たぱぞうの米国株投資

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ウォルトディズニー【DIS】の銘柄分析。メディアコングロマリットの雄。

ウォルトディズニー【DIS】の銘柄分析。メディアコングロマリット。

 ウォルトディズニーカンパニーは創業者の名前をそのまま社名にしています。日本にいるとディズニーランドやアニメ映画のイメージが強いですが、母国アメリカでは3大放送ネットワーク局(いわゆるキー局)の1つであるABC(アメリカン・ブロードキャスティング・カンパニー)やスポーツ専門局のESPNを傘下に納める、メディアコングロマリットです。

 

 近年の買収としては、2017年の20世紀フォックスの買収が有名です。フォックスは、「アバター」「タイタニック」「ボヘミアン・ラプソディ」といった映画で知られる企業です。

 

 また、その20世紀フォックスとコムキャストで立ち上げたHuluも2019年に子会社化しています。これにより、ディズニー+、EPSN+、Huluと3つの月額サービスが並び立つことになっています。

 

 このことからも分かるように、ディズニーはアニメコンテンツ屋から、横断的なメディアプラットフォーマー、メディアコングロマリットへ変貌を遂げようとしています。さしずめ、ライバルはネットフリックスやAmazonプライムということになります。

 ウォルトディズニー【DIS】の略歴

 1923年にウォルト・ディズニー氏、ロイ・O・ディズニー氏によって創業されました。ウォルト・ディズニー氏が様々なキャラクターを考案するなど創造的な働きをしたのに対し、ロイ氏はディズニー社を企業として、特に財政面から支えた人物です。

 

 また、ディズニー兄弟の友人のアブ・アイワークス氏の存在も大きいです。会社が大きくなってきたところで、ほとんどのアニメーターとキャラクターの版権を他社に引き抜かれる憂き目に遭いますが、最後までアブ・アイワークス氏は残り、ウォルト氏と共にキャラクターを考案し続けます。

 

 起死回生のキャラクターとなったのがミッキーマウスです。根こそぎ引き抜かれたこのときの経験が著作権に厳しい今のウォルトディズニー社のスタンスを決めたと言って良いでしょう。

 

 1955年にはカリフォルニア州でテーマパークであるディズニーランド構想を具現化させます。その後1965年にディズニーランドの構想は総合レジャーランドとして昇華し、ホテルやウォーターパークも含んだウォルト・ディズニー・ワールドリゾートの実現につながります。

 

 ウォルト・ディズニー・ワールドリゾートはフロリダ州に位置し、20のホテル、ゴルフコース、4つのディズニーパーク、2つのディズニーウォーターパークを含む広大なアミューズメントリゾートです。

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※ディズニーJPのページから

 アニメ制作にとどまらず、キャラクターから派生したイメージを具現化し、さらに事業化した、ディズニー兄弟の企画実行力、そして夢の大きさは唯一無二であり、その思想は今もウォルトディズニーカンパニーに脈々と受け継がれています。

ウォルトディズニー【DIS】の配当とチャート

ウォルトディズニー【DIS】の配当とチャート

ウォルトディズニー【DIS】の配当とチャート

2006年 12月 株価33ドル 配当0.31ドル(1期配当)

2016年  7月 株価100ドル配当0.71ドル(2期配当)

2017年 12月 株価110ドル配当0.84ドル(2期配当)

2019年  7月 株価132ドル配当0.88ドル(2期配当)

 

 2015年中ごろまでは完全な右肩上がり株でしたが、一時期もたついていました。2016年、2017年とも90ドルを割りそうな局面がありました。業績とともに見事に再び伸びてきましたね。

 

 また、配当利回りは必ずしも高くなく、この10年でだいたい1%弱で安定しています。年間ベースでは連続増配中ですが、株価が成長しづづけているので配当利回りが変わりません。

 

 ウォルト・ディズニー氏の死後、業績が停滞したこともありました。しかし今はそんなことはありません。特に映画部門のヒット連発は目覚ましく、世代交代がいつの時代も非常に上手くいっています。

ウォルトディズニー【DIS】の基礎データ

 つづいて、基礎データを見てみましょう。

ウォルトディズニー【DIS】の売り上げと利益

ウォルトディズニー【DIS】の売り上げと利益

ウォルトディズニー【DIS】の売り上げと利益

 売り上げは基本的には右肩上がりです。もっとも、ディズニーやピクサーの事業は比較的好調ながら、スポーツのESPNなどがあまり調子がよくありません。ABCもそうですが、年々ビッグイベント化し、番組制作にかかるコストが増大しているのが難点です。

 

 とはいえ、祖業を中心に固い著作権で守られた営業利益率は非常に高く、経済的な濠は十分と言えそうです。キャラクターは既存のものも含めて、売上の安定化に大きく貢献しています。また、パーク事業も一時期停滞気味でしたが盛り返しており、ディズニーランド上海の行方も含めて注目されてよいでしょう。

 

ウォルトディズニー【DIS】の配当と配当性向

ウォルトディズニー【DIS】の配当と配当性向

ウォルトディズニー【DIS】の配当と配当性向

 急激な右肩上がりを示してます。配当性向は20%程度と低く、無理のない配当であることが窺えます。2010年ごろから比べると実に5倍以上の配当成長を示していることになります。

ウォルトディズニー【DIS】のBPSとEPS

ウォルトディズニー【DIS】のBPSとEPS

ウォルトディズニー【DIS】のBPSとEPS

 こちらも美しい右肩上がりを示しています。この数年は多少のもたつきがありましたが、EPSが盛り返してきました。地味ながらこの10年で10%以上の自社株買いもしています。EPSは自社株買いと利益成長のために5倍にもなっています。

ウォルトディズニー【DIS】のキャッシュフロー

ウォルトディズニー【DIS】のキャッシュフロー

ウォルトディズニー【DIS】のキャッシュフロー

 右肩上がりで安定しています。2015年にやや例年よりも投資CFが増えましたが、それ以外の年は予測可能な範囲に収まっています。営業CFが堅調なため、フリーCFも安定的に伸びています。

 

 2010年以降は株価の高騰が続いており、しばらく買えない水準でした。しかし、2015年から株価は一服しており、一時期から比べるとだいぶ値ごろ感が出ていました。3年平均8%の高い成長率と18%の営業利益成長率は出色と言って良く、すでに業界のガリバーでありながら、アニメ、映画、多様でキャッチーなキャラクターだけでなく、買収による広範囲な映像コンテンツが大きく寄与しています。

 

 グッズ販売は悪くないものの、期待値が大きすぎるというのもあるでしょう。世界経済の拡大とともに成長し続ける可能性が高い企業の1つです。ただし、映像コンテンツの売り上げはやや不透明な部分があり、年によって業績のばらつきはあります。

 

 もっとも、浮き沈みの激しいコンテンツの当たり外れを、既存のキャラクターたちが安定化させている、そういう売り上げ構成になっています。これが、ディズニーの最大の強みと言えるでしょう。

 

 メディアプラットフォームとしてのサブスクリプションモデルがどれだけ決算を安定的にさせるかも見ものです。直近の株価は過熱感もなく、妥当性の高い位置と言えるでしょう。

 

 

 

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