たぱぞうの米国株投資

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SPDR S&P 500 ETF Trust【1557】を徹底解説。円で買えるS&P500ETFだが!?

SPDR S&P 500 ETF Trust【1557】という東証上場のETF

 SPDR S&P 500 ETF Trust【1557】という東証上場のETFがあります。これは、世界最大規模のETFであるSPYの東証上場バージョンです。スパイダーの看板商品であるSPYが円貨で買えますので、大変に利便性は高いと言ってよいでしょう。

  • SPDR S&P 500 ETF Trust【1557】:経費率 0.0945%

 この経費率は円で買えるS&P500連動商品としては最安レベルです。

 競合としては、東証上場ETFだと日興アセットマネジメントの上場インデックスファンド米国株式【1547】や【1655】や【2588】が有名ですね。

 

 一覧にしてみましょう。それ以外にもこういう商品があります。

  • 【2521】- 上場インデックスファンド米国株式(S&P500)為替ヘッジあり :経費率0.15%
  • 【1547】 - 上場インデックスファンド米国株式(S&P500):経費率0.16%
  • 【1655】 - iシェアーズ S&P500 米国株 ETF:経費率0.15%
  • 【2588】 - MAXIS 米国株式(S&P500)上場投信:経費率0.0858%

 為替ヘッジありを好む人は【2521】も有力な選択になるでしょう。

 

 さて、今回はこの経費率最安S&P連動ETFであるSPDR S&P 500 ETF Trust【1557】についてご質問をいただきましたので、紹介します。

SPDR S&P 500 ETF Trust【1557】は米国上場のS&P 500ETFに比べて、なぜ地味なのか

たぱぞう様

 Sと申します。毎日の更新を楽しみに、いつもブログで勉強させていただいております。

 

 私はアラフォー世代ですが、投資家としては駆け出しで、今年になってやっとインデックスや海外ETFに投資を始めたばかりてす。


 今回のたぱぞう様の記事に、投資対象としてVOOやIVVに加えて、SPDR S&P 500 ETF Trust【1557】もオススメされていました。私もETFでは、そこかしこで推奨されているVOOとVTIを買ってはみました。


 ですが、ドル転のタイミングが難しいのと手間暇がかかる点、また少額の毎月積立のためNISAでないと手数料負けする点に困難を感じています。

 

 そこでやっぱりSPDR S&P 500 ETF Trust(1557)がいいのではないかと思い始めました。私の考えるSPDR S&P 500 ETF Trust(1557)のプロコンは以下です。

 

SPDR S&P 500 ETF Trust(1557)のメリット

  手数料フリー(カブドットコム証券、ドル転不要、少額積立しやすい、日中取引可能、円建てでも事実上ドル資産を持てる。

 

SPDR S&P 500 ETF Trust(1557)のデメリット

 出来高少、経費率やや高め(vs VOO&IVV)


 私の極めて限られた知識のなかでは、SPDR S&P 500 ETF Trust(1557)はVOOやIVVと比べても大変強い投資先候補になるのではないかと思ってしまいます。


 ですが、たぱぞう様をはじめ米国株ブロガーの皆様はSPDR S&P 500 ETF Trust(1557)を積極的に買っているように見えませんし、実際の出来高も同様の傾向を示しているようです。

 

 VOOやIVVと比べ、たぱぞう様がSPDR S&P 500 ETF Trust(1557)を積極的にポートフォリオに採用していない理由は何でしょうか?またなぜ東証に上場されているSPYは売れてないとお考えになりますか?


