たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

よりよい金融商品を消費者が選び続けることが大事

金融商品は販売会社がしっかりしているから良いわけではない

 少し前に毎月分配金型の投資信託が叩かれ、話題になりましたね。積立をしたお金から分配金を吐き出す。それは見せかけの利回りで、資産運用に適したものではない。という批判ですね。

 

 手数料ばかり高く、全く資産が増えていかない商品が特に矢面に立たされました。対面の金融機関の窓口で販売されるものにそういう商品が多かったですね。そのため、「〇〇銀行だから信頼して買ったのに」ということで怨嗟を呼んだのでしょう。

 

 金融機関はなかなか今は厳しいですね。融資をするにも行政の指導があり、厳密なエリア分けがあります。越境してバンバン融資するわけにはいかないですし、収益性を独自に判定し、暴走するわけにもいきません。

 

 例えばスルガ銀行は革新的な融資判断がお手本のように支持されていた時代があったのです。実態は、地方の高利回りRC(鉄筋コンクリート造)の物件に高金利で貸し出しをしたり、他の銀行が二の足を踏むような案件にやはり高金利で貸し出しをしたり、ということだったりしたわけです。有名なスルガの4.5%融資ですね。

 

 しかし、他行が出さない中で融資を出すということで成功した投資家もいます。逆に破綻に追い込まれた投資家の中には「融資を出してくれたから安心な投資だと思った」という声もあり、何をもって正義とするのかは難しいところです。

 

 投資信託は「投資は自己責任」の名のもと、おかしな商品が跋扈していた時代がありました。いや、一部は今もそうですかね。

 

 長く続く低金利のため、金融機関は資金の運用先が課題になっています。そんな中でもできるだけ利益が出るような商品や融資を訴求していく、そういう苦しみの歴史であったと言ってよいでしょう。

 

 開発途上国において金融機関は成長産業です。しかし、成熟国においては過当競争に陥ることも多く、日本のように低金利だとより厳しい環境に置かれます。非常に競争激しい業界です。

 

 投資信託も例外ではなく、かつては手数料が3%もするような商品が多くありました。近年でこそ、インデックス投信を中心に値下げ競争の様相を呈しています。しかし、これは最近ですね。

 

 このことに関してご質問を頂いていますので、ご紹介したいと思います。

よりよい金融商品とそうでない金融商品

たぱぞう様
 毎日楽しく拝見させていただいております。

 

 たぱぞうさんの芯をしっかり持たれながらも、方針が違う考えも尊重しつつ向き合っておられる姿を尊敬しています。今年つみたてNISAを利用していて、どうしてもモヤモヤしている事があり、勇気を出してご質問させていただきます。


 私は40代独身会社員で20代から日本個別株を始め、資産はそこそこ有ります。今年からつみたてNISAは楽天VTを、残りの余剰資金は特定口座でVYMをひたすら購入していす。


 友人にも同じ境遇の者が何人かおり、つみたてNISAを勧め、一緒に年金だけには頼らない老後を目指したいのですが、この勧める商品についての悩みです。全世界か米国一択かは本人が決めれば良いとして、私はeMAXISslimシリーズをどうしても信用できません。


 業界最安値を狙うのは良いですが、もっと前に出した名前だけ違う同じ内容のシリーズを買った方が置き去りにされ、高い信託報酬を払い続けてslimで薄利多売となった分の穴埋めに利用されていると感じてしまうのです。


 ニッセイさんは既存のシリーズを値下げしていたので、余計に嫌な印象があります。
こういう会社は同じことを繰り返します。これ以上信託報酬が下がることは無いかもしれませんが、投資に興味が薄い友人は最新情報をチェックするとも思えず、今勧めるならeMAXISslimが最有力で楽天と本人に選ばせるのが最適ということは分かっていても抵抗があるのです。


 もしかしたら見当違いの質問かもしれませんがご意見頂けたら嬉しいです。

よりよい金融商品を消費者が選び続けることが大事

 考えさせられました。

 

 言われてみると、私は投資信託を2018年に入って初めて買いました。ETFに比べて高コストな商品、選択肢の少なさが嫌だったからです。今はそれがある程度解決され、税メリットも得られる仕組みになりました。

競争激しい金融業界

 知識や経験がある人は自分でダメな商品が分かります。しかし、おっしゃるようにみんながみんなそういうわけではありません。

 

 また、低コストで良いとされる商品を扱っている企業も、片方では高コストのおかしな商品を扱っているというケースは少なくありません。そういう意味では、1社だけの問題ではないですね。

 

 慈善事業ではなく営利事業だからと言えばそうです。一方でバンガードなどは殆ど変な商品がありませんが、スケールメリットと、買い手が同時に株主になるという独特の業態も大きいですね。

 

 難しい問題ですが、私たち自身の知識と経験を高めつつ、よりよい商品を買うことで市場のより一層の成熟を期待するということになろうかと思います。私たちが良い商品を買うことで支持していく。こうしてよい金融商品を応援していきたいですね。

 

 おっしゃることは大変よくわかりますし、共感します。あまり答えになっていなくて恐縮ですが、一応の回答となります。ご質問ありがとうございました。

 

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  つみたてNISAのおすすめ商品ベスト3です。楽天系とSlim系がやはり強いですが、考えさせられるご質問でしたね。

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