リスクリターンと投資心理をどう考えるか
コロナ以後はグロース株のリターンが非常に大きく、資産を2倍、3倍にする人も珍しくありませんでした。すばらしいことですね。夢のある話です。
コロナ以前以後にかかわらず、テーマやグロース株というのは当たれば大きく、IPOなども魅力の一つになっています。
しかしながら、当たれば大きいというのは、反面下げても大きいということになります。当たるリスクに着目して投資をするのか、下げるリスクに着目して投資をするのか。ここが投資心理の分かれ目となりますね。2021-2022年の相場はグロースの光と闇を教えてくれましたね。
もともと貯金や保険を資産運用の柱にしてきた人は、だいたいにおいてこの上下動のリスクがストレスとなる人が多いですね。そういう人は、あまりグロース株投資は向いていないということになります。
一方で、自分なりの目線がしっかりしており、下げても動じない人は、リスク許容度の高い人ということになります。ただし、目線の修正ができない人もテーマ、グロース株投資は向いていません。
昨今は上下動が大きく、下げ幅も大きいですが、それまでに十分リターンは出ていますね。そういう意味では、指数への投資はのんびりと感じられるかもしれませんが着実なものです。
いずれにしても、このリスクリターンというのは永遠の課題です。
人によっては太陽光で数億、不動産で数億といった借金の単位が怖いと思う人もいれば、グロース株の数十パーセントに及ぶ上下動が怖いと思う人もいるわけです。しかし、そうしたリスクをある程度取っていかないと人生何も変わらないということになります。
資産運用のゴールをFIREとするのか、老後資金確保とするのか。それによって採用する投資手法が異なるというわけですね。
リスクリターン、確実性と不確実性をどのようにバランスを取り、心地よいレベルで運用を続けるかということですね。さて、前段が長くなりましたが、今回は投資心理についてのご質問です。
リスクリターンの正体をどのように考えておけばよいのか
はじめまして。毎朝楽しみに拝見しております。
米国株投資(S&PやNasdaq100)を中心にポートフォリオを組んでおり、2~3倍のレバレッジもかけています。
ところで、そもそも基本的かつ初歩的な話ではあるのですが、投資には「リスク」がつきものであることは周知の事実かと思います。ただ、この「リスク」というものの正体をどのように理解しておけばいいのか、についてあまり腹落ちができておりません。
一般的には、
- 「元本割れ」
- 「将来得られる期待リターンの変動」
- 「暴落時に売却してしまうメンタル」
が挙げられるかと思います。このうち、①については自明の理かと思います。
②についても、投資対象商品(ETF、投信、個別株)、投資国、レバレッジの有無等によって左右されることはある程度経験を積めばこれを承知の上で各人投資に臨んでいるものと推察されます。
③については、「暴落時はチャンス」のマインドで臨めばよいと考えており、コロナショックの時も可能な範囲で追加拠出をしていました(直接の関連はないですが、4年ほど前にビットコインに300万円を投機しいったん60万円まで下落したので放置していたところ、その後の上昇によりプラスで終えました。なので暴落時に売却するメンタルは今後もないと自己分析しています。)。
要するに、感情的な面での心配や懸念がなければ(あるいは可能な限り排除できるのであれば)、その人にとっての投資のリスクはほとんど存在しない、という整理になるのでしょうか。
これからも示唆に富む記事を更新いただけるのを楽しみにしております。
リスクリターンは投資心理、リスク許容度を問うてくる
投資におけるリスクというのは、単なる「ばらつき」ですね。プラスに儲かるのがプラスのリスク、マイナスに損するのがマイナスのリスクです。
不確実性そのものをリスクといいます。高リスクなものは、高リターンになる可能性がある。低リスクなものは、リスクを取らない分、低リターンの可能性がある。こういう構造になっていますね。
高リスクが必ずしも高リターンとはならないのが面白いところです。低リスク高リターンだと望ましいですが、そのような商品は基本はありません。
このリスクをどの程度許容できるのか、というのがリスク許容度ということになります。質問者さんは、レバレッジをかけていて、なおかつ下落局面でも買い増しをしたということですからリスク許容度が高いのでしょう。
どんな商品でも投資リスクは存在しますが、リスク許容度は高いということです。
平たく言うと、相場環境にかかわらず自分の考えが揺るがないというわけです。
ところで、SNSなどの盛り上がりを受けて、あるいはARK系ETF投資やグロースで痛手を受けた方々からのご質問も大変多いです。不安なわけですね。PER100倍超えがあたりまえ、IPOの多くが噴く、SPACスキームの流行。こうした時代が又来るかもしれませんが、下りる時期を意識しないとたちまちしぼむということですね。
こうしたハイリスクの商品は、特に自分なりの投資目線が必要になります。誰かの発言、誰かのブログを読んで飛び乗るという繰り返しだと、いつか調整でダメージを受け、不安になりますね。自分がなく、人の影響で買っているからです。
相場の調整というのは、リスク許容度を確認する機会になります。損失が大きくてもまったく揺るがないならば、それは自分のリスク許容度に合った投資ということになりますし、不安ならば全く自分に合っていないということです。
逆境また愛すべし。調整は、ときどき私たちに答え合わせをさせてくれる良い機会ですね。上げたら買い、下げたら売り、だとやられる相場というのはいつの時代も変わりません。
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ちょっと似たお話ですが、不確実性があるからリターンがあるとも言えます。
VIGは構成銘柄が変わりましたね。採用指数の変更に伴うものです。
待機資金は遊んでいるお金に見えますが、実は大事なバッファです。