おつり投資のトラノコは海外ETFを使っている
おつり投資のトラノコというアプリがあります。買い物するときに出るおつりを投資に回すという発想で話題になったアプリです。たぱぞうはおつりで投資という意味がよく理解できなかったのですが、調べてみると面白い仕組みなのでここで紹介します。
おつり投資ということですが、要は端数をそのまま投資にチャリンチャリンしていくということですね。塵も積もれば山となるをそのまま実践した投資方法と言えそうです。
「そんなことできるのかな、金額が少なく過ぎるのではないかな」と思われるでしょうね。私もそう思っていましたが、これがなかなか面白いのです。ということで、理由は後述します。
トラノコのポートフォリオ
投資先には3つの投資信託があります。大トラ、中トラ、小トラです。それぞれ米国株や米国債券が中心ですね。ETFを投資信託で包む形です。下記の3つの投資信託に分かれています。
ファンド名 | 内容 |
---|---|
大トラ | リスクを大きく取り、リターンを狙うもの。米国株を中心に据えている、が。 |
中トラ | 米国債券を厚めにし、米国株などの株式を入れている。 |
小トラ | 米国債券、欧州債券を5割以上入れたディフェンシブで大きくリスクを負わないスタンス。 |
リスクリターンに基づいて、3種類の投資信託になっています。それぞれ、攻めの投資をしたいのか、守りの投資をしたいのか、それによって投資先が分かれるということですね。米国、日本、新興国といった分け方になっています。
大トラのポートフォリオを見てみると、上図のようになっています。つまり、アクティブに運用しているのですね。米国株の比率を落とし、割安と思われる欧州と日本の比率を大きくしています。
トラノコの買い付け対象ETF
続いて、買い付け対象のETFを見てみましょう。これがなかなか面白いです。
トラノコの株式ETF
カテゴリ | ETF |
---|---|
米国株式 | VANGUARD S&P 500 ETF(VOO) VANGUARD MID-CAP ETF(VO) |
欧州株式 | DEUTSCHE X-TRACKERS MSCI EUR(DBEU) ISHARES MSCI EUROPE(IMEU) |
新興国株式 | VANGUARD FTSE EMERGING MARKE(VWO) |
米国外小型 | VANGUARD FTSE ALL WO X-US SC(VSS) |
日本株式 | TOPIX連動型上場投資信託(1306) |
リート | VANGUARD REIT ETF(VNQ) NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信(1343) |
主力に据えているのはバンガードのS&P500ETFであるVOOで間違いのないところです。VOをトッピングしているのがなかなか面白いですね。
新興国ETFはVWOで、これも運用額トップの広く支持されるETFです。リートはIYRではなく、VNQを据えています。VNQは運用額ではリートトップなのですが、なぜか未だに日系証券会社では買えないですね。信託報酬も低いので、好感の持てる選択になっています。
欧州、日本、新興国と組み入れており、国際分散投資を念頭に置いていることが一目瞭然ですね。
トラノコの買い付ける債券ETF
カテゴリ | ETF |
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米国債券 | ISHARES CORE U.S. AGGREGATE(AGG) VANGUARD INTERMEDIATE-TERM B(BIV) ISHARES TIPS BOND ETF(TIP) VANGUARD S/T CORP BOND ETF(VCSH) |
新興国債 | ISHARES JP MORGAN USD EMERGING MARKETS BOND ETF(EMB) |
世界債券 | VANGUARD TOTAL INTL BOND ETF(BNDX) |
商品 | SPDR GOLD SHARES(GLD) ISHARES S&P GSCI COMMODITY I(GSG) |
メインになるのは債券ではAGGです。商品系ではGLDです。それをコアとしてBNDXなどを配分しています。ここでも割とマニアックなETFがあり、面白いですね。
例えばCSGはエネルギーや商品作物に投資するETFですが、GLDほど話題にはならないですね。全体的に分散性という意味でよく配慮されている印象を受けます。
料金体系は実は良心的
さて、料金体系です。「おつりで投資なのに300円の月額利用料は高い」というイメージを持っていました。でも、よくよく考えると良心的ですね。
ロボアドやアクティブファンドは大体1%の信託報酬になりますね。それは、リバランスの手数料だったり、個別株を選別するためのごにょごにょだったりなんだりするわけです。
トラノコも多分に漏れず、インデックスファンドよりは高いです。しかし、上記のETFに基づいたリバランスがありますので、そこは考慮に入れる必要がありますね。年間コストは以下のようになっています。
さて。結論です。実はトラノコはおつり投資で小銭をちょこちょこ投資するだけでは不十分です。それではうまみは出ないのです。月額利用料が300円で信託報酬が0.3%ですから、投資額が大きくなればなるほどうまみが出る仕組みになっています。
大体50万円ぐらい入れると、価格競争力がついてきますね。最初にある程度大きなお金を入れて、手数料負けしない体制を作ってからおつり投資というのが王道です。自分でリバランスしたり、個別株やETFの選別が面倒な人には福音と言えるでしょう。
投資先は堅実なETFで固められています。したがって、大きめの資金を入れてバランスファンドのような活用をするとうまみが出るサービスということになります。アクティブファンドと考えると安いですが、そうなるとあくまでリターン勝負ということになるので、今後の実績が試されるところです。
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結局のところ、リスクリターンというところに行きつきますね。そのためのポートフォリオであり、リバランスと考えると、面白い設計です。
相場が荒れて、利回りが上がってくると注目されるのがMMFです。ただ、やっぱり株のほうが面白いのは事実ですね(笑)
シンプルな資産ポートフォリオの作り方です。ただ、これも米国株式が弱くなってくるとブレる人が多くなると思われます。