たぱぞうの米国株投資

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ETF運用会社が倒産したらどうなるの?

ETF運用会社が倒産したらどうなるの?

 ETF運用会社としてよく知られるのは下記の3社です

  • ブラックロック【BLK】
  • バンガード
  • ステートストリート【STT】

 この3社で世界のおよそ7割のETFシェアを占めており、圧倒的と言ってよいでしょう。ブラックロック【BLT】とステートストリート【STT】はニューヨーク証券取引所に上場しています。ブラックロックはシェアナンバーワンを誇る大手です。

 

 いずれも圧倒的な独自性を有しており、いわゆるワイドモート企業です。セクターとしては金融になります。そのため、株価の変動は比較的大きいです。

 

 しかし、2016年チャイナショック時には株価は300ドルを割る局面が見られました。その後たちまち業績と事業性が評価され、調整を挟みながら500ドルを超えてきています。逆に言うと、安定した右肩上がりの業種ではないので、〇〇ショックの時には妙味が出る代表株とも言えるでしょう。

 

 ただし、企業である以上、ブラックロックにしてもステートストリートにしても倒産の可能性がゼロということにはなりません。それはバンガードもそうです。ただし、特にこの上位3社は年々運用総額が増加しており、それに伴い業績も悪くありません。

 

 また、仮に経営が傾いたとしても、別の大手金融機関が手中に収めたい、そういうビジネスモデルを有しています。つまり、急な倒産というのは少々考えにくいですね。

 

 ちなみに、バンガードの場合は下記のような特殊構造になっています。

ETF運用会社の中でも特殊な会社構造

ETF運用会社の中でも特殊な会社構造

 これは、私たち投資家がバンガードのETFを買えばそのままバンガードそのものの株主にもなるという構造です。バンガードETFは年々運用総額が増加しており、つまり出資も増え続けていることになります。シェア、コスト競争力、実績から考えて、バンガードも急に資金が流出することは考えにくく、安定感は出色と言ってよいでしょう。

 

 さて、こうしたことを踏まえて、ご質問にお答えします。

ETF運用会社が倒産したら私たちの資産はどうなるのか

たぱぞう様

はじめまして。


 昨年末に米国株を始めた、大阪在住の39歳の会社員です。米国株どころか投資自体も全くの素人です。そのため、数ある米国株ブログの中でも、丁寧で分かりやすい説明かつ、情報量も豊富なたぱぞう様のブログを特に参考にさせて頂いております。いつも貴重な情報を発信して頂きありがとうございます。

 

 大変お忙しいとは思いますが、ご質問させて頂けないでしょうか?ETF運用会社の分散の是非についてです。

 
 ETFも個別の株式と同様に、運用会社が万が一破産しても資産が補償されるのは知っておりますが、運用会社はできるだけ分散しておいたほうが良いのでしょうか?例えば、IVVとVYMの組み合わせ、VOOとHDVの組み合わせといった感じです。

 

 ただ、いろんな投資家のブログを見ても運用会社を統一していることも珍しくなく、たぱぞう様の4月18日の記事(証券会社別のETFのランキング)でも上位はバンガードのETFが目立っていますし、投資家の皆様はあまり運用会社の分散は気にされないのでしょうか?

 

 証券会社によると、「運用会社が破産したら他の運用会社が同じ商品を引き継ぐか、繰り上げ償還されるかのどちらかになる」とのことでした。しかし、「個別銘柄はともかく何百、何千もの企業の株を複雑に組み合わせたようなETFを、他の運用会社が全く同じ形で引き継いでくれるものなのか?」と聞いたところ、「そのあたりのことまではよく分からない」という何とも曖昧な回答でした。

 

 たとえばバンガードが破産したら、ブラックロックやステートストリートなどがVYMと同じ内容で引き継いでくれるのでしょうか?ブラックロックは競合商品であるHDVがありますよね。インターネットで調べても答えを見つけられず、実際のところはどうなっているのかなと疑問に思っています。長期保有を考えているので、繰り上げ償還も絶対に避けたいところです。 

 

 説明が長くなり恐縮ですが、上記の2つの質問についてアドバイスを頂けましたら大変嬉しく思います。何しろ全くの素人であるため、訳の分からないことを言っていたら申し訳ありません。また、ネタになるようであれば、ブログでご紹介頂いても全く構いません。

 

どうぞよろしくお願いいたします。

ETFの管理はDTCが行っています。

 日本だと株式はいわゆる「ほふり」、株式会社証券保管振替機構に管理されています。つまり、投資信託の販売会社および運用会社とは別管理です。別管理にしないと、運用会社の経営危機がそのまま顧客の資産を危険にさらすことになるからです。

 

 同じように、アメリカではDepository Trust Company(DTC)という存在があります。こちらの組織に株式が預けられています。同じように、別管理にすることによって顧客の資産の安全性を高めています。

 

 この2つの組織はいずれも、株主の資産が運用会社や販売会社の経営危機に左右されないことを目指して設立されたものです。主たる業務は証券集中保管です。証券の集中管理をするために生まれた組織です。つまり、運用をするわけではないので、安全性は極めて高いです。

 

 それでも気になる場合は、ブラックロック・バンガード・ステートストリートなど各社のETFに分散させても良いですね。ご質問ありがとうございました。

  

関連記事です。

  バンガードの中の人もこのETF購入者がそのままバンガードの株主になる、ということはご説明されていましたね。バンガードの低コストETFを特徴づける、特許取得済の仕組みという話でした。

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  こちらはETF分配金の原資についてのお話です。

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  ブラックロックについての記事です。株価はリーマンショック後、大躍進中です。こちらはオプション取引も使え、機関受けもよいのでシェアトップですね。リテールだとバンガードがかなり伸長しているイメージです。

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