大副業時代が幕開けたように見えたが・・・
大副業時代と言われます。構図は簡単で、私たち日本人の年収が増えないから副業で補おうということです。年収が増えないだけならばともかく、細かいコンプラをはじめとして負担感のみ増加している組織もあります。
1990年代や2000年代初頭は副業というと、帰宅後のアルバイトが主でした。誰かに雇われ、労働力と時間を提供するという形ですね。しかし、2010年代に入ると急激に副業の形が変化します。
- 不動産賃貸業
- 太陽光発電事業
- 株式投資家
- 民泊事業
- セドラー
- アフィリエイター
- ブロガー
- YouTuber
思いつくだけでもこれだけの副業があります。いや、中にはもうほとんど不可能なものもあります。そういう意味では「これだけの副業がありました」と表現したほうが適切かもしれません。
ほとんどすべてにおいて共通することがあります。それは、「競争が激化した」ということです。
ほとんど副業として成り立たなくなったもの
上に挙げた副業のいくつかはほとんど副業として成り立たなくなりました。その栄枯盛衰のスピードは速く、もたもたしているとお金と時間を毀損する、そういう世界になっています。
手間のかかるせどりはまったく私は手を付けていません。しかし、他の副業はそれなりに体験しました。現状の厳しさを目の当たりにして思うところありますので、コメントをつけていきます。
安易に副業として参入できなくなった民泊
民泊は完全に終わりましたね。もう少し言葉を足すと、個性を出せないタイプの民泊は終わりました。ただ安いとか、ただ場所がまずまずとか、そういうところはもういけません。インバウンドを当て込んだホテルでさえ過当競争で苦戦しているのです。そもそも、利用者は似たような価格ならばホテルに行くのです。
民泊専用物件として観光地で銀行ローンを組んで買うような物件もありましたね。コロナで返済が進まず大変なことになっているようです。
民泊の仲介業者、管理業者は不動産業界以上にやんちゃな一面がありました。驚くような経験をさせてもらいましたね。今後も淘汰は進むのでしょう。差別化の時代に突入したということです。利用者の目線ならば、淘汰による質の向上が期待できるので、良い面もあります。
少なくとも、人脈とノウハウのない素人が投資感覚でやれる時代は終わりました。私も最盛期は5件ほど手掛けていましたが、撤退ルールを決めていたのがよかったです。かつてのイメージで粘っていたら、コロナで大変だったでしょう。
投資額に対するリターン、撤退の判断、それは個別株に似たところがあります。
副業として成り立たなくなったアフィリエイトとブログ
次にブログとアフィリです。
2019年3月の変動を経て、2020年5月にも大きな変動がありました。いずれもSEOに依存していた個人ブログやアフィリエイトサイトに不利な変動でした。サイト作りの難易度は上がっており、法人レベルだったベテラン勢でも撤退しているところが多くあります。
ブロガーも本当に減りました。新規参入も多いので総数は増えているかもしれませんが、ここで言うのは昔からのブロガーですね。2018年ごろまでは書けば書くほど収益になる時代でしたが、完全にそういう時代ではないですね。特に、毎日書くのは全く意味がありません。すぐやめましょう(笑)
時間単価で考えると相変わらず割に合わないですから、今後も減少は続くのでしょう。大副業時代という時代背景もあり、多くのサイトが生まれました。しかし、中にはおやんちゃに過ぎるサイトもありましたから、ある意味では必然かと思います。言わば、このジャンルは自分たちで自分の首を絞めたような形になりました。
長い間チャンスを与えられていたのですが、見合った価値を提供できなかったと判断され、見切られたのかもしれませんね。
検索次第で上にも下にも行くという意味においては、Youtubeも一緒です。ブログもアフィサイトもyoutubeも、何かに評価されるという、そして理不尽も時にはあるという意味において、組織で働くのと構図は変わりません。
あまり夢を見すぎないぐらいがちょうどいいですね。ブログやYoutubeといったプラットフォームは、もともとそうだった趣味の世界に急速に戻ろうとしているように見えます。
不動産賃貸業という副業は参入障壁が高いが・・・
最後に、不動産賃貸業です。日本の不動産は基本的に株式のような単純なキャピタルはとりにくいです。もちろん、ちょっとしたアービトラージを突く形のキャピタルはこれからもあるのでしょう。
そういう意味では、米国株のように濡れ手で粟で利益が得られるようなものではありません。しかし、今は多様な副業がない時代になりつつあります。
例えば太陽光はぎりぎりまだいけますが、それも来年、遅くとも再来年には案件が枯渇するのでしょう。セカンダリ市場が充実し、ファイナンスが付けば再び活況を呈する可能性はあります。しかし、それは不確実な数年後の話です。
参入障壁は低くはないものの、他の選択も少ないことから今後も不動産参入者は増えるのでしょう。
そういう意味では、最低限の立地を満たす物件はある程度高止まりし、下値が固い、そのような展開が続いてもおかしくありません。個人が参入しやすい、グロスの張らない物件、実需で逃げられる物件への需要はしばらく尽きないでしょう。
大副業時代は終わらないが、一時期の熱狂はしぼみつつある
イージーな副業がたくさん生まれたのが2010年代であり、それが急速にしぼんでいったのが2020年と総括することもできます。背景に日本の貧困化があるので、副業ブーム自体がなくなることはないでしょう。
しかし、1990年ごろの日本がそうだったように、副業というとアルバイトという形が一般化するのかもしれません。
そういう意味では、ネット黎明期から2019年にかけての参入障壁の低さ、だれもが事業者になれる可能性があったジャンルの豊富さというのは稀有でしたね。
権利を買っただけで回る太陽光や民泊、書いただけで収益になるブログやアフィリ、そういう時代が確かにありました。不易と流行、いつの時代も新しいものが生まれ、いつの時代も変わらぬものがあるということですね。
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属人性の高さが参入障壁となっているYouTubeはまだまだやれます。しかし、その流れを永続的なものと断言することはできません。
一時的に収益が出ても、それをきちんとストックに置き換えていくことが大事ですね。それは、副業も本業も変わらないのです。
大きな金額を狙わなければ、あくまで副業として据えるならば、というお話です。