たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

ドル円の見通しとドル転の考え方

ドル転してドル建てで資産形成をしていくということ

 ドル建てで資産形成をしていくと、いつしか為替相場のことが大して気にならなくなってきます。投資資金は生活防衛資金とは別ですし、住宅費や学費などの代替不可能な資金とも別だからです。

 

 また、心理的に大きいのは、実質実効為替レートなどに見るように、ゆるやかな円安が将来的に続くことが予想されることです。ドル資産を持つ価値を書き続けてきましたが、大局はそういうことなのです。

 

 出口では円転するのかもしれませんが、いずれにせよ投資は余裕資金で行うというのは大原則です。米国株などの海外投資をする人にとっては、より切実に余裕資金で行うというのが大事になってきます。大局とは別にその時の為替動向は小さくないからです。

 

 また、良いタイミングで一気にドル転、円転することは難しいです。為替トレードの経験が多少でもあるならばともかく、積立のようにして投資をしている人は特にそうでしょう。

 

 さて、今日はこのドルと円、為替と投資の関係に関してご質問を頂いています。

ドル円見通しが気になり、ドル転できない。

たぱぞう様
 初めまして。一昨年から、将来への不安を感じて資産運用を開始した新参者です。投資を開始した頃から、貴殿のブログを拝読させて頂き勉強をさせて頂いています。

 

 基本的な投資ルールは、余裕資産・長期投資・バイ&ホールド・インカム投資・税控除(ideco/nisa/損益通算)優先で投資をしています。

 

 今回相談をさせて頂きたい事項は、ドル転についてです。


 基本的には平均レートを下げたいので、円高局面を待っています。昨今の調整局面で米株を買い増したいのですが、ドルのキャッシュポジションが無く困っています。

 

たぽぞう様などうしますか?

  1. 円高までじっと我慢する。
  2. いつ来るか解らない円高を待たずに、せっせとドル転をしてドルポジションを増やす。

 時間がある時にでもブログネタにしていただけたら、光栄です。

極端な円安でない限りにおいて、定額でドル転していくのがよい

 結論から申し上げますと、コツコツとドル転してしまったほうがよいですね。為替は、深く追求するとシンプルなものではないです。景気動向や金融政策との相関があるからです。

 

 しかし、貿易を考えると政治的に落ち着きどころが必要です。そのため、長期的にはこのレンジから大きく外れることは殆ど無いというのが為替変動です。多分に政治的であると同時に恣意的なのです。

 

 いろいろな論拠はありますが、その中でも最も理解しやすい為替に関する定説を紹介しておきます。

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ドル円の見通しでよく例に出される購買力平価説とは

 ドル円の見通しでよく例に出される購買力平価説は、スウェーデンのカッセル氏によって1921年に提唱された説です。100年も前の説です。例としてはビッグマック指数という指数があります。各国のビックマックがいくらで買えるかという指数ですね。

 

 ビッグマックは国によっては300円だったり、400円だったりするわけですが、それは大体平均的なところに収れんされてくるはずで、為替もその無理のない範囲に収まるという考えです。

 

 購買力平価というのはこれをビックマック以外にも広げたもので、様々な物品の値段を比較し、数値化したものです。1つのものに対して、1つの値が付くという一物一価の考えですね。絶対的購買力平価と言います。

絶対的購買力平価と相対的購買力平価

 絶対的購買力平価に対して、インフレを織り込んだものを相対的購買力平価と言います。

 

 例えば米国は2%の緩やかなインフレです。対する日本は長らくデフレ状態にありました。ドル円関係で2%調整をして、為替レートが決まってくるということですね。インフレの続くドルならば、毎年2%ほど円に対して減価することになります。

 

 今はインフレが加速しており、それ以上ということになります。

ドル円における為替の関係は非常に政治的でもある

 実際にはこの2国間での為替変動はこのようなシンプルなものではないですね。要素は様々あります。しかし、特別なことがない限りにおいて、安定的なものであるとは言えそうです。

 

 アメリカとの日本の関係においては、購買力平価はある意味では有効に機能しています。二国間は最も貿易額の多い組み合わせの1つでもあります。つまり、為替戦争になると双方にとって、持続可能な友好国関係になりません。

 

 両国とも成熟しており、いわゆる「心地よい」水準での為替を望んでいます。1ドル75円まで変動した時がありましたが、時の政権と米国政府との関係を考えると多少の恣意性を感じます。

 

 いずれにしても、極端に触れることは少なく、極端に触れても回帰してくる性質のものです。

 

 そう考えると、今の購買力平価を参考しつつ、80円〜120円前後は無理のないレンジだったと言えます。

 

 しかし、今の125円水準、特に130円を超えるようなことになると、20年来のレンジを突き抜けるわけです。レンジの上振れ移動もあり得ますね。そういう意味で、非常に注目しています。このような状況では少なくとも一気に買えるような局面ではないですね。

 

 いずれにしても、コツコツと積立投資、マーケットを読もうとし過ぎないことですね。やはりここでもドルコスト平均法なのです。

 

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