たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

従業員持株会のメリットデメリット

従業員持株会は、集中投資をするということになる

 企業持ち株会という形で、勤務先の株式を購入できる制度があります。会社によっては何%か補助をしてくれるところがあり、時価のディスカウント価格で自分の会社の株を買えるという制度です。

 

 かつて、日本が高度成長期だった時には、この制度を使って老後資産を形成するということが可能でした。しかし、みなさんご存知の通りバブル崩壊後の日本は経済的に停滞しています。

 

 そのため、かつての世代のように資産形成を持ち株会で行うのは多くの企業でほとんど無理と言ってよいでしょう。それでも、お付き合いだったり、愛社精神のあまりに積み立てる人が少なくありません。

従業員持ち株会の仕組みとメリットデメリット

従業員持ち株会の仕組みとメリットデメリット

 この投資法は自分の人生の殆ど全てを勤務先に捧げることになります。給与を自社に依存し、資産運用も自社に依存するからです。分散投資の真逆を行く発想であり、勤務先が傾けば自分の人生も傾きます。

 

 反面、勤務先の業績が向上すれば、給与は上昇し、株式も上昇します。ただ、業績が長期にわたって右肩上がりの会社は、今の日本には多くないことを知っておいてよいでしょう。

 

 そして、注意しなくてはいけないのは、まぎれもない投資でありながら、金融知識が浅いと投資だと認識しにくいところにあります。

大変なことになった持株会の例を見てみる

 当然ながら、持ち株会の運命は株式を発行する企業と運命を共にします。

 

 例えば日本航空持株会はかつて5位の株主になるほど存在感を示していました。しかし、上場廃止になり無価値になりましたね。上場廃止後3年足らずで再上場しましたが、以前の株との連続性はありません。

 

 古くは三洋電機の持株会、山一證券の持株会、北海道拓殖銀行の持株会がどうなったかということを知っておくべきでしょう。 破綻企業の持ち株会ですね。

 

 コツコツと投資した株式が無価値になる可能性もあるということです。会社は存続しても、株主は責任を負わされて資金が無くなる。こういうリスクを意識したほうが良いということです。勤務先の業績はどうか、業界の先行きはどうなのか。

 

 加入するなら、そういうことを踏まえて持株会に加入するといいですね。企業にとっては安定的かつ継続的に株式を購入してくれる従業員持株会は願ってもいない存在ということになります。

創業者、あるいは右肩上がりの会社ならば自社の株を持つメリットはある

 私の大学の後輩が、創業した会社を数年前に上場させました。上場と同時に共同経営者の彼は時価換算でざっと30~40億円持っていることになります。

 

 世界長者番付を見ても分かるように、創業者というのはサラリーマンからするとかけ離れた資産を持つことができます。

 

 自分の思い通りに経営し、しかもそれが上手くいっているならば、さらなる自社株買いというのは価値があるかもしれません。持ち株会とは違いますが、いわゆる新株予約券、ストックオプション制度がうまく機能することがあるということですね。

 

 また、業績が右肩上がりの会社であれば、株価も上昇するでしょう。そうなると、買えば買うほど資産が増えるという状況になります。持株会に入って株数を増やすことが、人生を豊かにします。

日本の得意な製造業は難しい業界。持株会に加入するのは賭けになる。

 しかし、今の日本においては業績が向上し続けている会社よりも現状維持か、漸減企業のほうが多いです。特に日本が「ものづくり」と尊重してきた製造業においてその傾向は顕著であると言ってよいでしょう。

 

 同じ人間である以上、図抜けた手先の器用さを日本人だけが持つということはありません。そういう意味では組立中心の製造業の殆どはワイドモートではありません。どのように独創性と付加価値を製品に反映させるかが勝負になっています。

 

 ただ、そのような付加価値をつけられる企業はわずかです。従前通りの組立、特に模倣型の企業は世界も含めて過当競争になっており、10年前の業界の雄が現在倒産寸前ということが珍しくありません。持株会に入るならば、勤務先企業がワイドモートかどうかを見極めたほうがよいでしょう。

 

 それは全く株式投資と一緒だということです。

 

 勤務先は基本的にはその人の人生まで面倒をみてくれません。あくまで契約関係でしかありません。冷静に自己資金を運用していくことが、困難な時代を生き抜く投資術ということになるでしょう。それが自立した大人の勤務先との関わり方ということになります。

 

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