子どもに金融教育は必要か、必要でないか。
投資を知って、将来に備えた資産形成が必須の時代になりつつあります。理由はいくつかあります。
- 年収が伸びない
- 寿命は延びている
- 年金だけでは将来が賄えない
- そもそも年金支給開始年齢が引き上げられる可能性もある
- 銀行金利が低い
枚挙にいとまがないというのはこういうことです。
投資が必要か必要でないか、ということでしたらおそらく多くの人が「必要」と答えるのではないでしょうか。しかし、投資教育あるいは金融教育が必要かと言われると、答えがかなり広くなります。
投資は必要だが、何歳ぐらいから投資の学習をするのがベストなのか
昨今、さまざまな投資家とこの話題について話すことがありました。
「たぱぞうさんはお子さんに投資を教えているのですか」
と直接聞かれることもあります。
子どもを持つ親としては、自分の子どもによりよく生きて欲しいと願うのは当然ですね。しかし、何歳から投資のことを教えるのかということに関してはいろいろな考え方があります。
40歳まで投資なんか知らなくても良いという考え
私の投資家仲間で、資産運用コンサルをしている友人がいます。その彼は20代前半の人からの依頼は基本的に受けていない、ということを明言していましたね。
そういいつつも、その彼も資産運用でセミリタイア→法人化の上、独立をしています。一見逆説的なのですが、どうして若い人からのコンサル依頼を受けないのでしょうか。
それは、「40歳ぐらいまでは仕事にがむしゃらに打ち込んだほうが良い」という考えだからです。確かに、私自身を振り返ってみても、仕事が最も面白いのは覚え始める20代後半から、やんちゃにプレーヤーとしてやれる40代に差し掛かるぐらいまでなのかもしれません。
「若いうちは投資なんかに目を向けないで、与えられたフィールドでベストを尽くしたほうが良いよ」という彼の考えは、納得できる部分があります。ただ、その職場がベストを尽くす価値があるかどうかというのは人によります。
そう思える職場で過ごせたというのは、本当に素晴らしいことですね。
学校教育で投資教育をしたほうが良いという考え
40歳まで投資を知らなくても良い、という考えがある一方で若い時から投資教育をしたほうが良いという考えもあります。その代表的なものは、学校教育で投資教育をしたほうが良いという考えでしょう。
この場合の学校教育というのは、小中高等学校を指します。大学においては、学部選択で投資を学ぶことができますね。いわば、学生自身に選択が委ねられています。
学校教育で投資教育をするにあたっては、何かを減らすという発想が大事でしょう。
高度に複雑化した現代社会では、大人だけでなく子どもも学ぶことが激増しています。環境、福祉、情報、外国語など、かつてはあまり学習対象にならなかったことがカリキュラムに組み込まれていますね。
こういった社会科学系の内容だけでなく、昔からある漢文や古文あるいは歴史といった人文科学系の学習も当然ながら存在しています。
つまり、今の学生は学ぶ対象が昔に比べて網羅的になっているのです。これでは、教えるほうもキャッチアップしていくのに無理がありますし、学ぶほうも大変です。
何か新しいことを始めるには、何かをマイナスで減らしていかなくてはいけない。加えるのはともかく、減らすことはさらに難しい。今の子どもたちのランドセルの中身を見るとつくづくそう思います。
教科書の分厚さ、ランドセルの中身の重さ。こうした現実に向き合うと、また改めて金融教育という内容を加えていくことに躊躇しますね。
私たちは、仕事上でも取捨選択をしていく発想が不可欠な時代を生きています。同時に学校もまたその課題と向き合っていると言って良いでしょう。
家庭教育で行うのが良いという考え
家庭教育で担っていくという考えもありますね。質問があればすぐに答えることができますし、分からないところに寄り添い、ていねいに対応していくことも可能です。しかし、家庭教育の最大の欠点は、ムラがあることですね。
- 系統性を持たせた教育が難しい
- 家庭ごとの差が生じる
- どうしても体験に基づいた偏りが生まれる
こういった点が生じます。
そういう意味では手軽ではありますが、家庭教育だけに依存し続けるのはなかなか課題がありそうです。
3600名からのアンケート結果
子どもに金融教育、投資教育は必要かということでTwitterでアンケートをいただきました。ご協力いただいた方、ありがとうございました。
結果としては、およそ9割の方が投資について教えたほうが良い、1割の方が教えないほうが良いということでした。
やはり、時代からして何らかの形で伝えたい。しかし、生き方や考え方の価値の置き方として、それだけという視点にはなってほしくない。そんな思いも分かりますね。
生活の中で自然に身に付き、成人する時には最低限のリテラシーをもっている。そんな環境だと良いですが、まだまだ時間がかかりそうですね。
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こういう事例を目にすると、何らかのリテラシーを身に付ける教育の機会というのは喫緊の課題のように見えます。