 お時間のある時で結構ですので、ご教示いただけますと、大変ありがたく存じます。
どうぞよろしくお願いいたします。

SPDR S&P 500 ETF Trust【1557】は素晴らしい商品

 結論から言うと、SPDR S&P 500 ETF Trust【1557】は素晴らしい商品だと思っています。おっしゃるように、ドル転不要でカブドットコム証券だと手数料フリーというのも魅力です。 

 

 また、為替ヘッジ無しで、ある意味では実質的にドルを持つことになるのも良い点だと思います。

 

 では、米国株投資家はなぜ買わないのか、というところです。

  1. 配当をドルで受け取って、ドルで再投資する流れが出来上がっている
  2. 為替の動きに影響されて、素直なS&P500の値動きが分かりにくい
  3. 多額(1万ドル程度)の買い付けをするならば、手数料は許容できる 
  4. JDR銘柄ゆえに、外国税額控除が手動になる

 こういうことです。説明を加えてみますね。

「配当をドルで受け取って、ドルで再投資する流れが出来上がっている」

 これが最大の理由です。多くの米国株投資家がそうだと思いますが、ドルで受け取ってドルで再投資をしています。また、円とは別にドルで資産を持つことに投資上の合理性を見出しています。

 

 そのため、円で買うSPDR S&P 500 ETF Trust(1557)に食指が動かないということになります。また、信託報酬もささやかな違いですが、VOOやIVVと倍ほど違うというのも理由です。

 

 いずれにせよ、ドル資産を持っていれば、世界中の優れた株やETFを買い付けることができます。ですので、投資資産を円転する必要のない今はドルが欲しいということになります。

 

 話は少々飛びますが、私は日本の米国市場対象の投信も買っていません。これはやや心情的な理由になりますが、相場の本場である米国市場で、米国のプロが買うような商品を買うことに魅力を感じているからです。

「為替の動きに影響されて、素直なS&P500の値動きが分かりにくい」

 これは人によっては為替込の値動きが分かるからよい、という解釈になるでしょう。ただ、私のような米国株投資が長いケースでは完全に資産を円転せずにドルで考えています。

 

 配当履歴やポートフォリオでは円換算も示していますが、これは記事を読んでいただく際のニーズを踏まえてということですね。

 

 ですので、やはりドルで買い付けたいということです。ただ、これはS&P500連動の投資信託も事情は同じです。気にするほどではないでしょう。

「多額(1万ドル程度)の買い付けをするならば、手数料は許容できる」

 米国株ETFの買い付けには国内ネット証券の場合、5ドルから20ドルの手数料がかかります。これは安くはありませんが、1万ドルならば0.2%ほどになりますからまあ許容と言えるでしょう。ちなみに米系証券会社では1ドル固定というところもあります。

 

 最後のSPDR S&P 500 ETF Trust【1557】が不人気の理由ですが、やはり機関の買いが入らないのが大きな理由の1つでしょう。機関は直接SPYを買うでしょうから、やはり円貨でのSPDR S&P 500 ETF Trust【1557】は運用総額30兆円を超えるSPYと比べると、当然ながらマイナーだということです。

「JDR銘柄ゆえに、外国税額控除が手動になる」

 最後に、税金の問題ですね。

 

 円建てでのS&P500となると、競合商品として【1547】【1655】【2558】があります。こちらは、国内籍ですので二重課税調整制度への対応を明らかにしています。

 

 これに対して、国内上場の外国ETFである【1557】は少々事情が異なります。

SPDR S&P500 ETF Trust【1557】のチャート

SPDR S&P500 ETF Trust【1557】のチャート

 【1557】は外国籍の商品です。直接SPYを買っているようなものです。そのため、手動での外国税額控除の確定申告が必要になります。米国株の個別株投資をしているならば、同じ手間です。

 

 しかし、他に投資信託しか持っていなかったり、日本株しか持っていなかったりするならば、そのぶん手間になります。

 

 そうでないならば国内籍の自動で外国税額控除をしてくれる商品のほうが楽です。具体的には【1547】【1655】【2588】になります。

  

 ご質問ありがとうございました。

 

付記

 また、大きな課題としては、カブドットコム証券以外は分配金が銀行振り込みになります。

  • 分配金は証券特定口座外になるので、損益通算をする際には確定申告が必須になる。
  • NISA口座で持っていても、分配金は課税対象になる。

 これは知っておいたほうがいいですね。ただし、少額ならば無視してもよい水準だろうとは思います。

 

 

関連記事です。

  記事中にあった、後発の【1655】と【2558】についてです。 

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