- 新興国投信を考える
- 新興国投信1「楽天・新興国株式インデックス(信託報酬0.26%)」
- 新興国投信2「eMAXIS Slim新興国株式(信託報酬0.19%)」
- 新興国投信3「EXE-i つみたて新興国株式ファンド(信託報酬0.1948%)」
- 新興国ETF4「iシェアーズ・コア MSCI 新興国株 ETF【1658】」
- 新興国投信に米国上場ETFも加えて比べてみる
- 投信に関する雑感
新興国投信を考える
新興国投資の事情がかなり変わってきました。およそ1年前であれば、どこも経費率が高かったのでバンガードの米国上場ETFであるVWOが強みを持っていましたが、ここにきて投資信託がかなり充実してきました。
そこで、有力な新興国投信ベスト3をご紹介するとともに、雑感を記しておきたいと思います。
新興国投信1「楽天・新興国株式インデックス(信託報酬0.26%)」
楽天・新興国株式インデックスが登場し、VT・VTI・VWO・VYMと4つの商品ラインナップになりました。バンガードETFに税抜き0.12%を上乗せした形で楽天投信から販売される商品です。
0.26%程度の信託報酬で新興国へ分散投資ができます。米国市場で直接VWOを売買しない場合は、こちらの楽天VWOが買いやすいかと思います。とはいえ、すでにドルで買付する体制が整っているならば、VWOを買っても良いでしょう。
連動先のベンチマークはFTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)・インデックスです。このベンチマークは、「新興国市場の大型株・中型株・小型株を網羅し、約4,000銘柄で構成される時価総額加重平均型の株価指数です」と楽天投信から説明が加えられています。
当然ですが、VWOと全く同じ構成です。ここでは略称を使っていないVWOの資料を引用します。
ざっと見、中国、台湾が多いですね。例外は南アフリカのナスパーズ、10位のブラジルのイタウ・ウニバンコ=銀行です。
南アフリカのナスパーズはインターネットやメディアを扱う企業です。南アフリカどころかアフリカで一番大きな企業で、1位のテンセントへの大規模出資で名を馳せました。今も20%以上の株式を握る大株主です。
インターネットメディア関連でも世界トップ10に入る企業です。
国別構成比率です。中国、台湾、インドが上位を占めます。全ての国が人口増加国というわけではない点、経済成長が見込まれるわけではない点に注意が必要です。個人では扱えない小型株を取り込んでいるところが魅力ですね。
新興国投信2「eMAXIS Slim新興国株式(信託報酬0.19%)」
三菱UFJ国際投信の新興国株式インデックスです。こちらのベンチマークははMSCI エマージング・マーケット・インデックスになっています。これは、ブラックロックから米国市場に上場しているETFであるEEMと同じベンチマークです。
新興国の大・中株を中心に組成しており、銘柄数は1000銘柄に満たない、およそ850銘柄です。
EEMの経費率が0.69%であることを考えると、このeMAXIS Slim 新興国株式インデックスの0.19%の信託報酬というのは出色と言ってよいでしょう。
以前の「投資信託=割高」というイメージを払拭しつつあります。
同じベンチマークを採用しているEEMからの資料です。eMAXISの資料は租税回避先のケイマン諸島を国籍に入れてしまっているので外しました。例えばテンセントは中国企業ですが、ケイマン諸島の企業になっています。
構成銘柄はよく似ています。大きな違いは、韓国を新興国として含んでいるところです。サムスンはすでにアジアを代表する大企業、日本国内の企業と比較しても出色の時価総額を誇ります。
非常によく似た構成になっていますが、やはり韓国があるかどうかというところが大きな違いですね。ちなみに、数年前まではVWO採用のベンチマークも韓国を含んでいました。韓国の成長性に期待をし、信託報酬を重視するならば迷わずeMAXIS Slim新興国株式を選ぶということになるでしょう。
新興国投信3「EXE-i つみたて新興国株式ファンド(信託報酬0.1948%)」
