S&P500ETFのVOO、IVV、SPY、それぞれの違いとは?
S&P500ETFのVOO、IVV、SPYのご紹介をします。 いずれもブラックロック、バンガード、ステートストリートのトップ級の運用総額を誇る大人気ETFです。
SPY・IVV・VOOはいずれもスタンダード&プアーズ社のS&P500指数に連動するETFです。それぞれ運用会社が違います。
S&P500指数とはアメリカを代表する大型株500銘柄を集めた指数です。最も代表的な株式指数のうちの1つです。そのため、各社からS&P500指数連動のETFを出しているということです。
日本の証券会社で買えるのは、ステートストリートの最も流動性の高いSPY、ブラックロックiシェアーズシリーズのIVV、そしてバンガードのVOOです。ちなみに値動きはこの3つはほとんど変わりません。信託報酬と配当利率が少し違います。
信託報酬 | 分配金利率 | |
SPY | 0.09% | 1.82% |
IVV | 0.04% | 1.86% |
VOO | 0.04% | 1.85% |
歴史の長さと流動性の安定感を取るならばSPY。
配当で見るならばわずかにIVV。
信託報酬でみるならばIVVかVOO。
ということになります。ただ、利回りは流動的です。
IVVの信託報酬は以前は0.07%でした。その後、バンガードVOOと同水準の信託報酬になりました。ブラックロックの意地ですね。
ちなみに、ETF運用会社の規模はブラックロック、バンガード、ステートストリートの3社が世界の3強です。ETF業界はこの3社で実に世界の運用総額の7割を超えます。まさに寡占的業界です。
米国系以外の運用会社では日本の野村、フランスのソシエテジェネラル、ドイツのドイツAWMがトップ10に食い込んでいます。しかし、その差は大きいです。
SPYは30兆を超える資産額
SPYは設定日が1993年と古いです。そのため、個人投資家のみならず機関投資家も含めて幅広く利用されています。純資産額はおよそ20兆円にも及び、名実ともに世界一の規模のETFとなっています。流動性の高さはいうまでもありません。逆に、このETFよりも流動性の高いETFはありません。
東京証券取引所でも円で購入できます。1557がそれです。しかしこれは為替の影響を受けます。
ちなみに、私は投資資金はドルで行ったほうが選択の幅が増えると考える人です。そのため、直接米国市場での買い付けを選択します。1557はどうしても円貨で買いたい場合の選択肢ですね。
スパイダーを代表するETF、それがSPYですね。名前の通りです。
IVVは9兆円を超える資産額
IVVは、設定日が2000年です。これも古いのですが、SPYにはかないません。とはいえ、純資産額はおよそ9兆円です。流動性は高いです。純資産額でいうと、SPYが圧倒的、後発のIVVが2位ということになっています。
IVVは、世界最大のETF運用管理会社であるブラックロックの旗艦商品です。ブラックロックもスパイダーと同じく、リリースしているETFの中で運用総額が最も大きいETFはS&P500連動のIVVということになります。
VOOは後発ながら追い上げ中
バンガードという会社自体が比較的新しい会社であることもあり、VOOはS&P500連動ETFの中でも最後発です。2010年が設定日です。SPYに遅れることおよそ20年、IVVに遅れること10年です。しかし、バンガードの低信託報酬政策が受け、およそ7兆円まで資産額を伸ばしてきています。SPYとはおよそ2倍違う信託報酬です。
ステートストリート、ブラックロックの両社とも最も売れているETFがこのS&P500連動ETFです。バンガードはVTIのほうが売れています。VTIはおよそ8兆円の資産額です。
S&P500ETFの安定感はピカイチ
ベースにしている指数が一緒なので、値動きはほとんど変わりません。私は個人的にはバンガード社のVOOかブラックロックIVVの信託報酬の低さに惹かれます。
とはいえ、極端な信託報酬の違いはありません。数億単位での運用ならばそれなりの違いになります。普通の個人投資家にとってはどれを選んでもまあ大差はない。そういうことになります。
S&P500ETFは個人投資家のみならず、機関投資家も運用に活用しています。その実績と信頼はSPYがETFで世界で1番の資産額である30兆円にも及ぶ額を集めていることからもわかるようにダントツです。
