時価総額1位企業の持つ意味
日本の時価総額1位は長らくトヨタ自動車です。一方、世界の時価総額1位は変動があります。
世界の時価総額1位の企業は今は米国企業がほとんどです。企業は入れ替わっても、企業の母国はほとんど常にアメリカということです。果たして、この時価総額1位の座が米国企業でなくなる日がくるのでしょうか。
もし、その日が来るならば、現在の米国中心の世界から、多極化した世界へと変化を遂げているかもしれません。米国は現在世界における覇権国です。それが、米国が数ある大国のうちの1つ、こういう地位になるということです。
私はそれはしばらくないと思っています。しかし、もしかしたら中国が、もしかしたらインドが、米国に肩を並べるような存在になるのかもしれません。その時にもし中国やインドが株主の権利を守る法整備をしているならば、投資先としての意味はあるでしょう。
ただ、両国の歴史や国民性、あるいは政治の在り方をみていると、そういった投資環境の整備には短くない時間がかかると思われます。
それでは、2000年代に入ってからの時価総額1位の企業を見てみます。
21世紀における世界の時価総額1位の変遷
それでは、時価総額企業の変遷を見てみましょう。
こうしてみると、時代の流れ、トレンドが見事に反映されています。
年 | 企業 | 国 |
---|---|---|
2000年 | ゼネラル・エレクトリック(GE) |
アメリカ |
2001年 | ||
2002年 | マイクロソフト(MSFT) | アメリカ |
2003年 | ゼネラル・エレクトリック(GE) |
アメリカ |
2004年 | ||
2005年 | ||
2006年 | エクソン・モービル(XOM) | アメリカ |
2007年 | ペトロチャイナ | 中国 |
2008年 | エクソン・モービル(XOM) | アメリカ |
2009年 | ペトロチャイナ | 中国 |
2010年 | エクソン・モービル(XOM) |
アメリカ |
2011年 | ||
2012年 | アップル(APPL) |
アメリカ |
2013年 | ||
2014年 | ||
2015年 | ||
2016年 | ||
2017年 | ||
2018年 | ||
2019年 | マイクロソフト(MSFT) | アメリカ |
このようになっています。
ワイドモートな製造業として圧倒的だった【GE】
まず、21世紀初頭にかけてはゼネラルエレクトリック【GE】が強みを持っていたということです。金融子会社を抱え、自社商品を金融子会社のローンで購入できるビジネスモデルを作り上げていました。
リーマンショック以前は、そのビジネスモデル自体は成功していました。そのため、金融子会社は大きな収益源でした。しかし、リーマンショックで多くの債権焦げ付きを引き起こし、その後ゼネラルエレクトリック【GE】は金融子会社を売却して本業に集中しています。
パソコン向けソフトウェアで覇を唱えた【MSFT】
マイクロソフト【MSFT】はワイドモートなPC用のOSやワード&エクセルといったビジネスソフトが収益源です。スマホが世界を席巻する前は、マイクロソフトのOSであるWindowsが世界標準OSであり、圧倒的な強みがありました。ここには掲載していませんが、1990年代も時価総額1位になっています。
その後一時期伸び悩んだものの、2019年に入り再び1位になっています。圧倒的なシェアを持つオフィスソフト、Windowsで知られるOS、これらのサブスクリプション化が収益構造を変えました。また、クラウドのazureのシェアも良く伸びています。
原油高の追い風を受けた、エクソンとペトロチャイナ
2006年からはエクソンモービル、ペトロチャイナが圧倒的でした。これは、原油高に伴う、石油企業の好業績を受けたものです。
その後、シェールオイルの採掘技術の向上が見られます。そのため、従前に比べて安価に良質の石油が取れるようになりました。米国は2016年には1975年から実に40年以上かけて禁輸をしていた石油を、輸出解禁します。
こうなると、需給バランスが崩れるということになります。およそ100ドルまで上昇していたWTI原油価格は2016年には50ドル近辺まで急落し、その後の反発も限られたものになっています。
シェールオイルの採掘が鈍化しない限り、この流れは変わらないでしょう。そういう意味では、今後も石油は必要とされますが、WTI原油価格の急激な上昇というのは戦争などの特殊要因が加わらない限り、ほとんど無いと言えます。
つまり、エクソンモービル、ペトロチャイナなどの復権は考えにくいということです。
Microsoft、Apple、Amazonを軸として回る
※画像は時価総額1位争いをするアップル(APPL)の投資家情報サイトから
2012年からはアップルが継続して時価総額1位の座を占めていました。その独特の世界観から派生する魅力ある商品群は、他と一線を画しています。
例えばスマートフォンの販売台数でみると、8割以上がアンドロイド搭載機であり、iphoneのシェアは10%台にすぎません。にもかかわらず、世界のアンドロイド販売により得られる利益よりも、iPhoneの販売における利益のほうが大きいという状況になっています。
同様に、上位を争うAmazon、Microsoftも独自色が強く、非常に個性的です。利益率でいうとAmazonは業態上限りがありますが、Microsoftも高利益率です。
これからも、圧倒的なブランド力と付加価値でその地位を向上させるのか、それともイノベーションにより時価総額1位の座が入れ替わるのか。時価総額1位の企業から見える世界経済があります。
Amazon、Apple、Microsoftを始めとするの時価総額上位の入れ替わりは非常に興味深いです。
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世界の時価総額ランキングです。圧倒的に米国企業が多く、次にヨーロッパ、中国企業です。続いて日本、韓国、オーストラリア、カナダ企業も存在感を示しています。各国、各地域の勢いを感じることができます。
日本企業ならばどこが強みがあるのか。絶対的な資料ではありませんが、何らかの参考にはなります。特に就職や転職時には頭に入れておきたい、それぞれの業界の強みというのはありますね。
時価総額に基づくカテゴリ分けが曲がり角になっている、TOPIXです。