ウォール街のランダムウォーカー、インデックス投資の優位性を詳述する名著
「ウォール街のランダムウォーカー」を紹介します。私が米国株投資がベストであると確信するに至った3冊のうちの1冊です。
初版は1973年です。すでにこの時代にこのような発想があったことに驚かされます。2016年3月に第11刷改訂がありました。150万部を超える世界的ベストセラーだけあって改訂を何度もしています。
ズバリ一言でいうと、本書は「インデックス長期投資の優位性を詳述する名著」ということになります。
歴史上の数々のバブルについて言及
オランダのチューリップバブル、日本の不動産バブル、21世紀のITバブルなど国内外様々なバブルについて考察を加えています。単に読み物としてもおもしろいです。
過去を振り返ると、バブルはこれからもいつかどこかで必ず起きることを確信させてくれます。
テクニカル分析をはじめ、様々な投資手法を否定
シニカルにテクニカル分析を否定しています。
下記の表現に尽きるのではないでしょうか。
第6章テクニカル分析は儲かるか、より引用
詳細な調査によると、テクニカル信者には、穴のあいた靴や衿の擦り切れたシャツを身にまとっているものが多いということが知られている。私個人の経験では、失敗したテクニカル信者の成れの果ては何人か知っているが、成功したテクニカル信者というものにはついぞお目にかかったことが無い。
また、このようにも述べています。
同じく第6章テクニカル分析は儲かるか、より引用
テクニカル分析は、学者の世界では異端の教義であり、それを非難するのはわれわれにとって喜びでさえある。われわれを、このような弱い者いじめに走らせる動機は、第一に、彼らの手法が明らかに間違っていること、第二に、いじめやすいこと、である。
まじめな固い本かと思いきや、思いっきりブラックジョークを飛ばしています。バートン・マルキール氏の口の悪さが株式投資という堅苦しい内容を、素人にも読みやすいものに変えてくれています。
さらに具体的に人物名まで上げてチャーチスト批判を展開しています。チャート分析だけではなく、他の様々な有名投資手法についても否定的です。
例えば、毎年ダウ工業株30種平均の採用銘柄の中から、最も配当利回りの高い10銘柄を買うという「ダウの負け犬戦略」があります。これは平たく言うと大型株の逆張り投資です。
これについては、リチャード・オヒギンズ氏が1991年に出版した「ダウに勝つ」に詳しいです。
この手法も、広く知れ渡った結果「ダウの負け犬は本当に負け犬になってしまった」と手厳しいです。手法が知れ渡ってすでに20年以上になりますから、いまさらありがたがることはないということですね。
日本に入ってきている投資手法の殆どはアメリカで使い古されたものであることが本書から分かります。
バートン・マルキール氏の最適解は何か
本書で主張する投資は二通りです。
- 長期投資
- ドルコスト平均法によるインデックス投資
10年以上の長期保有すれば、どんな時期に買っても米国株投資はほとんど負けなかったことが本書で証明されています。
また、安い時に買って高い時に売るということが難しいことは投資をしたことのある人ならば分かると思います。そのリスクをなくすためにドルコスト平均法を推奨しています。
銘柄選好の難しさもしかりです。一般投資家が運用するのに適したETFとして、
- VTI,IWV(米国市場)
- VEA,EFA(先進国市場)
- VWO,EEM(新興国市場)
- VEU,CWI(アメリカ除く全世界)
- VT,ACWI(アメリカ含む全世界)
- BND,AGG(アメリカ債券)
が挙げられています。VTIは最強で、やはり多くの本で登場します。
ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理
- 作者: バートン・マルキール,井手正介
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2016/03/10
- メディア: 単行本
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最後に関連ETFの紹介です。
今までブログで取り上げたETFとの重複がありますので、紹介します。
VTI。おすすめ1位の最強ETFです。
小型株含めてほとんどの米国株式を組み込んでいるところが強いです。
VT。全世界ETFです。
他ブロガーさんにも大人気のETFですね。
BND。債券ETFです。
安定感抜群ですね。
S&P500のETF特集
この中ではVOOが私は最適と思います。
読むたびに新しい発見と気づきがある、文字通り珠玉の名著ということになります。米国株投資のバイブルと言って良い3冊のうちの1冊、ウォール街のランダム・ウォーカーの紹介でした。