ストリップス債とは何か
一般的によく知られる債券は、半年ごとに利息を出します。これに対し、ストリップス債と呼ばれるものは利息を出しません。これは、元本部分と利息部分を別にしているからです。
その分、ディスカウントされた値段で債券を買うことができます。
これはSBI証券が扱っている米国債の一覧です。短期のストリップス債ほど参考単価が高く、長期のストリップス債ほど安くなっています。利息部分を除いた価格になっているからです。
これに対し、最下段は普通の利息付きのものです。それぞれ利回りを意識して値付けられているので、どちらが得ということは一概には言えません。殆ど同じものを売っているので、基本は等価になるはずの商品です。
ただし、利付きだと必ずその都度税金が発生するのに対し、ストリップス債だと売却時にしか税金がかかってきません。売却時にもし為替の変動があり、利益が出なかったらそれはそのまま非課税ということになります。
ちなみに英語ではストリップス債はSTRIPS(Separate Trading of Registered Interest and Principal of Securities)と表記します。ともあれ、ストリップス債は下記のようにまとめられます。
ストリップス債=利息が無いぶん、安く買える債券
こういうことですね。利息を出すいわゆるトレジャリー系の債券とは違い、ゼロクーポン債の性質を持つということです。さて、こうしたことを踏まえてご質問を紹介します。
ストリップス債をポートフォリオに組み入れたい
たばぞう様
いつも楽しく読ませていただいております。
さて、私も43を過ぎ、娘も生まれたので、ジュニアNISAや妻の積み立てNISA口座をせっせと開設手続きにいそしんでおります。
無論投資先は米国を中心とした株・債券になると思います。積み立てNISAはたばぞう様のご意見を大いに取り入れ、株式投信へ分散投資を考えております。
ところで、債券に関してですが、BNDなどの債券ETFよりも機動性には劣りますが、ストリップス米国債などのほうが鉄壁な気がしますがいかがでしょうか。
イールドカーブがフラット化している昨今、残存5年の債券でも2.5%程度の金利が複利で付いてくるのは魅力です。それと、利益と償還時期が確定しているため、源泉徴収なしの特定口座で運用すれば、しばらく無税で運用できてしまうことがあります。
金利上昇が予想される局面では、ETFの下落は確定的ですし、毎月分配金を吐き出してしまうのも、やや不満です。
債券の魅力は上がってきている
計算できるという意味においては、株式よりも債券のほうが優れます。特にETFは買い付け売却が簡単で流動性に優れます。ストリップス債を含む、いわゆる生債券はやや買いにくい印象を個人投資家さんでも持つ方が多いのではないでしょうか。
ただ、個人的にはどちらを選んでもそれぞれの良さがあるのかなと思います。本当にディフェンシブなのは短期債で、これはBSV・SHVといった債券ETFも同じですね。けれどディフェンシブなぶん、これらは低利回りです。
そういう意味ではトータルにトッピングしたBND・AGGというのは非常によくできているETFだと思います。短期債の底堅さと長期債の利回りを併せ持つ商品ですね。そして、各種債券を組み合わせることにより、毎月分配を可能にしています。
債券ETFというのはおっしゃるように価格の上下動があります。これが好みではないということならば、ストリップス債のような生債券を期限いっぱいまで持つというのも手でしょう。ただし、利上げが続くようだと、パフォーマンスが落ちる、後発債券のほうがより優れるというのは生債券も同じです。
一部の機関は株式投資もさることながら、債券投資にシフトしつつあるという話もあります。今後の株式市場に疑念があるならばそういうシフトのしかたは理にかなっていると思います。
それが、昨今の債券的な株式の下落であり、高配当株式と債券との競合ということです。実際に私も昨年からいくらか資金を抜き、アセットアロケーションを組み替えました。相場の見通しをいつもズバズバ当てることは難しいですから、退場しない仕組みづくりをしつつ、ある程度のリスクも取る。こういう投資を続けるつもりです。
トランプ大統領の減税による税メリット剥落後の決算は注目したいところですね。何かご参考になれば幸いです。ご質問ありがとうございました。
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