仕事で得る知識を投資に生かす
サラリーマンなどかつて安定的に思われた仕事の永続性が揺らぎつつあります。訴訟リスク、世界的な競争の高まり、自身のけがや病気を考えると、100%安全と言い切れる仕事は存在しないのではないでしょうか。
先行き不透明な現代社会を生きる私たちにとって、 投資や副業による収入の分散は欠かせない時代になっています。それこそが、リスク分散、困難な時代を生き抜く収入術ということになるでしょう。
かつては、株式と言えば企業の持株会に入ったり、一部の人のみがこっそりやったりといったイメージでした。しかし、昨今ではETFというリスクを低減した商品があります。
また、ウェルスナビやテオといったロボアドバイザーによる手間いらずの一任取引もあります。投資をこういった各種サービスに任せ、関わる時間と知識を極力減らせるサービスも出てきました。
また、今は日本にいながら米国などの成長市場に投資することも可能です。投資サービスの充実により、投資の門戸はかつてないほどに広がりつつあると言えそうです。
こうした中で、自分の本業とリンクした投資をするのは良いことだと考えます。業界について詳しいので、買うべきではない企業の株を買う可能性を減らせるからです。今回は本業と投資先の分散についてのご質問をいただきました。
本業と投資先の分散について
たぱぞう様
いつも楽しく拝見させて頂いております。
数年前からセゾン投信をきっかけに投資を始め、世界経済インデックスファンドや8資産均等型のパッシブファンドを買っていたのですが、VTをNISAで買いたいと思って調べていたところたぱぞう様のブログに行き着きました。
現在はインデックスファンドを買い増しつつ、NISAを利用してVOOとVYMを購入したところです。今回たぱぞう様に、本業と投資先の分散についてお伺いしたいと思って御連絡差し上げました。
米国株の投資ブロガーの方の大多数が、ディフェンシブながらリターンの高いヘルスケア分野に投資しておられます(個別株、ETF問わず)。私も同様に投資したいと考えているのですが、本業でグローバル展開するヘルスケア企業に勤めております。
本業とのリスクヘッジを考えるのであれば本来投資先は本業とは逆の、景気に左右されやすいハイテク株などが良いと思っておりますが、元々ディフェンシブであるヘルスケア分野の情報を得やすいことから、投資しないのはもったいないとも考えております。
この点について、たぱぞう様はどのようにお考えになりますか?御教授頂ければ幸いです。
本業で得られた知識を投資に活用するのはとても良いこと
結論から言えば、本業で得られた知識を援用するのは非常に良いことですね。もちろん、インサイダーに抵触するような援用はダメです。しかし、法律の範囲内において知識を活用するのは非常に健全な投資ではないでしょうか。
私たちは株式やETFなどの投資商品を買うときに、何らかのエビデンス(証拠)を求めます。それは売り上げだったり、配当だったり、過去のリターンであったり、様々です。
投資先企業の商品に知悉しており、確信があればそれは投資先企業の将来的な売り上げや利益に繋がります。もちろん、それは有力なエビデンスとなります。海老舞踊ではないです。
※画像はファイザーから
本業であれば、その情報の精度はより高いものになるでしょう。ただし、おっしゃるように集中投資は避けなくてはいけません。得意だからと言って、ヘルスケア業界ばかりを買うというのは違うということですね。
分散投資という観点を失わず、ご自身の強みを生かした投資をする。非常に良いことで羨ましく思います。
ちなみに、グローバル展開するヘルスケア企業に勤務する投資ブロガーは意外に多い印象です。諸先輩方もそうしていますから、自信をもって取り組まれると良いと思いますよ。ご質問ありがとうございました。
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ただし自社、特に持株会というのはあまりお勧めしません。こちらの記事にその理由は書いてあります。一定のディスカウントは魅力ですが、せめて同業他社などにしたいですね。自社に圧倒的な自信がある場合は別です。
ヘルスケアETFといえばVHTでしょう。 バンガードが出しているセクターETFの1つで、長期投資上のリターンも良いことから、セクターETFの中では人気あるものの1つです。
セクターという観点に基づいて分散投資をするのは理にかなっています。ETF運用会社のこうした考え方を参考にするのも良いと思います。VTIなどが市場全体を買うのに対し、セクター・業界全体を買うという発想です。