誰もがありうる下流老人という暮らし
私がこの本をとってみたのは、
「今の老人世代は日本の歴史上もっとも豊かな時代に生きたはず。なのになぜ、下流老人と呼ばれる存在が多数生まれつつあるのだろう」
という無神経な疑問があったからです。最も豊かな時代に生きた、とする根拠は
- 正社員、正規雇用が今より多かった
- 互助的親族関係が今より密で、さらに結婚が当たり前だった。
- 時間をかけた富の蓄積が少なからずできた
という思い込みによるものです。
しかし、本書を読んで、誰もがありうるし、これから増えることはあっても減ることはない存在であるということを確信するに至りました。
どのようにして下流老人になっていくのか。
下流老人になる原因はズバリ「病気」です。
本書では以下の貧困パターンが紹介されています。
- 病気の親の介護による退職
- うつ病の娘の看病、精神的介護
- 自分自身の大病
- 自分自身の認知と家族による放棄
病気は長引けば長引くほど出費がかさみます。また、寝たきりになり差額ベッド代やおむつ代、刻み食などの特別食代がかかるケースもあります。
病院によりますが、寝たきりで20万から30万の出費が一般家庭に生じるケースもざらではありません。これは保険が効かない出費です。おむつ代は医療行為ではありません。だから、自費負担分なのです。
しかも、これだけ出費があっても受け入れてもらえるだけ幸せです。
それだけ重い患者の場合は受け入れ先を探すのが大変です。
大病したとします。手術は急性期病院でしてもらえます。しかし、急性期病院の入院の上限は3か月で、それからは自分で病院を探さなくてはならないのです。受け入れ先が無い場合は自宅で介護することになります。トイレに行けない、食事ができない、その場合は介護者が仕事を辞めざるを得ません。
こうなると、私たち雇われ人の積み上げた貯蓄がなくなるのはあっという間です。
どのような貧困対策があるのか
正直対策があまりない、というのが読後の感想です。それでも絞り出してまとめてみると、
- 生活保護の申請
- 親兄弟を中心とする親族互助組織の強化
- 貯蓄と投資による資本強化
が思いつくところです。
健康な私たちが今からできることは、2,3になります。
親族互助組織の強化
お互いに困ったときに助け合えるように、今から連絡を取り合って、助け合っていく日常を意識していくことが大切だと思います。人間関係の拡大、充実はこれからの困難な時代を生き抜く最も効果的な方法であると私は確信しています。
人間関係はメンテナンスが必要です。友人関係、親子関係問わずです。これを意識しないと対応が雑になり、関係が疎遠になるのです。どうでもよい、浅い付き合いよりもそれこそ選択と集中して本当に精神的にリラックスでき、互助的な関係を作り上げたいものです。
それと同時に、倒れたときの対応を話し合っておくべきです。具体的には、胃瘻、気管切開、ホスピス、などの対応です。私は私が倒れたことにより周囲の人が苦しむのは見たくありません。そして、QOL(クオリティオブライフ)が極端に低下した状態で生き延びたくはありません。余計に苦しそうだからです。
貯蓄と投資による資本強化
周囲に迷惑をかけないためにも最低限のお金は持っておくべきです。給与増が限られる今、誰もができる投資方法を実行するしかありません。
- ドル転によるVTI、VYM長期投資
- ドル転によるVTI、BNDリバランス投資
いろいろありますが、リスク分散投資をしていざというときに家族が取り崩して使えるようにしておきたいと思っています。
私が悲観的すぎるのでしょうか。
有史始まって以来の高齢化社会の到来はもうすぐです。
こちらは続編ですね。