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日本の長寿企業ランキングと投資の考え方

日本の長寿企業ランキングと投資の考え方

 日本は世界的に見ても長寿企業が多く、1000年を超える歴史を持つ会社があります。

 

 最も古い企業として有名なのは金剛組でしょう。社寺建築に強みを持つ、資本金3億円の関西企業です。設立は578年とされており、それこそ1500年近くの歴史を持ちます。優秀な宮大工を多く抱え、業界での存在感は今も健在です。

非上場企業の長寿企業ランキング

非上場企業の長寿企業ランキング

※リスクモンスターの記事から

 しかしながら、社寺建設においても昨今は鉄筋コンクリート化が顕著です。耐用年数と手間のかかり方が木造のそれとは段違いだからです。観光施設になるような有名な社寺は木造のままですが、生活宗教の施設は鉄筋コンクリートに切り替わっていることが多いですね。

 

 そのため、実は金剛組というのは同じ関西の中堅ゼネコンである高松組の傘下に入っています。そのようにして変化に対応していく必要があったということですね。

 

 世の中の変化は、これまでの歴史の中で今が最も激しく、長寿企業と言えどもそのままの形態で生き抜くことが難しい場合もあります。さて、こうしたことを踏まえてご質問を紹介します。 

長寿企業はワイドモートさを兼ね備えていることが多いのではないか

 はじめまして!

 TKと(東京在住、30代前半、独身)言います!いつもブログ読ませて頂いております!


 積立投資の重要性や、持続的成長/高配当銘柄への投資の重要性を実感しながら、毎月、楽天VTI、楽天VYM投資信託などへ約10万/月、積立投資しております。

 

 投資の幅を広げようと日々勉強しており、「日本は世界的に見ても長寿企業が多い」という記事を見つけました。

 上場企業における創業年からの長寿ランキングは下記でした。トップテンは創業から300年以上程度経過している企業ばかりです。

  1. 松井建設
  2. 住友金属鉱山
  3. 養命酒製造
  4. 丸栄
  5. 小津産業
  6. 大木
  7. マミーマート
  8. ユアサ商事
  9. 岡谷鋼機,
  10. 三井不動産

 このような日本の長寿企業は、長期永続しているので、

  • 大きな塀があるビジネスを保有している
  • 有益商圏を持っている
  • 会社として永続的繁栄を目指す社風がある
  • 今までの大恐慌を耐えてきた体力/評判がある

 と言った要素があるのでは?と思います。

 

 そのため、このような企業の株は、比較的リスクが少ない資産となり、安定配当/永続的成長となり、長期投資に適したものになるのでは?と思った次第です。

 

 ブログのテーマと外れたり、的外れ的な質問かもしれませんが、このような観点で長期投資株を選択していくことに関して、ご意見いただければ幸いです。


 よろしくお願いします。

これまでの長寿企業は、「これからの長寿企業」になり得るか

 まず、1位の松井建設も社寺建設で知られた企業ですね。ただし、松井建設の場合は、近代建築も手掛けています。そのため、社寺建設は社内の一部門ということになります。やはり優れた宮大工を抱え、強みがあります。

 

 4位の丸栄は、江戸時代以来名古屋の栄で長らく小売業、百貨店を営んできました。しかし、2017年に閉店しています。今は、栄で不動産業をしているような状況ですね。栄は言うまでもなく名古屋の中心繁華街です。そこの代名詞的な存在の百貨店の1つだったと言ってよいでしょう。社名から分かるように、栄の開発に大きく関わってきました。

 

 しかし、昨今は百貨店という業態自体が難しく、さらにはいわゆる名駅、名古屋駅近辺に勢いがあります。江戸時代以来の名門企業ですが、やはり時代の趨勢には逆らえないというところですね。

 

 ダイエーや長崎屋の例を見るまでもなく、小売りというのは大変難しいのです。駅前からモータリゼーションの流れで幹線道路沿い、さらにはネット販売という流れがありました。

 

 5位の小津産業は松坂商人の流れを汲みます。元は紙問屋でしたが、今では祖業も持ちつつ、医療用不織布などにも手を広げています。

 

 10位の三井不動産は意外かもしれませんが、これは越後屋以来の三井グループという意味ですね。祖業の小売業である三越は伊勢丹と合併し、ブランド力を大事にしながら生き残りを図っています。新聞各社もそうですが、都内を始めとする一等地の価値は大きく、安定収入になっています。そういう意味では三井不動産も盤石に見えますね。

 

 いずれにしても、社風や業態という定性的な判断は大事です。それと同様に、営業利益率やキャッシュフロー、ROEといった定量的な判断も大事になってきます。それは、時代の変化が激しく、実はワイドモートは常に変化するからです。

 

 長寿企業だから買う、という視点に加えて数字にも目を向けて選ぶ必要があるということですね。ご質問ありがとうございました。

 

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