たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

ブリティッシュ・ペトロリアム【BP】英国系の高配当石油メジャー

ブリティッシュ・ペトロリアム【BP】は高配当利回りの国際石油資本

 かつてはBritish Petroleum(ブリティッシュ・ペトロリアム)と言いました。今は略称のBPがそのまま社名になっています。なお、ティッカーもそのままBPです。

 

 国際石油市場において独占的な価格決定権を持っていたセブンシスターズのうちの1社です。上場会社の中での生産量はエクソン、ロイヤルダッチシェルに次いで3位、確認埋蔵量ではエクソンに次いで2位と押しも押されぬ地位を築いています。

 

 ただ、サウジアラムコなどの非上場企業を含めると世界で11位の生産量になります。中東や開発途上国の国営会社は非上場の会社が多いのでランキングを見るときには注意が必要です。

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※BPの本社サイトから

 事業内容は、石油や天然ガスの探査、開発、生産から石油由来の化学品の販売、輸送まで手掛けています。上流工程から下流工程まで事業展開しており、これは他の石油資本であるエクソン(XOM)やシェブロン(CVX)と同じです。

 

 また、ロイヤルダッチシェル(RDSB)と同じく本社をイギリス・ロンドンに置いています。また、他社と同様に高利回りですが、米国企業よりさらに突出した配当です。

 

 BPは2010年にメキシコ湾原油流出事故を起こしています。

 

 メキシコ湾原油流出事故はメキシコ湾の沖合80kmで海底掘削中におきた事故です。5500メートルにも及ぶ掘削パイプが天然ガスの逆流に伴う爆発で折れ、大量の原油がメキシコ湾に流れ出しました。

 

 その量は湾岸戦争時の流出量である600万バレルに次ぐ約500万バレルで、事故による流出量としては過去最大のものです。

 

 この事故の賠償金が総額で600億ドル(約6兆円)にも及んでおり、経営上障害になっていました。事故から6年を経て、賠償金の支払いは落ち着きつつあるものの、原油安ということもあり2015年は営業赤字でした。

 

 2016年はわずかに営業黒字を回復しています。

ブリティッシュ・ペトロリアム【BP】のチャートと配当

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2006年11月 株価68ドル 配当0.5895ドル
2016年11月 株価35ドル 配当0.60ドル

2017年11月 株価43ドル 配当0.60ドル

 

 株価は2000年代後半では80ドルを窺おうかという勢いでした。しかし、その後リーマンショックで40ドル割れをしています。回復途上にあった2010年に先述のメキシコ湾原油流出事故を起こしています。

 

 事故直後に付けた安値が27ドルです。じわじわ株価は回復してきつつあったものの、原油安で再び30ドル割れまで落ちてきていました。

 

 配当利回りは高く、5.5%もあります。2010年のメキシコ湾原油流出事故後に2期ほど無配転落をしていますが、翌年2011年から復配をしています。そのときが0.4ドルの復配でした。

 

 事故前に0.84ドルあったことを考えると半減ということですが、それでもすぐに復配し、現在0.6ドルまで回復しているのはさすがというべきでしょうか。2015年からは据え置きの配当になっています。

ブリティッシュ・ペトロリアム【BP】の配当性向

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 配当性向がゼロになっている年があります。2010年、2015年、2016年の3回です。この3回は赤字です。10年で3回の赤字というのは弊ブログでご紹介している企業としては多いです。決して楽ではない経営状況が伝わるようです。

ブリティッシュ・ペトロリアム【BP】のBPSとEPS

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 なかなか一株利益=EPSが稼げない状況が続いています。それでも、原油市況の好調だった2013年は健闘しています。とはいえ、2010年代はメキシコ湾岸石油流出事故に関わる賠償金が重くのしかかったと言えそうです。

 

 特に原油安の始まった2014年以降は殆ど利益が出せていないと言ってよいでしょう。

ブリティッシュ・ペトロリアム【BP】の売り上げと利益

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 目を引くのが2010年と2015年、2016年の営業利益率の落ち込みです。事故と原油安の影響が見て取れます。また、原油安に伴い不採算部門の閉鎖や売却をすすめており、売り上げはピーク時のおよそ半分まで絞っています。営業利益率は基本的によくても10%程度です。

ブリティッシュ・ペトロリアム【BP】のキャッシュフロー

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 営業CF自体があまり安定しておらず、なおかつ投資CFが過剰なためにフリーCFが少ないという流れになっています。

 

 ここまで見ても分かるように、非常に厳しい経営環境に置かれています。石油業界は寡占とは言えどもBPには「強み」のようなものはあまりありません。シェブロンやロイヤルダッチシェルといったところが比較的原油市況の反騰を素直に好感しているのに対し、出遅れ気味なのはそういうことです。

 

 BPは石油業界では「出遅れ銘柄」と評されることが多いのですが、数々のネガティブな情報を勘案しながら買うということになります。ただ、2017年から反騰傾向にあり、株価面では妙味は薄れつつあります。

 

 常に高配当であり、株主還元に積極的なのはプラス材料でしょう。ロイヤルダッチシェル、シェブロン、エクソン、コノコフィリップスなどの旧セブンシスターズと呼ばれた企業群が比較対象になります。

 

石油企業に関する関連記事です。

 まず、エクソンです。国営企業も含めた生産量世界ランキングをのせてあります。この世界ランキングでだいたいのBPの立ち位置が分かると思います。

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  シェブロンです。ここも高配当で有名ですが、キャッシュフローに優れていることでも知られます。

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  ロイヤルダッチシェルです。英蘭系欧州石油資本です。私も持っています。持ち株はわずかですが、配当が良いのでポートフォリオの中で存在感があります。

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 コノコフィリップスです。川下部門をフィリップス66として別会社化しています。独立系最大ということになります。

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