SBIアセットマネジメントのEXE-i 新興国株式ファンドです。
- FTSE・エマージング・インデックス
- MSCIエマージング・マーケッツ インベスタブル マーケット インデックス
この2つのベンチマークを採用しているETFを使っています。
- シュワブ エマージング・マーケッツ エクイティETF
- MSCIエマージング・マーケッツ インベスタブル マーケットインデックスETF
バンガードを上回る安価なETF組成で知られるチャールズ・シュワブ、それからブラックロックのETFですね。後者のETFは新興国の中小株も含んでおり、ここに特徴を見ることができます。
つまり、FTSE・エマージング・インデックスで大・中株を組み込み、足りない小型株をMSCIエマージング・マーケッツ インベスタブル マーケット インデックスで補うということです。
信託報酬は税抜き0.23%です。
EXE-i 新興国株式ファンドは韓国を含みません。従ってこの場合の比較は楽天・新興国株式インデックスになりますね。
新興国ETF4「iシェアーズ・コア MSCI 新興国株 ETF【1658】」
番外でiシェアーズ・コア MSCI 新興国株 ETF【1658】を取り上げておきます。MSCIエマージングIMIをベンチマークにしています。実は信託報酬が0.23%と安く、韓国、中小株を含みます。日興からは上場インデックスファンド海外新興国株式【1681】が出ています。
投信ではなく、ETFで、しかも円ベースでの投資と考えるとこれらは有力な選択になるでしょう。上場廃止になる1582の代替としても使えそうです。
新興国投信に米国上場ETFも加えて比べてみる
米国ETFならば、買いやすさで言うとVWOとEEMの比較になります。経費率からするとVWOが有利ですが、韓国を入れたいと思うならばEEMも妥当性があります。ただし、信託報酬が高いので、eMAXIS Slim新興国株式の魅力が勝ります。
投信ならば、ベスト3は楽天VWO・EXE-i 新興国株式ファンド・eMAXIS Slim新興国株式です。経費率ならばeMAXIS Slim新興国株式に軍配が上がります。ただし、ここでも韓国を含むかどうかがポイントになります。
小型株を入れたいならば、楽天VWOかEXE-i 新興国株式ファンドです。
少額での積立にするならば、投信を選ぶでしょう。一括でのある程度まとまった金額での購入ならばVWOの直接買い付けでもよいでしょう。ただし、外国税額控除をする手間があります。
私ならばどのみち外国税額控除はしなくてはいけないのでETFのVWOを選びますが、これから投資を始めるという人ならば楽天VWOかEXE-i 新興国株式ファンド推しです。
韓国を含むならばeMAXIS Slim新興国株式です。この選択は非常に迷うところですから、今後もパフォーマンスを注視していきたいと思います。
投信に関する雑感
・・・楽天・新興国株式インデックスが楽天の0.12%の取り分をSBI並みにすれば楽天VWOで決まりです。さらなる価格競争があるかもしれませんね。
・・・SBIはバンガードより安価なチャールズシュワブと組んで、楽天VTIや楽天VT相当の商品を出せば、業界最安、最強の地位を手に入れる可能性がありますね。
・・・そうなると三菱UFJがどう出るか、ということですね。いずれにせよ、この3社の動向は面白いと思います。あと、ニッセイですね。
・・・配当控除も考えると、以前のようにバンガード最強というのも変化しつつあるのかもしれませんね。ただ、各社ともトラッキングエラーをどのように減らすかも同様に大事な問題だと思います。
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バンガード【VWO】についての記事です。
新興国というのは概念上「中進国」のそれに近く、開発途上国というのは「フロンティア」という概念になります。フロンティアETFというのも存在します。ですので、開発途上国の成長の恩恵を受けようと思うならばそちらということになります。
インドやインドネシア、それからアフリカなどに勢いを感じる統計です。