質問を頂いています。
米国株ETFに関しての質問集です。
たぱぞうさん、こんにちはTです。
長期の資産形成を目的とした投資(ETF)を考えているのですが.....
いくつか項目立てて質問します。
「当面の目標、投資の中期的目標をどう設定すれば良いでしょうか」
まず、投資の目標ですが「いつまでに資産〇〇円」というのは意外になじまないかと思います。理由は、相場は変動し、それに合わせて資産も動くからです。また、自分の投資スキルも劇的に向上するわけではありません。
現実的な目標は3つあります。
- 年間分配金・配当金
- 持ち続ける期間
- 追加投資額
このようなものが目標になります。例えば、年間配当・分配金200万というのは読みやすいので経年変化の結果として実現可能でしょう。
あるいは、「どんなことがあっても20年間は保持する」という目標も成り立ちます。ただし、個別株は状況に応じて売買が必要です。また、ETFも政治経済面から前提条件が崩れたら臨機応変に動く必要があります。
また、「年間200万円投資に回す」というのも金額の多寡はともかく達成できます。自分の給与や生活レベルに合わせて可能な額を設定すればよいからです。
いずれにせよ、相場は自分の思い通りになりません。自分でコントロールできる数字、これを目標にされると良いと思いますよ。ただし、実現不可能な金額を目標値にするとモチベーションに関わりますから、可能な数字にすることが長く続けるコツですね。
「ETFの銘柄は何が良いのでしょうか。」
「VTIを推していますが、ナスダック100トリプルQQQはどうなのでしょうか またHDVはどうでしょう。」ということですね。
Nasdaq100のQQQは良いですよ。サテライトとして使っている人も多いですね。ただし、比較的価格変動も大きいのは知っておいて良いですね。
HDVに関しては難しいところですが。理由は2つです。
- 高配当ということで石油株を多く組み入れる傾向にある
- 銘柄の入れ替えが比較的頻繁
この2点です。脱カーボンの流れの中での石油株をどう考えるかということですね。売上成長が停滞している企業も少なくありません。
それから、HDVは銘柄の組み換えが比較的盛んだということです。もちろん、入れ替えつつ最大のパフォーマンスを狙うのは悪くありませんが、あまりに頻繁だとどうかなということです。QQQのような成長株の多いETFとかそういう性質のものではないですからね。
「投資資金の使い方、余裕資金はどう考えるか」
余裕資金の使い方についてですが、具体的にはズバリ言ってキャッシュポジションを気にしていればよいと思います。年齢にもよりますが、20%から30%ぐらいが理想でしょう。
フルインベストメントすると、身動きがとれません。もちろん、相場に長く親しんで経験のある人は、相場環境に合わせてフルインベストメントすることもあります。しかし、通常は追加投資のできる余裕をもって相場に臨みます。
給与に比べて大きな金額を扱うようになったら、ハードアセットや金ETFあるいは債券ETFなども検討してよいでしょう。
「氾濫する投資情報に振り回されてしまいます」
投資情報に振り回されている、と感じたら情報に触れなければ良いですね。米国株ETF投資は買う対象がグッと絞られます。
正直なところ、投資情報をあまり知らなくてもETF投資なら適切な投資ができるのです。好きならば、様々な投資情報を耳にしたり目にしたりして知見を深めますが、振り回されるならば「見ざる聞かざる」を決め込み、必要最低限に絞るのも悪くないと思いますよ。
いくつか「これ!」と決めた投資サイトだけを読むということです。入ってくる情報を絞るというのは情報過多社会にあって必須のリテラシーだと個人的には思います。知らなくて良いことは世の中にあふれています。網羅的に情報に触れるには、時間が足りません。
ETFはインデックス投信のように再投資できない?
「『ETFはインデックス投信のように再投資できない』とどこかのサイトの記事にあったのですが どういうことでしょうか。」
これは、投資信託のように自動で配当金再投資をしないということだと思われます。ETFの場合は分配金が出てきたら、自分で再投資をしなくてはいけません。この手間を惜しむならば投資信託一択ということになります。
以前国内で販売される投資信託は、昨年からさらに充実し、主要指数であるS&P500やVTI相当の投資信託も出ています。それらを自動積み立てにして買い続けるというのも有効な投資となるでしょう。ご質問ありがとうございました。
関連記事です。
こちらは記事中にあったQQQの紹介記事ですね。リーマンショック以後のパフォーマンスは出色です。
VTIは米国市場全体を投資対象にしています。私はこれが一番シンプルで良いと思っています。米国の小型株も含む、すべての株が拾えるからです。反面、買わなくても良い株も買ってしまうわけで、それを嫌う人は個別株投資になりますね。
価値が下がっていくものに長期投資をしてはいけませんね。