世界幸福度ランキングとは?
毎年3月20日は国連が定めた国際幸福デー(The International Day of Happiness)だそうです。この時期に公表されるのが「世界幸福度ランキング」(World Happiness Report)です。
2012年からリリースされています。2020年版は200ページ以上の大作です。まもなく次のレポートがリリースされますが、その前に2021年の結果を確認したいと思います。
世界幸福度ランキングは、以下の項目を用いて算出し、過去3年の平均値で順位を決めています。
・一人当たりの国内総生産(GDP)
・社会的支援(Social Support)
・健康寿命(healthy life expectancy)
・社会的自由(freedom to make life choices)
・寛容さ(Generosity:濃橙色)
・汚職の無さ・頻度(Perceptions of corruption)
・ディストピア(人生評価/主観満足度)+残余値(Dystopia (2.43) + Residual)
ディストピアとは「架空の国」を意味するもので、最終的なランキングは「各項目が最低値を取ると仮定されるディストピア(架空の国)」と、どれだけ差があるか(Residual)を加えて、決定される仕組みです。
もともと国連機関は、国内総生産(GDP)をはじめとする経済指標を重視していました。しかし世界的な金融危機や環境破壊など、これから先の社会を生きる上で、無視できない問題が多発したことを踏まえて「経済指標だけでは本当の幸福度は測れない」と考えるようになったのです。
こうした経緯を経て誕生したのが、ご紹介する世界幸福度ランキングです。調査はアメリカの調査会社ギャッラップ社が、対象国・地域の数千人を対象におこない、結果をまとめています。
世界幸福度ランキングトップ20【2022】
2021年に発表されたランキング上位20か国は以下のとおりです。
上位には北欧が目立ちます。
1位:フィンランド
2位:デンマーク
6位:ノルウェー
7位:スウェーデン
フィンランドは4年連続1位だそうです。北欧を含めて、上位20か国にはヨーロッパの国が多いですね。上位の国は紫色の「ディストピア(人生評価/主観満足度)+残余値」の値が高いことが特徴です。
一人当たりのGDPでルクセンブルクやアイルランドが大きいこともよくわかるチャートです。この2国はいわゆる税率が低いタックスヘイブン(租税回避地)として知られ、数多くの国外企業を誘致することに成功しています。
小国でも、制度設計で経済力を持てることを示している例です。
世界幸福度ランキングと日本
さて、わが日本にも触れておきましょう。日本は56位で先進国中最低の順位でした。
前年が過去最低の62位だったそうで、前年比ではランクを上昇させてはいます。
他国と比較すると、「GDP」と「健康寿命」は高いものの他は低く、特に低評価なのが「社会的自由」と、「寛容さ(他者への寛大さ)」です。さらに日本人は「人生評価/主観満足度」が非常に低い評価になっています。
経済的な数値では豊かに見えても、人々は必ずしもハッピーではないと評価されるのがこのランキングの特徴に思えます。
ただし、このランキングは3年平均で算出しており、2020年のみで算出すると日本は40位にランキングされ、単年度比では50位からランキングを10上昇させています。
世界幸福度ランキングは雇用、生活の安定も大きな要因
興味深いチャートが掲載されていました。これは2019年から2020年にかけての雇用の変化を表すもので、幸福度ランキングで上位にランキングされている国よりも日本の雇用は減っていません。
単年度ではランキングが大きく上昇した要因はここにあるかもしれません。
出典: World Happiness Report
雇用の維持=生活の経済的基盤の確保だとするならば、経済的基盤だけではハッピーとは感じられないかもしれないけれど、そうはいっても経済的基盤はやっぱり無視はできないということでしょう。
世界幸福度ランキングは、人によって基準が異なる「幸福度」を、可能な限り幅広い観点からとらえて、わかりやすい数値で示すための取り組みのひとつといえます。
とはいえ、完璧なランキングは作れません。
幸福度ランキングで上位になれないからといって、それが即「不幸」というわけではないでしょう。いいところは上手に取り入れる視野の広さを持ちたいものですね。
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