たぱぞうの米国株投資

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銀行で投資信託を買った人の半数が損、という重い事実

銀行で販売した投資信託の成績が明らかに

 金融庁さんが大変興味深い報告書を出されていましたので、ここにご紹介したいと思います。米国株決算期と重なってしまい、ご紹介するのが遅れてしまいました。

 

 資料は「投資信託の販売会社における比較可能な共通KPIを用いた分析」というものです。調査対象は「主要行等9行、地域銀行20行」ということです。要は、主要な市中銀行で販売した投資信託のコストやリターンに関しての報告書ということです。

 

 そのため、報告書タイトルのように「投資信託の販売会社における」と言い切ってしまうのは少々乱暴かもしれませんね。例えば、銀行で投資信託を買う層と、ネット証券で投資信託を買う層は全く違いますね。

 

 ともあれ、市中銀行でおすすめした投資信託の通信簿と取ることもできます。 

銀行で投資信託を買った半数の顧客が損をしているという結果

 まず、金融庁のこのデータ自体は2018年6月末に公表されたものです。したがって、多くの報道がされているのですが「投資信託を買った顧客の半数が損をしている」というところにややフォーカスされすぎている気がします。

 

 繰り返しますが、このデータの母集団はあくまで「主要行等9行、地域銀行20行」ですね。したがって、「ネット証券大手5社で販売した投資信託における分析」ということでしたら、また違う結果になる可能性があります。

 

 こうした前提条件を踏まえてデータを見ていくことが大事ですね。

 

 では、主要行等9行、地域銀行20行の顧客の投資信託運用成績はどのようだったのでしょうか。いくつかピックアップしてご紹介します。

銀行販売の投資信託における運用損益別顧客比率

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 損益を見てみると、46%もの顧客が損をしているのですね。これはにわかには信じがたい数字です。後述しますが、過去5年のチャートを見ても、日本・米国両国ともに1.5倍以上の株価成長を果たしています。その中でこれだけの人が利益を出せていないというのは、買った商品に問題があったのでしょうね。

 

 逆に言うと、これだけよい相場環境で利益が出せないというのは、今後も利益を出せない可能性が極めて高いですね。

 

 厳しい言い方をしますが、お付き合いする金融機関を変えるか、投資信託について勉強しなおしたほうが勝てる確率が増えるでしょう。逆に言うと、このタイミングで逃げられるのはチャンスとも言えます。相場環境が悪くなれば損はさらに拡大します。

 

 繰り返しますがインデックス投資家、米国株投資家、日本株投資家、属性問わずいずれも多く利益を出してきたのが2010年代の相場でした。それでも利益が出せなかったというのは重い意味を持ちます。 

銀行販売の投資信託のコスト・リターン

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 これは、主要行等9行、地域銀行20行における投資信託預り残高上位20銘柄のうち、設定後5年以上の投資信託をプロットした表です。投資信託のコストとリターンのプロット表です。

 

 この表を見ると、コストは最低でも1%後半ですね。高いものだと2%を超えるものもあります。売れ筋上位20銘柄という割には、ちょっと高すぎますね。

 

 上位20銘柄のうちのほとんどが1%後半から2%前半のコストがかかる商品になっています。これはネット証券を利用する層が買っている商品のコストとはずいぶん違う印象を受けます。

 

 ちなみに、ネット証券ならば海外株の投資信託で0.1%、国内株の投資信託で0.2%程度が主戦場になっています。およそ10倍のコスト差が生じているということですね。

 

 やはり、銀行窓口で手取り足取り教えてもらえるという、もろもろのサービス込みのコストということになるでしょう。人の時間を拘束するというのはそういうことです。

 

 市中銀行で販売する投資信託が高コストであり、銀行が悪いという単純な善悪論だけではないですね。とはいえ、こういう高コストの実態はすべての個人投資家は知っておいたほうが良いでしょう。銀行のリテール部門は今後どのような方向に進むのか、注目されますね。

恵まれた5年間の相場環境を振り返る

 では、具体的に直近5年の相場環境はどうだったのでしょうか。それぞれ、日本市場はTOPIX、米国市場はS&P500を見比べてみたいと思います。

TOPIXはどうだったのか 

 まず、東証株価指数TOPIXはどうにかこうにか高値圏を維持しています。下記は5年チャートですが、およそ1.5倍の水準です。

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米国市場、S&P500はどうだったのか

 米国の最も著名な株価指数の1つであるS&P500のチャートも見てみましょう。

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 米国のS&P500は1.68倍になっています。つまり、日本に投資していても、米国に投資していても、それぞれにプラスになっていると考えるのが自然な状況だったということです。 

 さて、まとめです。

好況にも関わらず、銀行で販売された投資信託を買った人の46%は利益を出せなかった

  こうした厳然たる事実が判明したということですね。政府官公庁の資料は大変示唆に富むものがあります。今後も継続的にチェックしてご紹介したいと思います。

 

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