S&P500の年率パフォーマンス超長期90年
S&P500の年率変化のグラフを紹介します。1929年は世界恐慌でした。その世界恐慌時に、4年連続してマイナスのパフォーマンスをS&P500は記録しています。続けて長い低迷をしただけでなく、単年でも50%近い谷の深さを記録しています。
- 1929年 11.9パーセント
- 1930年 28.5パーセント
- 1931年 47.1パーセント
- 1932年 15.1パーセント
この連続するマイナスパフォーマンスはじわじわと投資家の投資意欲、体力を奪っていきます。ちなみにNYダウは1929年から1932年までの間に380ドルから42ドルにまで落ちています。
私も多少経験したから分かりますが、日本にも年をまたいだ連続した投資不毛時代がありました。世界恐慌とは比べるべくもありませんが、2000年代だけでもこれだけの危機があります。
- 2000年 ITバブル崩壊
- 2003年 金融危機(日経7000円台)
- 2006年 ライブドア・マネックスショック
- 2008年 リーマンショック
この時代を経験した投資家ならばみな、キャッシュポジションの大切さを実感したことでしょう。買い方ならば、終わりの見えないナンピンを経験しているのではないでしょうか。
反面、ボラティリティも大変に大きくなりますから、今に通じるカリスマ投資家が生まれたのもこの時代です。
私はと言えば、いやというほど自分の投資の才の無さを自覚すると共に、日本株投資に対して疑問を持ち始めた時期でもあります。結局、その最適解を米国株市場に求めるに至るわけです。
その後2010年代に入り、日本市場も日銀や年金のETF買い入れにより株式市場を積極的に支える方針に転換します。
これに関しては、もはや出口戦略は不可能で、このまま保有を続けるのではないでしょうか。そういう意味ではリーマンショック以後に株式を始めた人は良い時期に始めたと言えるでしょう。
日本に限らず、FRBもETF購入を検討しているという話がありますから、日銀の方針というのは世界の先例になるのかもしれません。世界の中央銀行政策において、株式市場を支えていくというのは最重要事案の1つになりつつあります。
いずれにしても、株式指数を買って放置という投資手法が許される時代が来るとは思いませんでした。これは投資額が大きくなればなるほどモノを言いますから、度重なる不況、経済危機でも退場せずに、しぶとく生き残ってきたかいがあるというものです。
さて、前置きが長くなりましたがS&P500の年率パフォーマンスです。
http://www.yardeni.com/pub/stmktreturns.pdf
2010年代の好調さを改めて確認することができます。
S&P500が3年以上マイナスだったことは3回しかない
近年の経済危機というと、リーマンショックが話題になりがちです。しかし、実は2000年前後のITバブル崩壊のほうが根深かったことを窺わせます。このときに記録したナスダック総合指数の高値を上回るのにおよそ15年もの歳月をかけています。
S&P500も3年連続でマイナスを記録するなど稀有な数年でした。
ちなみにS&P500が3年以上マイナスだったことは、過去90年で3回しかありません。1929年の世界恐慌、1937年ルーズベルト不況、それから2000年ITバブル崩壊時です。
リーマンショックは100年に1度と言われます。確かに、世界恐慌、それから続く1937年不況ぐらいしか同じような深い谷はありません。しかし、問題の根深さという意味では全く違うレベルであったということがこのグラフから分かります。
21世紀で大きなマイナスパフォーマンスが1度しかないS&P500
0%、あるいは-0.1%という年がありました。しかし、リーマンショックの年のみ大きなマイナスで、そのほかの年はプラスでした。暴落を想定してキャッシュポジションを持ちつつも、ある程度投資をしていかないと機会損失をしてしまうことが分かります。
実にITバブル以後の21世紀では1度しか大きなマイナスを記録していないのです。これは驚異的と言って良く、長期の買い方はほとんど全員負けていないことを意味します。特にインデックス投資をしている人は負けるほうが難しかったと言えます。まさに全員参加のプラスサムゲームと言って良いでしょう。
このあたりの感覚が日本株とはまったく違います。米国市場の過去の年間平均成長率は6.8%ですが、それを裏付けるデータと言えます。過去に現在を見ることは全てにおいてできることではありませんが、頭の片隅に入れておきたい事実だと思います。
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