東証時価総額が久しぶりに600兆円を上回った
日本取引所グループ、東京証券取引所が毎月の時価総額を公表しています。ちょこちょこチェックしているのですが、2017年5月末で久しぶりに600兆円を上回ってきました。
バブル絶頂の1989年12月末・大納会が611兆円ですから、その値に近づいてきたということです。
ただし、当時とはPERを始めとする諸指標が全く違いますので、これをもってバブル再来とするのは無理があります。それでも停滞と言われた日本市場が再び上昇するのか、それとも戻りいっぱいなのか、注目されてよいと思います。
ちなみに、日本市場はボラティリティがなかなか大きく、バブル時の611兆円を2015年の5月(620兆円)と7月(619兆円)に上回っています。残念ながら持続性がなく、今回再び2017年5月に再チャレンジしています。
株式時価総額の推移を見てみる
株式時価総額 Market Capitalization | (百万円 \mil.) | ||||
月末 End of Month |
一部 1st Section |
二部 2nd Section |
マザーズ Mothers |
合計 Total |
一言コメント |
1949/5/31 | 153,262 | 153,262 | 発足 | ||
1959/5/30 | 2,835,484 | 2,835,484 | 10年後 | ||
1969/5/31 | 14,282,029 | 1,247,145 | 15,529,175 | 20年後 | |
1979/5/31 | 63,297,962 | 3,491,743 | 66,789,706 | 30年後 | |
1989/5/31 | 506,364,330 | 16,114,271 | 522,478,602 | 40年後 | |
1989/12/29 | 590,908,794 | 20,243,078 | 611,151,873 | バブル頂点 | |
1998/9/30 | 245,766,459 | 6,241,181 | 252,007,641 | 山一北拓 | |
1999/12/30 | 442,443,338 | 13,583,816 | 813,694 | 456,840,848 | 50年後 |
2009/5/29 | 291,304,814 | 3,379,709 | 1,463,950 | 296,148,474 | 60年後 |
2017/5/31 | 578,484,915 | 8,940,093 | 4,453,389 | 601,132,623 | バブル超え? |
まず、1949年5月から統計が始まっています。その当時の時価総額は1500億円です。ここから朝鮮特需に始まる高度成長を経て、バブル期の611兆円で一区切りになります。
見ての通り、1989年までは凄まじい上昇相場であることがわかります。倍どころではありません。10年スパンで見ると市場全体が20倍近く、あるいは10倍近く成長しています。分散投資をしていれば、ほとんど確実に利益を得られた時代です。
個別銘柄選びだけではなく、市場選びが大事であること、そして個別銘柄よりも市場選びのほうがたやすいことを教えてくれます。この時代に生きていれば、労働収入は右肩上がり、投資収入は○○倍ということになっていたでしょう。
有史上最も日本が栄えた時代であり、初めて餓死や人身売買といった貧困の闇が社会問題から遠ざかった時代でもあります。もっとも、遠ざかったという表現が限界で、これらの問題はどの時代にも無くなったと断言することはできません。
バブル後の日本、そのトラウマを超えて新時代を築けるのか
バブル後は右肩上がりの成長モデルが崩れ、1998年には三洋証券、山一證券、北海道拓殖銀行といった大手金融機関の倒産が見られます。ちょうど団塊ジュニア世代の就職活動時期に重なっており、多い人数で少ないパイを奪い合う就職活動になります。
611兆円を記録した時価総額が1998年には250兆円まで収縮するわけですから、その縮小幅は特筆されてよいでしょう。
この就職戦線の厳しさは戦後高度成長の恩恵に浴した、どの世代も味わったことのない競争です。そのため、共感無き窮乏が団塊ジュニア世代を襲います。社会問題とは時に自己責任ではどうにもならない現実になります。
さらに政府は金融システムを再構築するのに必死で、団塊ジュニア世代の就職問題にまで手が回らなかった感があります。
結果として未曽有の就職難、非正規雇用者の急増、経済的理由による結婚難という今に通じる少子化の原因が形成されます。時は下り2017年、すでにこのときから20年を経過しました。バブルの狂乱が生んだともいえる少子化問題が表面化しています。
1999年には一時的に回復したように見えますが、2000年のITバブル崩壊から2003年の再金融危機で再び市場は低迷します。
2009年、リーマンショック後の状況
2009年には再び時価総額が300兆円を切っています。これはリーマンショックの影響によるものです。このあと、ギリシャショックなどを経て、世界経済は回復途上、米国経済は好調、という流れになっています。
日本の場合は、アベノミクスによる金融緩和が大きく、2015年にはバブル時の時価総額を瞬間的に超えるまでになっています。このままいけば、安倍政権は諸説ありながらも、経済的に強く主導し、経済回復に尽力した政権として記憶されるでしょう。
もっともそれが成功したかどうかはもう少し時代が下り、歴史的に判断ができるようにならないと断言はできません。
バブル後の日本は大変な艱難辛苦が連続したわけです。今後それを乗り越える成長があるのか、それともまた一過性で再び時価総額が沈むのか、注目しています。
関連記事です。
日本市場で勝ちを重ねるのは簡単なことではありません。それは時価総額推移をみても明らかです。
東南アジアではマレーシアとインドネシアが注目されています。理由は簡単で、21世紀後半まで人口が増加し続けるからです。
人口増加国は人口ボーナスによる経済発展が見込めます。それに注目した商品です。こういった発想の指数があれば、有力な連動商品が生まれると確信しています。
インドネシアはすでに人口大国ですが、今後も大変有望です。ただし、直接株式を買い付けるのは通貨の安定性を考えるとインフレ率も相まって難しいところはあります。