ペーパーアセットだけでFIREするということ
FIREの仕方、あり方に正解はありません。株、仮想通貨、不動産、太陽光、YouTube、FIREの仕方はいろいろあるのです。収入が増えない、物価は上昇するという厳しい時代ですが、手段の多様性という意味では今ほど恵まれた時代はありません。
そういう意味では、どこに目を向けて工夫をするか、その心持次第で幸不幸が決まってくる、そのような時代に変容しつつあるのかもしれません。
いずれにしても、ネットが作り出したバーチャルな番地は常にコロコロ変わり、少なくとも土地よりは平等です。また、常に新しいビジネスやチャンスが生まれてくる、そのドラスティックな変化は史上まれと言ってよいでしょう。
さて、話がずれましたが、今回はペーパーアセットだけでのFIREということでご質問を頂戴しています。
ペーパーアセット、特に株でFIREするときに気を付けたいこと
たぱぞう様
いつも素晴らしい記事をありがとうございます。都内で会社員をしております。3か月前にたぱぞう様の事を知り、卓越した文章力や言語運用能力に惹かれ、ブログ・書籍・Youtubeを貪るように拝見させて頂きました。
社会人1年目から金融関連の書籍を読んで勉強し、今日まで資産運用を行って参りました。様々な見識をお持ちのたぱぞう様にお伺いしたい事があり、初めて筆を執らせていただきました。
内容は、「ペーパーアセットのみでセミリタイヤする場合に気を付ける事」についてです。
以下簡単な自身の情報となります。
- 技術職の会社員(38歳、年収650万円、独身)
- 昨年から両親と同居、持ち家(借金なし)
- 資産額 6,600万円(元本4,100万円、評価益2,500万円)
- 内訳
- 投資信託 emaxis slim sp500,オールカントリー 2300万円
- 米国ETF SPYD 1,500万円
- SPXL 900万円HDV 670万円
- VYM 370万円
- VTI 200万円
- 米国個別株 AI,BABA,RPRX,V,KO,PG 合計560万円
- 現金 100万円(生活防衛資金)
- 別途退職金 500万円程度想定
2020年の株価暴落を契機に資金を投入したため、現金比率はかなり低めになっております。昨年より実家に戻りまして、華美な生活には興味がなく、自身の年間支出は150万円程です。
属性を利用して融資を受ける事は考えておらず、すべて自己資金でシンプルな運用を考えています。私自身30代で管理職になり、しなければならない事や義務感で毎日仕事をしている自分に気付き、一度きりの人生がこのままで良いのか最近考えるようになりました。
簡単では無いと思いますが、パソコン1台で独立して場所・時間・人間関係・仕事を全て自分で主体的に選択する人生を実現してみたいと考えています。退職金含め資産が1億円に達するまでは、会社員として働く予定です。
お忙しい中恐縮ですが、ペーパーアセットのみでセミリタイヤする場合に気を付ける点やセミリタイアを準備する方向性として間違っていないか等ご助言頂ければ幸いです。
出勤時にたぱぞう様のブログを見るのが日課となりました。名前含め記事にして頂いても構いませんし、ご返信を頂かなくても構いません。
正しい情報を日々発信して頂き本当にありがとうございます。
今後もご活躍を楽しみにしています。
ハードアセットを組み合わせないFIREは資産増減への耐性がテーマになる
あくまで融資を使わないということで、ペーパーによるFIREを考えてみましょう。最も大事なのは時間の分散です。
理想は10年以上かけてコツコツとポジションを取ることです。米国株はもともとのインフレもあり、殆どの株が数年前に比べて上昇しています。指数に至っては全てのメジャーな指数が上がっていますね。
たった10年前からでも4倍ほど上昇しています。自分自身の運用総額も当然ながら4倍になっているということになります。これほどの上昇はややできすぎにしても、企業業績の予想、政府の金融政策からして今後も傾向としては右肩上がりなのでしょう。
しかし、単年で見ると滅多にはないもののマイナスに沈むことがあります。第二次大戦以後は1回ですが、3年連続マイナスということがありました。ITバブルの時です。
そのような経年でのマイナスは資産だけでなく、私たち投資家の心も痛めます。
しかし、長い運用時間をかけて投資額の3倍、4倍となっていれば、投資額の元本を割ることはありません。幾分気持ちが楽に過ごせますね。つまり、理想はそのようになるように、長期で運用していくということです。
次に大事なのは対象の分散です。ポジションを株だけにしないのが大事です。本来債券を組み合わせるのが妥当ですが、債券は低金利が常態化しており、現金でも良いでしょう。
7:3や8:2とよく言われますが、幾分かの株以外のポジションは持っておきたいところです。リセッション時に身動きが取れなくなります。
最後に収入です。ご実家での暮らしで年間支出が150万程度であれば、国保などを加えても余裕で回せることでしょう。これにプラスして、ご自身が志向されているように、個人事業主か法人を作り、収入を確保すると良いでしょう。
たとえ10万円でも、定期的な収入があると、トレードに良い影響があります。ある意味、自分自身がハードアセットのインカムを作り出すようなものです。労働資本というのはそういうことです。
6600万円あれば目標の1億円までは遠くありません。資産運用は指数関数的に増えていく側面があるからです。今までの節制生活が選択の自由という形で実を結びつつあります。
はっきり言いますが、FIREは十分可能です。無理な夢ではありません。
ともにがんばりましょうね。
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彼我のインフレ差、株価上昇差が日本におけるFIREを容易にしたという皮肉な面もあります。
投資信託の基礎基本の考え方です。上場させたものがETFとなります。
長期で円安という見方で私は投資をしています。