金融資産を増やすか、手取りの配当を増やすか。
金融資産を増やすポートフォリオと手取りの配当を増やすポートフォリオは中身が全く異なります。若く、勤務年数を長く取れる人は目先のインカムの必要性は低いです。半面、退職予定でインカムが減る予定の人は配当金は大きな存在となります。
理想は20代、30代から資産形成に励み、昔買った株やETFが高配当化している、あるいは取り崩しても十分な資産額に到達している、そのような状態です。今の相場環境は整備され、恵まれていますから十分に可能です。
さて今日は、成長と配当のバランスということでご質問を頂戴しています。
成長と配当を意識したポートフォリオをどうするか
たぱぞうさんへ
いつもブログや書籍を拝見し、投資の参考にさせていただいております。特に『お金が増える 米国株超楽ちん投資術』を読んだことがきっかけで、ETF を中心とした投資を始めました。
私は現在 29 歳、独身ですが、将来を考えているパートナーがいます。社内 SE として働いていますが、仕事のストレスから何度か休職を経験しており、現在も休職中です。現在は会社の寮に住んでおり、生活コストは比較的低く抑えられています。
現在の資産は、含み益込みで約 950 万円です。評価額ベースでの内訳は以下の通りです。
- VTI: 約 391 万円
- VT: 約 50 万円
- SPYD: 約 17 万円
- BND: 約 51 万円
- EDV: 約 107 万円
- AAPL: 約 15 万円
- J-REIT(3269・1343・1488・2556): 約 74 万円
- eMAXIS Slim 全世界株式: 約 235 万円
現金は約 50 万円、年間の分配金はおよそ 16 万円を見込んでいます。 復職できた場合の年収はおよそ 450 万円です。
**ご相談したいこと**
休職を経験したことで、将来の生活安定のために高配当株を増やすべきかと考える一方、資産拡大のためにはインデックス投資も継続したいという思いがあり、ポートフォリオ比率に迷っています。
また、将来は結婚も視野に入れており、長期的に安定したキャッシュフローを確保しつつ、資産形成も進めていきたいと考えています。
1. キャッシュフロー(配当)と資産拡大のバランスをどのように設計するのが望ましいでしょうか?
2. もし同じ状況であれば、たぱぞうさんならどのような方針で投資を継続されますか?
お忙しいところ恐縮ですが、ご意見をいただけると幸いです。 どうぞよろしくお願いいたします。
運用期間を長く取れる人は基本は成長に寄せたほうがよいです
拙著『米国株超楽ちん投資術』をお読みいただきありがとうございます。ご丁寧なご報告とご相談、非常にうれしく拝見いたしました。発刊以来、本当にらくちんな相場が続いていますね。そして、これからも続くことでしょう。
まず、休職を経験されながらも、着実に資産を積み上げられていること、すばらしいですね。現在の資産950万円というのは、29歳というご年齢を考えると大変立派な成果です。私が30歳前後のころと、殆ど同じ額ですね。
ご自身の健康や人生設計としっかり向き合いながら、堅実に投資をされている様子が伝わってきました。

さて、ご相談の件です。
1. キャッシュフローと資産拡大のバランスについて
これは非常に多くの方が悩まれるテーマです。まだお若く、将来的に復職・結婚も視野に入れられているのであれば、資産拡大を優先する期間をしばらく継続されるのが望ましいと考えます。
現在のようにVTIなどを中心としたインデックス投資は、リスクを抑えながら経済成長を取り込める簡単で優れた戦略です。
一方で、高配当株は精神的な安定をもたらす反面、増配余地が小さく成長性に劣ることもあります。リートもそうです。
したがって、「8〜9割はインデックスで運用、1〜2割を高配当ETFにする」といった柔軟な配分が、心の安定と資産拡大のバランスを取るには適しているかもしれません。
基本は若い方に高配当はおすすめしていませんが、やってみないと分からないこともあるからです。やって数年経れば、その非効率さに気づくでしょう。
とはいえ、すでに年間16万円の分配金を確保されており、生活費の一部を補える状況にあるのも強みです。このペースで運用を続けつつ、余力が出たら高配当株に少しずつ追加する形が無理なく継続できると感じます。
もしこの本業外収益が心の支えになる面がおありであれば、それはそれで肯定されてよいと思います。その効果は大きいですから、経済的合理性だけで語れないメリットがあります。
2. 私が同じ立場ならどうするか
もし私が同じ状況にあれば、当然ながら健康とメンタルを最優先にします。体と心が整ってこそ、長期の投資も安定的に継続できます。具体的には、良く寝ることですね。
よく寝られるかどうかが、好不調の見極めと言っても良いでしょう。
そのうえで、月々の支出を見直し、少し現金比率を高めておくことも検討します。現在の50万円という現金は、突発的な支出にはやや心許ない印象もあります。生活防衛資金として半年分を確保できると、精神的余裕がさらに増すでしょう。
30歳前後の私は、ほぼ個別株100%でした。ろくなETFが無かったという時代背景もあります。しかし、1000万前後であれば、やはり個別株集中投資をすると思います。
参考にならないかもしれませんが、リスクを取ったから今があるのも事実です。とはいえ、だれにでもお勧めできるようなポートフォリオではないですね。
最後に、焦らず、ご自身のペースで投資を楽しむのが一番です。投資はマーケットに惑わされず続けることが何よりも力になります。どうか無理なさらず、健康第一で日々をお過ごしください。
共に頑張りましょう!
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