毎月分配型投信のパフォーマンスの悪さが際立つ
毎月分配型投信の多くは元本を取り崩して無理くり分配金を出しています。そのため、表上の利回りは良いように見えます。しかし、その内実は基準価格の右肩下がりという事実が表しています。
いくら毎月分配型が欲しくても、基準価格が右肩下がりの投信は買ってはいけません。これはほとんど投資界の常識と言って良いでしょう。金融庁の方が先のNISA説明会で
「数千本あるうちの投資適格投信はインデックスで50本、アクティブで5本」
と明言されていました。私は投信はETFに劣る商品だと思っており、全く買っていません。その根拠の1つが、この投資適格投信の本数です。ほとんどの米国市場上場ETFが右肩上がりなのに対し、ほとんどの投信が投資適格ではないと言われているのです。
この品質の差はひどいです。
最も人気ある毎月分配型投信の一例を見てみる
一例を出します。ここで紹介する商品は、現在日本で最も人気ある毎月分配型投信です。この投信は高配当で有名なグローバル投信です。なお、ベンチマークを持たないアクティブ投信です。
※チャートはヤフーから。
世界経済、特にアメリカ市場がこれだけ成長している中で、どうやったらこれだけ負けられるのか不思議です。このチャートを見つけたときには「なぜ勝てないのか」を考えるのに少し時間がかかりました。それほど意外性のあることだからです。
勝てない1つの理由は、毎月分配を無理くりだすために、オプションなどを使って運用しているからです。もう一つの理由は信託報酬です。1%半ばにもなります。運営側からすると、この信託報酬は旨味十分です。
このようなチャートにもかかわらず、出来高が急増しています。おそらく、直近の配当金利回りが7%台だったことによるのでしょう。そして、チャートを見て「底だろう」と思った人が大量に買っていたと思われます。
しかし、このごろで300円から200円への減配を発表しています。300円を期待して買った人はまさしく期待外れとなりました。
米国市場が上昇したので、分配金込のパフォーマンスではこれほど悪化はしていません。しかし、上昇していて当たり前の相場にあって勝てていないということは、下降相場ではさらなるパフォーマンスの悪化が当然ながら見込まれます。
毎月分配型投信には手を出さないほうが良い
毎月分配型投信にはこの手の投信がわんさかあります。この投信は一応人気投信ですから、これでもまだましなほうです。これよりも悪いパフォーマンスのものはたくさんあります。逆にいうと、毎月分配型投信で購入に値するものは殆ど無いと言って良いでしょう。
では、どうしても毎月分配型の金融商品を買いたいならばどうすればよいのでしょうか。あるいは、毎月不労所得が入るようにするにはどうすればよいのでしょうか。
私はETFを購入すべきだと思います。特に米国ETFは毎月分配型のETFが豊富にあります。例えば、私も持っている優先出資証券ETFであるPFFは利回りがおよそ6%あります。右肩上がりではありませんが、毎月安定的に分配金を吐き出しています。
また、同じ債券系ではBNDなどもあります。米国債を中心としたディフェンシブな債券ETFです。利回りは2%~3%と低めですが、元本を棄損してまで分配金を出したりはしていません。
社債系ETFであればLQDがあります。これも4%台の高分配金です。米国債ETFよりは値動きはありますが、株式よりは安定的です。
このように、年金的に使うならば債券系の毎月分配金ETFを物色するのも手です。米国の債券系のETFは毎月分配型が基本になっています。
ちなみに、ETFの分配金は税法上、期間中に生じた配当や利息を元にして払い出すことになっています。そのため、投信のように元本を棄損して分配金を吐き出すことがありません。投信とETFの大きな違いはここにあります。
このような縛りが無いため投信は、無理な分配金を出して表面上の利回りを高く出したり、テーマをコロコロかえて新商品を出したり、やりたい放題だったと言えます。
株式を組み合わせて毎月安定的なインカムを組むのも手
やや難易度は上がりますが、株式の配当払い出し日を組み合わせて毎月配当のような形を作ることもできます。特に米国株は四半期配当が基本であり、配当月も比較的ばらけていますので、こういったことが可能です。
実際に私の配当履歴をご覧いただければご理解いただけるかと思います。
私はあまり投信ランキングを見ないのですが、たまたまチェックしたら上記の商品がランキング上位に位置していたのでびっくりしました。「まだこんなことをやっているのか」という驚きです。
少なくとも縁あって読者になっていただいた方には、この事実を伝えておきたいと思い、記事にしました。
関連時期です。毎月配当が支払われるポートフォリオになっています。ご参考までに。
金融審議会の報告は、日本の投資界の問題を端的に指摘しています。
踏み込んで「ダメな商品」について説明してあります。運用会社と利用者の共存共栄という発想にはまだまだ遠いのが日本の投資界の現状です。