株式投資におけるリバランスとは?
リバランスとは、相場変動によって生じた投資配分を調整することです。
やり方は大きく分けて2つあります。
- 投資当初の%を維持する
- 相場変動に合わせて%を決める
リバランスを採用している投資家の多くは「投資当初の%を維持する」方法を採用していますね。SBI証券さんが分かりやすく図でまとめられているので紹介します。
まず、100万円で25%ずつ割り振ります。その後値上がり、値下がりしてバランスが崩れます。それが下図です。
それを当初の割合に戻すべく、リバランスをします。
リバランスによって、再度すっきりした形になりました。これは、株式という同じ属性の中で行われることもありますし、この図のケースのように株や債券などアセットごとに割り振る場合もあります。
細かい言葉の意味はともかくとして、要は「分散させる」ということですね。ですから、分散投資とリバランスは極めて近い関係にあると言えます。さて、以上のことを踏まえてご質問を紹介します。
リバランスのやり方とタイミングの指針を作りたい
たぱぞう様
記事がupされる事、楽しみにしております。宜しくお願い致します。
私の投資に関しての長期目標で、
- インフレ局面、デフレ局面それぞれでの投資。
- USドルに対して円高局面、円安局面でのそれぞれの投資。
この2点を意識しながら、年に1度ほどポートフォリオをレビューし、再投資や追加投資の内容を考えています。
ついては、たぱぞう様がご推薦されているETF銘柄の長所短所をまとめて頂けると助かります。VTIやVYMのように墓場まで持って行ける投資は私の望む姿で、ETFはその解の一つだと思います。
しかしながら、上記2点を考慮すると、若干のリバランス程度は必要と考えており、
数値化、図式化する事で、投資になじみのない人でも理解しやすい形を作り上げようと思っています。
リバランスをする前の前提条件の確認
リバランスをする前に、米国株を取り巻く現状についてのお答えを先にします。ご質問内容にあったインフレと為替変動の部分ですね。
私は基本的にはドル資産はドル資産の中でリバランスしたほうがすっきりするという考えです。バフェット氏が「S&P500連動商品9割、米国短期債1割」という目安を示していました。これと同じようにドル資産の中で完結するということです。
リスクが高いとされる株式ETFが9割というところに妙味があります。
米国の年率2%以上のインフレは当面継続される
まず、前提条件として、直近の米国のインフレは高く推移してきましたが、年率2%のインフレは当面継続される意思があるということです。
コロナ以後は高かったのものの、過去40年近く、非常に良くコントロールされてきました。米国は人口比率、増加率、経済成長など安定的です。予測不可能な天災、たとえばイエローストーンが大噴火するとかあれば別ですが、その可能性は高くないでしょう。
インフレ率がこの枠内から大きく振れてハイパーインフレになったり、日本のように長期のデフレになったりということは時々はあっても恒常化はしないだろうとみています。
こういう前提に立つと、通貨のまま持ち続けるということは年2%以上の価値の下落から避けられないということです。
そのため、資産は株式・債券あるいはコモディティ・不動産などに投資することが望ましいです。このうち、ドルでの投資ならば、簡単に米国ETFを活用して分散ポートフォリオが組めます。
いずれにしても、株式のリターンの大きさはもちろん、債券も米国のほうが金利がつきます。現状で言うと米国株、米国債への投資というのが当面安定ということになります。
円高・円安局面での投資
短期の為替動向は非常に読みにくいです。しかし、21世紀に入ってからのドル円相場はある意味では安定的でした。昨今荒れていますが、いずれ巻き戻しがある、そのような流れです。
もちろん、短中期での影響は大きいのですが、日本国内に投資先を限定すると非常に難しいことになります。そのため、あえて為替リスクを許容せざるを得ないと考えます。
最も簡単なのはキャッシュポジションを生かしたリバランス
リバランスの中で重要なのはキャッシュポジションだと私は考えます。債券やコモディティも意味がありますが、やはり市場の影響を少なからず受けます。
シンプルなポートフォリオは以下の2つです。
- 株式+現金
- 株式+債券+現金
やり方としては資金投入して、持っているアセットを売らないでリバランスをするのが最も簡単です。いわゆる「ノーセルリバランス」 です。ノーセルリバランスをするためには、現金が必要になります。
タイミングとしては月単位でポートフォリオを見て、毎月買い足して微調整を加えるのが理想です。年単位だとなかなか厳しいですね。
そういう意味ではバランスファンドは極めてお手軽にリバランスをしてくれる商品ということになります。これらは特に投資に十分な時間を割けない、兼業投資家には大きな意味があります。
これは右肩上がりの米国株投資だから取れる、極めて楽観的な投資手法です。いや、ただただ淡々と買い増すだけですから投資手法でさえもないかもしれません。特に米国ETF、VTI/VOOやVYMは楽ですね。
米国が移民政策を止め、人口が停滞し、新しい産業が生まれなくなり、貿易も振るわなくなる。こうなれば他国に投資をしたほうが良いでしょう。しかし、まだまだ米国の勢いは続くと私は見ています。
投資とは成長企業に投資をするというイメージがありますが、これは難しいです。成長市場に投資するのが最も簡単なそれこそ「誰にもできる投資術」だと私は確信しています。
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国内マーケットが縮小することをどう考えていくかということです。