たぱぞうの米国株投資

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ロイヤルダッチシェル【RDSB】の銘柄分析。高配当6%超え銘柄

ロイヤルダッチシェル【RDSB】の銘柄分析。高配当銘柄。

 ロイヤルダッチシェル【RDSB】はエクソン【XOM】に次ぐ世界2位の生産量を誇る民間石油エネルギー企業です。民間、というのはIPOが騒がれるサウジアラムコ(サウジアラビア)などは国営だからです。規模で言えばサウジアラムコが圧倒的世界一です。

 

 ロイヤルダッチシェルは探鉱、生産、輸送、精製、販売を全て行っています。いわゆる川上から川下までですね。

 

 かつて世界の石油市場を寡占していたセブンシスターズのうちの一社です。

  そのセブンシスターズもオイルショックを経て、以下に集約されています。

  • エクソン【XOM】
  • ロイヤルダッチシェル【RDSB】
  • ブリティッシュ・ペトロリアム【BP】
  • シェブロン【CVX】

 

  ちなみに、ロイヤルダッチシェルの社章はホタテ貝です。その名の通り、ロイヤルダッチ社とシェル社の合併で今の企業体ができました。

 

 シェル社は創業者が日本の三浦海岸でみつけた貝殻が美しく、それを輸入販売したことが事業の始まりだからとか、はたまた出資者の家紋がホタテだからとか言われています。いずれにせよ、明治初期から日本の横浜・関内で事業を行っていたことは間違いないところです。

 

 最初は貝殻加工販売から始まり、のちに石油事業に進出しました。

 

 ロイヤルダッチ社は蘭領東インド、つまりインドネシアでの石油事業が祖業です。東インド会社が華やかだったころですね。この両社の提携の歴史は100年以上前からです。そして、この時代からエクソンの前身である、スタンダード石油がライバルでした。ロイヤルダッチとシェルの合併はスタンダード石油へ対抗するためだったとも言えます。

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 このような歴史から、RDSAとRDSBがあります。

 

 RDSAがロイヤルダッチの流れを汲みます。オランダ株扱いなので源泉徴収税15%があります。こっちを買うと税金がややこしいです。

 

 RDSBはシェルの流れを汲みます。英国株扱いなので源泉徴収税がありません。日本の証券会社で買うならば当然ADRのRDSBが良いです。

ロイヤルダッチシェル【RDSB】のチャートと配当

ロイヤルダッチシェル【RDSB】のチャートと配当

ロイヤルダッチシェル【RDSB】のチャートと配当
  • 2006年5月 株価69ドル 配当0.63ドル
  • 2016年5月 株価51ドル 配当0.94ドル
  • 2017年5月 株価56ドル 配当0.94ドル
  • 2019年8月 株価60ドル 配当0.94ドル

 

 原油安の中、株価は40ドル近辺まで下がる場面がありました。しかし、配当は維持しています。減配リスクがあると言われていましたが、踏ん張りましたね。そういう環境でしたので、増配はありません。ちなみに、2014年には原油高で80ドルを超えていました。その後原油安に伴い株価は急落、半値戻しをしています。

 

 長期のキャピタルゲインを狙うような銘柄ではありません。石油価格に関しては、シェールオイル革命で完全に需給が変化しています。過去のような高値は地政学リスクが高まる以外にあり得ない状況となっています。

ロイヤルダッチシェル【RDSB】基本データ

  • ティッカー:RDSBとRDSA(円で買うならRDSBが税制上よい)
  • 本社:イギリスとオランダ・ハーグ
  • 上場:ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場(ADR)

 続いて、基礎データを見てみましょう。

ロイヤルダッチシェル【RDSB】の売り上げと利益

ロイヤルダッチシェル【RDSB】の売り上げと利益

ロイヤルダッチシェル【RDSB】の売り上げと利益

 ポートフォリオに資源セクターを入れておくことは悪くはないですが、やはり市況ものですね。商品市場の影響をもろに受ける銘柄であることは間違いないですね。原油安の時には赤字転落となっています。

 

 この売り上げと営業利益の出入りの激しさをどう考えるかですね。うねり取りや逆張りが好きな人には、キャピタルも狙えるような銘柄となるのでしょう。ただ、こういう銘柄は過度な期待は禁物ですね。 

 

 似たような地域、業態のBPは2015年にBPはもっと大きな赤字でした。それを考えると、ロイヤルダッチシェルは利益体質としては悪くないと言えそうです。

ロイヤルダッチシェル【RDSB】の配当と配当性向

ロイヤルダッチシェル【RDSB】の配当と配当性向

ロイヤルダッチシェル【RDSB】の配当と配当性向

 いびつな配当性向は注目されてよいと思います。 

 

 原油価格が高値にあった2014年までは配当性向も100%以内に収まっていました。しかし、原油安になってからはたちまち配当性向が700%超えの水準まで上がっています。

 

 100%以下へ持ち直しつつあるものの、依然高い水準です。原油安になると同時にバフェット先生がエクソンを売り払ったのは、こういうことですね。

ロイヤルダッチシェル【RDSB】のBPSとEPS

ロイヤルダッチシェル【RDSB】のBPSとEPS

ロイヤルダッチシェル【RDSB】のBPSとEPS

 一株当たりの資本と利益です。なかなか厳しい状況ですね。一時期の困難期は原油価格の回復に伴い、脱しています。新規の買収などを抑えつつ、どうにか凌ぎましたね。 

 

 BPSはそれに対して横ばいからの資産圧縮に転じています。

ロイヤルダッチシェル【RDSB】のキャッシュフロー

ロイヤルダッチシェル【RDSB】のキャッシュフロー

ロイヤルダッチシェル【RDSB】のキャッシュフロー

 重厚長大、石油産業というのは採掘から精製まで、プラントに莫大な設備投資が必要です。そのため、どうしても投資キャッシュフローは大きくなりがちです。

 

 フリーキャッシュフローはリーマンショックのあおりをうけた2009年と原油安の2016年にマイナスに転じています。

 

 2014年の原油安を受けて、サプライチェーンの見直しを始めとする経費削減を積極的に進めました。その結果、現在の原油価格60ドルの世界でも収益を出せる体制を整えました。生産コストを見直し、油井によっては原油価格が40ドル台前半でも利益を出せる構造になっています。

 

 今回の決算では、昨年比で原油価格が下落したにも関わらず、およそ100億ドルのFCFを出しており、それを裏付ける結果となりました。ただ、世界経済の減速を理由として、自社株買いのスピードを減速することを発表し、株価は下げています。

 

 恒常的な原油価格の低迷は経営上の課題で、営業利益10%という会社側の目標も現在の相場環境だと厳しいでしょう。ただし、株価はこういったネガティヴな要素を織り込みつつあります。ネガティヴサプライズにも関わらず、下げが限定だったのがその証左です。

 

 今の水準はやや割安、65ドル近辺までは狙えそうなファンダメンタルズに感じます。あくまで原油市況次第ですので、確度は高くないですが、目安として記しておきます。

 

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