VOOなどのS&P500ETFはいつの時代もアメリカが覇権国である限り広く支持されるETFであることは間違いありません。
SPYのチャートと配当
※画像はYahoo!から
1993年 取引値45ドル 分配金0.2132ドル
2016年 取引値213ドル 分配金1.08ドル
2017年 取引値238ドル 分配金1.03ドル
2018年 取引値280ドル 分配金1.246ドル
分配金含まずのチャートです。成長国の長期投資とはこういうことであるということに気づかせてくれるチャートです。ITバブル崩壊の2000年からの数年と、リーマンショック時の2008年では落ち込みが見られます。
しかし、世界経済が好調だろうが不調だろうが株価は政策としてきっちり作ってきますね。アメリカという国、アメリカの企業文化がそうなっています。ただ、この2年の上がり方は急で、反動があってもおかしくないですね。
一方で市場の上下動は資本主義にはつきものですが、うまく波に乗ろうと思わず、ドルコスト平均法で積み立てていけば、順調に資産形成できることをこのチャートは教えてくれます。
誰でもできる資産運用とは、銘柄選択よりも投資先の国を吟味することのほうがはるかに重要です。理由は簡単でだれもができるからです。しかも、ETFにしてしまえば、選択に限りがありますから投資先の選択で迷うこともありません。
収入をしっかり確保し、余裕資金で低リスクのETFを買い、長期で運用するのが最も簡単な投資方法であると言えるでしょう。
IVVのチャート
※画像はブラックロックIVVから
以後、IVVの分配金込のチャートです。
リーマンショック後のギリシャショックのころから、株価の上がり方が際立っています。「押し目待ちに押し目無し」という言葉の通り、順調な上昇を続けています。大型株指数連動ETFでこのパフォーマンス、素晴らしいです。
とはいえ、2000年代の停滞は意識されてよいところです。リーマンショック以後のイメージのみ描いていると「期待外れ」ということになります。20年30年を想定した投資が肝要ですね。
18年で2.7倍という数字をどう読み取るかということです。
VOOの構成銘柄
※バンガード社から
VYMなどの配当系のETFとはいくぶん組み入れが違います。目につくのはアルファベット【google】、Amazon、バークシャーハサウェイ(バフェット氏【BRK.B】)です。これらの今をときめく株群は配当を出していません。
それと、金融のウェルズファーゴやJPモルガンも配当系ETFではあまり見ないですね。
セクターでは情報技術が20%を占めています。米国はどの分野でも世界で勝負できる多国籍企業があるのが強みです。シリコンバレーの企業群はアメリカのみならず世界の情報技術をリードしています。
アメリカは世界中の富が集中する、儲けのシステムを知り尽くしている国といえます。
VYMとVIGが比較的近い性質のETFだとするならば、VOO、SPY、IVVはVTIに近い性質です。必ずしも分配金は高くありませんが、アメリカを代表するようなイノベーティブな今を時めく銘柄を買える、そんな大型ETFです。
米国市場は指数が多く、他にもダウ30種を始め、S&P100、ラッセル1000、ラッセル2000、Nasdaq100などがあります。それぞれ関連ETFがあります。
様々な指数連動商品があり、さらに運用会社も選べるのが米国ETFの魅力をさらに高めていると言って良いでしょう。その中でも最有力であり、多くの個人投資家、機関投資家の支持を受けているのがS&P500連動ETFであるSPY・IVV・VOOということになります。今後もS&P500連動ETFの信託報酬値下げ競争から目が離せません。
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これらのS&P500連動ETFは下記のネット証券にて低手数料で購入することができます。以前S&P500連動商品は、低信託報酬の投資信託が無かったのでETFのみでした。今では低信託報酬の投資信託を積み立てて買うことができます。投資信託ではemaxis slimのS&P500連動が最安ですね。
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