バランスファンド受難の10年
投資は分散するのが良い、ということはよく言われます。株と債券をバランスよく分散させたり、あるいは国を分散させたりということですね。これは、2000年代のITバブルやリーマンショックを経て、改めて正しさが確認されました。
しかし、この10年は株が優位な10年でした。バランスファンドにありがちな、日本株、先進国株、新興国株、あるいはそれらの国の債券に分散投資、というスタイルだと資産の伸びがかなり鈍化したのではないかと思います。
しかし、これは結果論です。「だからバランスファンドは不要である。」と結論付けるのは早計と言って良いでしょう。
これはファンド大賞などを何度も受賞している8資産バランスファンドのチャートです。ここには出ていませんが、2011年末からのリターンは2倍程度です。確かに、4倍超を記録している米国株ETFなどと比べると劣後していますね。
しかし、債券を多く含むので、下落相場では一定の強さがあると期待されます。例えば、2018年末の調整相場でも1割程度の下げで止まっています。同時期のS&P500がピークから25%下げたのに比べると、大きな違いですね。
プラス面を見るか、マイナス面を見るか、それにより評価が分かれますね。
株式というのは、リスクリターンが大きいので、相場が好調だと大きくプラスになります。しかし、同時にそれだけ伸びるということは、下落時も大きく下げる可能性があるということは知っておいて良いですね。
かつては信託報酬が高くてお話にならないバランスファンドがたくさんありました。しかし、今では信託報酬が妥当な商品がいくつかあります。年齢が比較的高かったり、資産が給与に対して大きい人、こういった属性の方は攻めよりも守りの資産運用が大事です。
そういう人たちには、やはり優れた商品として訴求力は色あせないように思います。さて、こうしたことを踏まえてご質問を紹介します。
バランスファンドを買っていたら資産が増えないので後悔しています。
たぱぞう様
はじめまして。
たぱぞう様のブログを大変参考にさせていただいております。
今回ご意見をお伺いしたいのは、相場急落時にどの程度下げたら追加投資を行うべきかについてです。
私は2012年からコツコツ積立投資を始めたのですが、バランスファンド中心に積み立ててきたため、大きく資産を伸ばすことはできませんでした。
私の属性
- 現在34歳(妻:32歳専業主婦、子供3歳と0歳)
- 年収:520万円程度
- 投資資産:約650万円
- 現預金 :約200万円(教育資金は生命保険や児童手当で別途確保済み)
投資資産については、含み益約40万円、利益確定済みが20~30万円程度ですので、もっと株式中心に投資していれば、より大きく資産を伸ばせたと後悔しております。今更ながら、S&P500インデックス中心のポートフォリオに大きく変更しつつあります。
現預金200万円程は、投資を始めたことからずっと相場急落時に投入しようと思っていたのですが、リーマンショック級の急落来い!と思っているうちに投入しないまま7年が過ぎてしまいました。
昨年や今年の相場変調時も、もっと落ちろと思っている間に回復してしまいました。
もちろん積立投資は今後も行っていくのですが、相場急落時の追加投資でリターンを大きく上げたいと思っております。
たぱぞう様は追加資金投入の目安はどのよう設定されておりますでしょうか?もしよろしければ、記事にしていただけますと幸いです。よろしくお願い致します。
リターンを大きく上げていくのか、リスクを低くするのか
リスクが低い投資から、高リスクへの株式一本の投資へ切り替えられたということですね。バランスファンドから米国株ETFへの切り替えというのはそういう意味では妥当性があります。
また、買い時はたしかに難しいですね。リーマンショックの記憶があるとなおさらです。なかなかあのような急激な谷はきませんね。コロナショックでも30%少々でした。ちなみに、統計的にはコロナショックのような30%超の下落もせいぜい8-9年に一度なのですね。
そう考えると、どこかで割り切り、積立投資なりなんなりで参加せざるを得ないということでしょう。私もコロナ以後はタイミングを読み過ぎることなく、積極的にマーケットに参加しています。
ただし、先に述べたようなリスクを自分自身が許容していくということですから、ブレない覚悟のようなものが必要ですね。
ひとまず、コツコツと積み上げる投資をコアとしておくのが良いと思いますよ。ご質問ありがとうございました。
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投資はストーリーで、自分がどのようなストーリーを描いて投資するのかというブレない何かがあると強いですね。
レバレッジをかけてうねり取りをする、CFDに関してです。個別株の空売りなどで強みを持ちます。
海外ETFや投資信託へのアクセスが容易になりました。これが、海外投資のハードルを下げましたね。