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ユニオンパシフィック【UNP】は西部地盤の米国最大の鉄道会社

ユニオンパシフィック【UNP】はアメリカ西部2大鉄道会社の1つ

 ユニオンパシフィック【UNP】は5万人近くの従業員を抱える、米国最大の鉄道会社です。1862年から運行を開始しています。この1862年というのはリンカーン大統領の施政下で承認された、太平洋鉄道法の成立と時を同じくします。

 

 1861年にアメリカ南北戦争が勃発しており、太平洋からミズーリ川まで鉄道で結ぶことでリンカーン大統領はアメリカ合衆国の維持をしようとしました。西部のカリフォルニア州、ネバダ州、オレゴン州はリンカーン大統領を支持する州です。

 

 対する南部、アメリカ連合国側は東はバージニア州から西はテキサス州まででした。

 

 人口的にも、地域的にも北部が南部を圧倒するには西部3州と北部の州の連携は必須と言って良く、そのために制定された法律の1つが太平洋鉄道法です。いわば、南北戦争のために鉄道会社を合併、合理化した法律であり、その時に生まれたのがユニオンパシフィックということです。

ユニオンパシフィック【UNP】の路線図

ユニオンパシフィック【UNP】の路線図

 そうした経緯から現在でも東部には路線を持っておらず、西部23州で営業しています。東側の営業範囲は北は五大湖に接するイリノイ州、南はテキサス州の東隣のルイジアナ州までです。

 

 アメリカ西部は経済成長著しい中国や東南アジアと接する太平洋岸や同じく成長国のメキシコと接しているため、輸送業である鉄道会社の業績は将来性を感じさせるものです。ニューヨークを始めとする東部との連絡に鉄道は欠かせません。

 

 カナダ、メキシコと接続しており、メキシコ最大の鉄道会社フェロメックスの株式を26%所有する関係で、売り上げの1割はメキシコ国内です。残りの9割が米国内ということになります。ちなみにフェロメックスはメキシコ国営鉄道の流れを組みます。

 

 営業地域である米国西部はBNSF鉄道とユニオンパシフィックの2強状態であり、寡占業種です。そのため、オマハの賢人と言われるバフェット氏もBNSF鉄道を買収して、バークシャーハサウェイの傘下に加えています。

ユニオンパシフィック【UNP】の株価チャートと配当

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ユニオンパシフィック【UNP】の株価チャートと配当
  • 2006年11月 株価 22ドル 配当0.08ドル
  • 2016年11月 株価103ドル 配当0.605ドル
  • 2018年2月  株価137ドル 配当0.73ドル
  • 2020年4月  株価141ドル 配当0.97ドル

 

 株価は2006年から7倍近くになっています。広大で長大なアメリカの場合、内陸輸送はトラックなどの高速道路による輸送よりも、鉄道輸送のほうが優れている部分が多いです。

 

 米国内におけるシェールオイルの大開発は輸送業としての鉄道の存在の大きさを改めて示すものでした。10年で配当は10倍以上です。業績が急拡大したことがわかります。

ユニオンパシフィック【UNP】の基礎データ

 それでは続いてユニオンパシフィック【UNP】の基礎データを見てみましょう。

ユニオンパシフィック【UNP】の売り上げと利益

ユニオンパシフィック【UNP】の売り上げと利益

ユニオンパシフィック【UNP】の売り上げと利益

 営業利益率がジリジリ上昇しているのが目に付きます40%にもなろうかというレベルです。ちなみに鉄道という業態は意外に営業利益率が高いです。日本のケースでもJR東海で30%超え、JR東日本も20%近くあります。安定志向の投資家との親和性が高い業種の1つです。

 

 参入障壁は資本が必要になるため高い傾向にあります。ユニオンパシフィックも西部において圧倒的な強みを有します。

 

 淡々と自社株買い、償却を行っており、会社の姿勢は評価されていいでしょう。ROEは20%前後で安定しています。

 ユニオンパシフィック【UNP】の配当と配当性向

ユニオンパシフィック【UNP】の配当と配当性向

ユニオンパシフィック【UNP】の配当と配当性向

 安定的な右肩上がり、配当性向はさほど上がらず、理想的な展開になっています。2014年から始まった原油安で多少の売り上げ減があり、株価も影響を受けました。増配ペースは2年後の2016年にやや落ちましたが、その後盛り返しています。

 

 ただし、2020年の原油安の影響には注意が必要でしょう。

ユニオンパシフィック【UNP】のBPSとEPS

ユニオンパシフィック【UNP】のEPSとBPS

ユニオンパシフィック【UNP】のEPSとBPS

 鉄道という交通インフラ事業なので劇的な変化はあまりないのですが、それでも10年で3割にも及ぶ自社株買いなどの成果が出ています。EPSは緩やかな右肩上がりとなっており、安心できるものです。 

ユニオンパシフィック【UNP】のキャッシュフロー

ユニオンパシフィック【UNP】のキャッシュフロー

ユニオンパシフィック【UNP】のキャッシュフロー

 交通インフラという特質上、どうしても投資CFが大きくなります。鉄道の維持管理に莫大な費用がかかります。おおよそ営業CFの半分程度の割合で推移しています。原油輸送の需要がシェールオイル拡大に伴って伸びていましたが、その後やや減速しています。

 

 2019年のフリーCFは10年前の営業CFを上回る規模で、素晴らしい成長ぶりです。

 

 

 ちなみに、UNPの本社はあのウォーレン・バフェット氏が住むオマハです。先述しましたが、バフェット氏は米国2位のBNSF鉄道(テキサス州フォートワース)を2009年に263億ドルで買収しています。バフェット氏は地元のユニオンパシフィックではなく、BNSFを選好したことになります。

 

 バフェット氏は寡占的な業界である鉄道会社を好み、以前はユニオンパシフィックも株式を保有していました。しかし、BNSF鉄道を買収する前に独禁法の関係でユニオンパシフィックは売却しています。 

 

 ユニオンパシフィック【UNP】の直近2020年1~3月期決算では、売上高は52億2900万ドルと3%減でした。市場予想は上回っており、この地合いのなかでは踏ん張ったと評価できるでしょう。しかし、3月に限ると7%減で、今後のコロナショックの影響の拡大をうかがわせるものでした。ちなみに、4~6月期の輸送量は前年同期比25%減を見込んでいます。

 

 純利益は前年同期比6%増の14億7400万ドル、EPSは2.15ドルと市場予想1.90ドル上回る好決算でした。

 

 ファンダメンタルズとしては150ドル前後までは比較的安心して買える株ですが、コロナショックで自社株買いが止まっており、見通しも厳しいことから近々の急激な上昇も見込みにくい状況です。原油安、輸送量の減少とネガティブなニュースが多いですが、逆に昨今では珍しい買い場到来と考えることもできます。

 

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