米国株の税金のしくみは特定口座化によってかなり簡単に
米国株投資をしたことがない人がまず不安に思うのが税金ではないでしょうか。ほんの数年前までは一般口座しかありませんでした。一般口座の管理は、自分で取引報告書を見て、売買時と配当金受取時にいちいち表計算アプリで管理して、というスタイルでした。
なぜなら、売買時のドルでの価格はもちろん、正確にその時の為替で日本円換算しないと納税時に受け付けてもらえなかったからです。
しかし、今はどこの証券会社も特定口座を導入し、売買や配当金受け取りに関してはかなりの部分を自動計算でやってくれるようになりました。しかし、それでも日本株とは違うところがあり、そこが多少米国株投資のハードルを上げているように思います。
売買益と配当金の税金について、ご質問をいただきました。まとめて解説したいと思います。
アメリカ株の売買に関わる税金、譲渡益税
これは基本的には日本株と変わりません。売買に関わる税金、つまり譲渡益税は20.315%です。内訳は、「所得税15.315%+住民税5%」です。譲渡益税に関してはアメリカから源泉徴収されることはありません。
例えば、ジョンソンエンドジョンソン株を買ったとします。その時の為替が必要になります。
購入時:100ドル×100株=1万ドル
売却時:120ドル×100株=1万2千ドル
とします。差額2000ドルの儲けです。これに20.315%の税金がかかります。
譲渡益税:2000ドル×0.20315=406.3ドル
となります。手元に残る譲渡益は1593.7ドルということになります。ただし、これは基本的な考え方です。これに円換算が必要になります。
売却時の円換算した金額-購入時の円換算した金額=円での損益
が必要になります。これは売買報告書に記載されているレートを使います。売買報告書は持ち株を売るまでPDFファイルにしろ、紙ベースの文書にしろ、持っておくと安心です。一般口座ではこれがすべて手計算になります。
ちなみに損益通算「損だし」をするならば、確定申告が必要になります。確定申告の時も円で考えます。税務署が日本の税務署だからです。
私は表計算ソフトに入れて、その都度すぐに入力して管理しています。その場でしないと、記憶が薄れて作業効率が落ちるからです。
これらの項目が売却時に記入する項目です。
これは購入時に記入する項目です。譲渡価格から取得価格を引けば、損益が出ます。これでわざと損を確定させ、税引前の配当収入とトントンにすれば、配当から引かれる所得税と住民税が損益通算で還付されることになります。
私の場合は古い株が一般口座なので、特定口座と毎年このように通算をしています。いずれにしても、米国株でも円で考えなくてはいけないのが税金関係です。
アメリカ株の配当に関わる税金
実際に表を見ながら解説します。横長なので、改行します。
2017配当金等支払日 | 口座種 | 銘柄 | 申告レート | 為替レート | 配当$ | 配当金額¥ |
2017/01/03 | 一般 | WBK | 115.49 | 117.96 | $541.97 | ¥62,592 |
2017/01/05 | 一般 | PFF | 116.19 | 116.56 | $365.81 | ¥42,503 |
2017/01/10 | 特定 | PEP | 114.72 | 115.96 | $75.25 | ¥8,632 |
外国源泉徴収税額¥ | 国内課税所得額¥ | 所得税¥ | 地方税¥ | 受取金額$ | 受取金額¥ |
¥0 | ¥62,592 | ¥9,585 | ¥3,129 | $430.20 | ¥50,746 |
¥4,250 | ¥38,253 | ¥5,858 | ¥1,912 | $262.58 | ¥30,606 |
¥862 | ¥7,770 | ¥1,189 | ¥388 | $54.14 | ¥6,278 |
このような表を作って私は管理しています。1年間記録すれば、正確にその年の配当金と税金がわかります。本当は横長になっていますが、スマホで崩れるので改行しています。
実際に税金が発生している項目は、10%の外国源泉徴収税¥、15.315%の所得税¥、5%の地方税¥の部分です。手取りは約72%ということです。
配当×0.9×0.79685=71.7165
外国源泉徴収税がない銘柄は英国株、豪国株などがあります。ロシア株ADR、アイルランド株ADRなどは米国の10%よりも高額です。このように外国源泉徴収税は国ごとに違います。
外国源泉徴収税の還付請求をしない、つまり確定申告をしない場合にはどれだけ該当国の源泉税で配当が引かれるのか計算に入れておくとよいでしょう。納付したままになり、損益に大きな影響が出るからです。
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