2016年からの投資税制について詳述してある著作
安間伸氏の著作です。金融一体課税が、2016年の税制改革の目玉だったわけですが、その今回の税制改革の意図を知る意味でも興味深い内容でした。
本書は資産運用をする人にとって知っておいたほうがよい、税金についての本です。投資税制を体系的に捉えることができます。表紙はチャラいですが、中身はしっかりしています。
ただし、全く投資経験が無いとわからない部分もあると思います。また、投資をしていないと活用できません。投資をする人へ向けた節税本です。
損益通算の具体的方法を誰もが知り、活用すべき
著者は銀行金利の不利について税制から述べています。たとえば、今年から外貨建MMFだと株式の損益と通算して利幅を無税化することができます。しかし、金融一体課税と言えどもまだ不完全なので銀行金利は税金が単独でかかります。
そして、銀行金利は他の投資との損益通算ができません。
特定口座や一般口座での確定申告が基本になる株式投資は損益通算は当たり前のことですが、その応用範囲の広さとその価値に改めてに気づかされます。
「損だし」は極めて有効な節税対策で、自らの投資方法や見通しが間違っていた時に背中を押してくれるものです。
改めて感じる長期投資の有効性
債券ETFを長期で持つメリットについて述べられています。これは、吐き出される分配金が安定していること、そして持っている分の値上がり益については売却しない限り無税であるからです。
配当課税やキャピタルゲイン課税はおよそ2割の税金がかかりますが、売却さえしなければ税金は配当にしかかかりません。
そういう意味では株式の長期投資での考え方と似たところがあります。しかし、債券のほうがより安定的であり、さらにETFで分散することでより固い資産運用が可能ということになります。
自らの勤労所得に比べて投資運用資金のほうがはるかに大きいならば、債券ETFでディフェンシブに運用するのはありですね。
住宅ローン減税や外国税額控除、雑所得の上限20万円など知らないと損をすること満載の税金です。これは基本が申請主義だからです。こういった本やブログで知識を吸収しつつ、上手く付き合っていきたいですね。