たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

ADR(American Depositary Receipt:米国預託証券)とは

ADR(American Depositary Receipt:米国預託証券)とは

 ADR(American Depositary Receipt)は、日本語では米国預託証券と言います。平たく言うと、米国外の株式を米国市場であたかも米国株式のように買うことができる証券のことです。

 

 歴史は古く、1927年に英国の百貨店企業が上場させて以来あります。すでに100年近くの歴史があります。この制度により、米国市場参加者は不自由なく海外株を売買することができます。ドルを持っていれば、世界中の株が買えます。それはこのADRの存在が大きいです。

 

 もちろん株価変動もありますし、配当金も出ます。

 

 JPモルガン・シティバンク・ドイツ銀行・バンクオブニューヨークメロンの四大商業銀行が預託業務を行っています。この4行が現地企業の合意のもと海外株を買い、現地地場の銀行に預けます。それを元に4行は預託証書を発行し、預託証書を上場させます。

 

 いわば、預託証書というのは「株を確かに預かっていますよ、現地の銀行に入れてありますよ」という預かり証書です。この預かり証書を現地企業と4行が協力して米国市場に上場させるのがADR(American Depositary Receipt)という仕組みです。

 

 最近では、アリババ【BABA】のように米国市場に直接上場して資金調達をする米国外企業も出てきました。しかし、それでも多くの米国外企業にとってADRは一般的な米国市場参入方法と言えます。ちなみに、ロンドン市場も同じ制度があり、こちらは【GDR】と言います。

 

 多くのの多国籍企業はNYSE・Nasdaqに上場して取引できる形をとっています。しかし、中には上場させないケースもあります。有名な例ではスイスのNestleがあります。

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 Nestleは店頭での相対取引で対応しています。ADRの中でもOTC(Over The Counter)という制度があり、これはカウンターを通さない、証券会社の店頭で売買される性質のものです。このOTCも含めると、非常に数多くの米国外企業のADRが買えることになります。

 

 日本の証券会社ではOTC銘柄は殆ど買えないのですが、当然ながら海外証券会社では手広く扱っています。さて、こうしたことを踏まえてご質問をご紹介します。

海外上場の日本株ADRの株価が東証上場の株価と異なる

 たぱぞうさん、はじめまして。いつも楽しく拝読しています。私はアラフォーならぬジャスト40の独身女性です。


 投資に興味を持ったのは10年ほど前になりますが、いかんせん資金力に乏しく、日本株をちょこっと触ったあとは、専ら持ち株会やセゾン投信の積立をメインにしてきました。


 しかし、たぱぞうさんのBLOGに出会って米国株に興味を持ち、総額100万円と少額ですが、今年2月から米国株取引を始めてみました。手数料は高いものの、日本株ほど資金をかけずに複数の銘柄を買えること、運良く株価が急落したタイミングに始めたこともあり、ドキドキしながらも日々市場の動向を楽しんでいます。

 

 今日メールしたのは、海外上場している日本株に対する評価について、質問させて頂きたいと思ったからです。


 トヨタ自動車の株価は東京市場で約6900円ですが、NY市場では1株$128.5です。これを1$=107円で100株に換算すると約7400円になります。


 これはつまり、トヨタ自動車は国内よりも海外の方が評価が高いということでしょうか?そして、もしそうならば、トヨタのADRを買うのは割高な値段で株を買っているということなのでしょうか?

 

 海外で日本のADRを買うなんて税金面でも為替面でも非効率な話なので、本気でADRを買おうと考えている訳ではありません。ただ、ある市場では手を出しづらい株を、他の市場では容易に買える可能性に気づき、そのメリットデメリットが気になっています。


 何だか抽象的で要領を得ない文面で、しかも初心者丸出しの質問でお恥ずかしいのですが、もしお気が向いたならご回答を頂けますと幸いです。

 

P.S.たぱぞうさんの記事の中では「2流で生きること」という文章が一番好きです。
ちょうど仕事や人間関係に挫折した時期に読んで、とても励まされました。今後もBLOGを楽しみにしています。

ADRと現地株は近似はするけれども等価ではない

 質問者さんがおっしゃるように、厳密に毎日同じ値段になるわけではないですね。あくまで預託証券であり、その預託証券に対する値付けになるからです。また、その日その日の為替の影響もあり、即座に反映されるというわけではありません。

 

 原株1株に対してADR1株だと近似しますが、この比率がそもそも違うケースもあります。1:5などです。

 

 日本の場合は米国市場の影響を強く受けます。そのため、ADRの値動きが翌日の東証での値動きに大きく影響します。もちろん、先に述べたように厳密には同じものではありません。そのためパチッと等価に収まるわけではないですが、いつも近似します。

 

 基本的には極端に不利な税制ではない限り、現地の人は現地市場から買ったほうが買いやすいわけですが、米国市場参加者であればADRを買ったほうが買いやすいです。あくまで米国市場参加者への便宜を図った、補助的な存在ですね。

 

 ちなみに、海外株は私たち日本人ならば、東証を通して買うのが一般的でした。そのため、東証外国部の存在も大きかったわけです。今は、米国市場で直接買えるようになっています。そのため、メリットは薄れ、近年ではバンクオブアメリカなど有名企業も東証上場株を上場廃止していますね。

 

 反面、米国市場には世界中のプレーヤーが集まりますから、世界中の企業がこぞって上場してきます。直接上場もあれば、ADRのような形もあります。私たちはドルさえ持っていれば、そうした世界の株式を広く買うことができるというわけですね。

 

 ご質問ありがとうございました。

 

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