貸株サービス「カストック」で気を付けなくてはいけないこと
SBI証券の米国株貸株サービス「カストック」とは、自分の買った米国株や米国ETFをSBI証券に貸株できるサービスです。利用者は株を貸す代わりに、貸株金利、つまり利息のようなものがもらえます。
金利は1%から0.01%とわずかですが、毎月ですので積み重なると意外にバカにできない金額になってきます。私の場合でその額およそ10ドルから50ドルという範囲です。月ごとにSBI証券さんは金利を変えているので、受取額はけっこうばらつきがあります。
株式・ETFの配当金・分配金に関しては配当期日前に貸株を戻してくれるケースがほとんどです。ですから、配当金・分配金はきっちりこちらに入金されてきます。
ただし、時々貸株のまま期日を迎えてしまい、配当金・分配金として入金されないケースがあります。この場合は「外国株式配当調整金」という形で入金されてきます。下記の画像でいうと、下から3つ目、VYMがそうです。
外国株式配当調整金になると少々厄介なのが、確定申告時に「雑所得」として申告しなくてはいけないということです。VYMの他にVTも雑所得になったことがあり、この2銘柄に関しては注意が必要です。今回はこの雑所得に関して改めて書いてみます。
雑所得20万以下ならば少額不追求のルールがある
雑所得は一般的に所得税が20%かかります。住民税10%は別です。雑所得とは以下のようなものを言います。
- 公的年金(国民年金・厚生年金・企業年金、恩給)※遺族・障害年金は無税
- 先物取引収益・FXの収益
- 非営業貸金の利子
- 記事の原稿料・印税・講演料
- アフィリ、オークションなどの売却収入
- 個人年金保険の年金
3以下は全て「その他の雑所得」という扱いになります。年末調整を受けるサラリーマンの場合は「その他の雑所得」が20万円以内であれば申告不要ということになります。
ただし、
- まとまった不動産所得がある
- 医療費控除を受ける
- 住宅を購入して住宅ローン控除を受ける
- 2ヶ所以上の会社から給料をもらっている
- 会社で年末調整していない
こういった場合は確定申告をしなくてはいけません。
米国株貸株サービス「カストック」で申告不要、所得免税になるケース
例えば、サラリーマンで年末調整をして、株式譲渡益が20万円以内ならば「源泉徴収なし」選択で、所得税は実質かからないことになります。源泉徴収されていない、確定申告もしなくてよい、ということだからです。
同様に、この雑所得「外国株式配当調整金」も20万以内ならば所得免税になります。口座を設ける際に、意外と注意を払われないのがこの「源泉徴収あり」か「源泉徴収無し」です。
投資額が少額で、控除を受ける必要が無いならば、確定申告不要となります。つまり、所得税が免税になります。そうすると、何ら恐れることなく全力で貸株しても痛くもかゆくもないということになります。「源泉徴収なし」口座はこのように活用できます。
私の場合は住宅ローン控除を受け、外国税額控除も受けています。つまり、確定申告をしなくてはいけない立場です。また、配当収入も20万に収まりませんので受けられません。投資額が限られる人にメリットのある選択が特定口座の「源泉徴収なし」ということになります。
米国株投資でカストックを利用してみての雑感
かれこれ半年ほど利用しています。個別銘柄はほとんど配当として振り込まれるようですが、ETFが突然雑所得として振り込まれるのはビックリしました。翌月から該当銘柄であるVYMとVTは外しました。
どの銘柄が雑所得になってしまうのか事前に分かればもっと使い勝手が向上するのですが、いまのところ分かりません。月々の振り込みは安定的で、ちょっとしたお小遣いになります。
手間はほとんどかかりませんので良い制度だと思いますが、「雑所得リスク」を下げるためにもう一工夫ほしいところです。
もっとも先に述べたように源泉徴収なしでの利用ならば、確定申告不要の枠内で免税になりますのでメリットになります。税制は複雑で、投資もやはり多少の知識が要りますね。
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雑所得になって確定申告の手間が増える人はVTとVYMには注意です。私は突然外国株式配当調整金として振り込まれビックリしました。少々予想はされていたのですが、試してみたくなったのですよね。下記では雑所得として振り込まれるデメリットについても触れています。
投資にあたって様々な手間から解放されるロボアドバイザー。手口は米国上場ETFが基本で、極めて安定的。債券ETFを少なからず組み込んでいるところにもそのディフェンシブさがあらわれています。なお、攻撃的が守備的が、資産運用の目的に沿ってポートトフォリオを組めます。
配当・分配金として入金されるぶんには安心できます。もうしばらく継続して様子を見守っていくつもりです。