たぱぞうの米国株投資

米国株/不動産投資ブログ。某投資顧問のアドバイザ。メディア実績多数。当サイトには広告が含まれます。

世界の小売業ランキングトップ30のシンプル解説【2021年】

世界の小売業ランキング2021

 Deloitte Touche Tohmatsu Limitedが2021年4月に発表したGlobal Powers of Retailing 2021(世界の小売業ランキング2021)を紹介します。

 

 このランキングは今年で24回目の発行となり、2019年度(2020年6月30日までに期末を迎える各企業の事業年度が対象)の公表データに基づいて世界の小売企業から上位250社を選定しています。

 

 主な情報源は、年次報告書、SEC(米証券取引委員会) 提出書類および各社のプレスリリース、ファクトシート、プレゼンテーション資料、企業ウェブサイト上の情報など、企業が公開している情報です。

 

 企業の公開情報を利用できない場合には、業界誌による予測や業界アナリストの報告書、取材記事など、その他の公表されている情報源を使用しているとのことです。

 

 2019年7月1日から2020年6月30日までの間に期末を迎える事業年度の企業業績が対象です。当該事業年度の大半は2019年暦年に該当しています。概ね新型コロナウィルス感染拡大前の状況といえます。

世界の小売業ランキング2021トップ30と概説

 成長率は自国通貨で計算していますが、売上高は米ドル建てです。


ここでは上位30社をご紹介します。

 

順位 企業名 本拠 売上100万$ 国数
1 Walmart 米国  523,964 27
2 Amazon 米国   158,439 17
3 Costco 米国 152,703 12
4 Schwarz 独逸  126,124 33
5 The Kroger 米国 121,539 1
6 Walgreens  米国  115,994 9
7 The Home Depot 米国  110,225 3
8 Aldi 独逸 106,326 19
9 CVS Health 米国 86,608 1
10 Tesco 英国 81,347 8
11 Target 米国 77,130 1
12 Ahold Delhaize 蘭国 74,160 10
13 JD.com 中国 73,909 1
14 イオン 日本  72,711 11
15 Lowe's 米国 72,148 2
16 Albertsons 米国 62,455 1
17 Edeka-Verbund 独逸 61,221 1
18 セブン&アイ 日本 58,552 18
19 Rewe 独逸 55,772 13
20 Auchan 仏国 51,264 14
21 Best Buy 米国 43,638 3
22 E. Leclerc 仏国  43,426 6
23 LVMH 仏国 41,810 70
24 Woolworths 豪国 41,778 3
25 TJX 米国 41,717 10
26 IKEA 蘭国 41,580 30
27 Casino 仏国 38,775 27
28 Publix 米国 38,463 1
29 Suning 中国 36,707 1
30 J Sainsbury  英国 36,303 2

 

出所:https://www2.deloitte.com/global/en/pages/consumer-business/articles/global-powers-of-retailing.html
注:eは見通し、**は卸売と小売を合計した売り上げを意味する

 

 1位は世界の小売りの雄、ウォルマートです。表右端の成長率は鈍化が見えますが、当面トップを譲らなさそうな売上高です。株式はNYダウ、S&P500に採用されています。

 

 2位はアマゾンです。前年の3位からランクを上げました。売上高は小売り事業のみで、アマゾン全体の約半分です。成長率に目を見張りますね。株式はS&P500に採用されています。

 

 3位は前年の2位から1つランクダウンしたコストコです。決して悪くない成長率ですが、アマゾンの勢いには勝てなかったということでしょう。株式はS&P500に採用されています。

 

 4位のシュバルツグループはドイツ国内で大手の小売企業で、その傘下にはLidl(リドル)やKaufland(カウフランド)というディスカウントスーパーがあります。

 

 5位は米国のスーパーマーケット、薬局運営会社、クローガーです。米国単独での営業で世界の5位にランクしているわけですから、米国での存在感はかなりのものと言えます。株式はS&P500に採用されています。

 

 6位のウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスはドラッグストア・薬局を営んでいます。日本でいうならウエルシアみたいなものだと思えばいいと思います。株式はNYダウ、S&P500に採用されています。

 

 7位のホーム・デポはいわゆるホームセンターです。株式はNYダウ、S&P500に採用されています。

 

 8位のアルディはドイツのディスカウントストア運営企業です。

 

 9位のCVSヘルスは6位のウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスと同様、ドラッグストア・薬局を営んでいます。株式はS&P500に採用されています。

 

 10位のテスコは英国の総合小売業で、日本でいうならイオンみたいなものでしょうか。株式はFTSE100に採用されています。

 

 11位以下を俯瞰すると、13位のJDの成長率が目立ちます。家電・PC・家具・衣類・食品・書籍などの商品をネット販売している「JD.com」を運営しています。2019年度にECサイトのアクティブユーザーが18.6%増加(3億6,200万人)したことが売り上げ増に寄与しているとのことです。

 

 日本企業は上位30位以内にイオンとセブンアンドアイHDがランクインしました。

世界の小売業ランキング資料が面白い

 このランキング資料の興味深い点をいくつかご紹介します。まずは、地域別の動向がわかりやすいです。

世界の小売業の地域別動向

世界の小売業の地域別動向

 本社所在地での区分ですが、中南米、アフリカ・中東はまだまだ成長の余地を感じます。

地域別の小売業売上構成比

地域別の小売業売上構成比

 ハードライン・レジャー用品は北米が強いといった特徴がわかるのも興味深い点です。

 

 ちなみに、FMCGとはFast Moving Consumer Goodsの略で、消費者向けの低価格の製品(日用品)のことです。パッケージ食品、飲料、トイレタリー、キャンディー、化粧品、市販薬、乾物、などですね。比較的在庫回転率が高いです。

 

 購買力は国民の経済力に直結します。そのため、これから経済発展が期待できる地域においては大きな変化の可能性を秘めていますね。

 

関連記事です。

新興国への期待はいつの時代もありますね。しかし、永遠の新興国、あるいは開発途上国というのもまた存在しますから、見極めが大事です。

www.americakabu.com

昨今話題のBNPLについてです。

www.americakabu.com

こちらはイノベーティブかどうかでランク付けしたものです。

www.americakabu.com