たぱぞうの米国株投資

米国株投資で人生の選択肢を増やすという提案です。某投資顧問のアドバイザーをしています。

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In the middle of difficulty lies opportunity

戦前日本に今を見る。困難な時代を生き抜く方法論

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戦前日本の時代閉塞

 前回記事の続きです。「過去に現在を見る」ということで関連を書きます。

 

www.americakabu.com

 

 1929年の世界恐慌をきっかけとした九州あるいは東北といった地方の貧困はひどく、人身売買に近いことが行われていました。同級生が商品として都市、あるいは海外へ売られていく。その絶望感たるや、すさまじいものがあります。

 

 今もその時代を必死に生きた日本人たちのお墓を、今も海外のあちこちで見ることができます。

 

 貧困とはそういうことなのです。

 

 それが二・二六事件なり、五・一五事件を招きました。かれらの多くは地方出身の兵士でした。閉塞した現状を看過できない、時代を変えようとする正義感があったのは事実です。しかしその後は武官が文官を抑え込む力の政治に利用されることになります。そうして異論を認めない空気が醸成されました。

 

 どうしようもない閉塞感は時として暴発を生みます。

 

 あの時代の閉塞感は例えば文学界で言えば石川啄木の「時代閉塞の現状」であり、政界では近衛文麿の以下の論文ということになります。この2つの文章は書かれた時間のずれは6年しかありません。

 

 近衛文麿氏は宰相としては残念でしたが、評論家としての彼の洞察力は確かでした。

 

 今も変わらぬ世界情勢を看破したものと言えます。

 

 長いですが引用します。

 

近衛文麿氏の「英米本位の平和主義を排す」

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 戦後の世界に民主主義人道主義の思想が益々旺盛となるべきは最早否定すべからざる事実というべく、我国亦世界の中に国する以上此思想の影響を免かるる能わざるは当然の事理に属す。

----------------------------------中略

 英米論者は平和人道と一口に言ひ、我国にも之に倣[なら]ひて平和人道也とする迷信家あれど、英米人の平和は自己に都合よき現状維持にして之に人道の美名を冠したるもの、ショウの所謂自己の野心を神聖化したるものに外ならず。

----------------------------------中略

 英国の如き仏国の如き其殖民史の示す如く、早く已[すで]に世界の劣等文明地方を占領して之を殖民地となし、其利益を独占して憚らざりしが故に、独り独逸とのみ言わず、凡ての後進国は獲得すべき土地なく膨張発展すべき余地を見出す能はざる状態にありしなり。

 

 かくの如き状態は実に人類機会均等の原則に悖り、各国民の平等生存権を脅かすものにして正義人道に背反するの甚しきものなり。

 

 独逸が此状態を打破せんとしたるは誠に正当の要求と言ふべく、只彼が採りし手段の中正穏健を欠き、武力本位の軍国主義なりしが故に一世の指弾を受けたりと雖、吾人は彼が事茲に至らざるを得ざりし境遇に対しては特に日本人として深厚の同情なきを得ず。


 要之[これをようするに]英米の平和主義は現状維持を便利とするものゝ唱ふる事勿れ主義にして何等正義人道主義と関係なきものになるに拘らず、我国論者が彼等の宣言の美辞に酔うて平和即人道と心得其国際的地位よりすれば、寧ろ独逸と同じく現状の打破を唱ふべき筈の日本に居りながら、英米本位の平和主義にかぶれ国際聯盟を天来の福音の如く渇仰するの態度あるは、実に卑屈千万にして正義人道より見て蛇蝎視すべきものなり。

 ----------------------------------中略

 即ち巨大なる資本と豊富なる天然資源を独占し、刃に血塗らずして他国々民の自由なる発展を抑圧し、以て自ら利せんとする経済的帝国主義は武力的帝国主義否認と同一の精神よりして当然否認せらるるべきものなり。


 吾人は戦後大に其経済的帝国主義の鋒鋩[ほうぼう]露はし来るの恐れある英米両国を立役者とする来るべき講和会議に於て、この経済的帝国主義の跋扈を抑圧し得ずとせんか、此戦争によりて最も多くを利したる英米は一躍して経済的世界統一者となり、国際聯盟軍備制限と言ふ如き自己に好都合なる現状維持の旗織を立てて世界に君臨すべく、爾余の諸国、如何に之を凌がんとするも、武器を取上げられては其反感憤怒の情を晴らすの途なくして、恰もかの柔順なる羊群の如く喘々焉[ぜんぜんえん]として英米の後に随ふの外なきに至らむ。

 

 英国の如き早くも已に自給自足の政策を高唱し、各殖民地の門戸を他国に対して閉鎖せんとする論盛んなり。

 

 英米両国の言ふ所との矛盾撞着せる概ね斯[かく]の如し。

 

 吾人が英米謳歌者を警戒する所以、亦[また]実に茲にあり、もしそれかくの如き政策の行われんか、我国にとりては申す迄もなく非常なる経済上の打撃なり。

 

 領土狭くして原料品に乏しく、又人口も多からずして製造工業品市場として貧弱なる我国は、英国が其殖民地を閉鎖するの暁に於て、如何にして国家の安全なる生存を完うするを得む。

 

 即ちかゝる場合には我国も亦自己生存の必要上戦前の独逸の如くに現状打破の挙に出でざるを得ざるに至らしむ。

 

 而して如斯[かくのごとき]は独り我国のみならず、領土狭くして殖民地を有せざる後進諸国の等しく陥れらるべき運命なりとすれば、吾人は単に我国の為のみならず、正義人道に基く世界各国民平等生存権の確立の為にも、経済的帝国主義を排して各国をして其殖民地主義を開放せしめ、製造工業品の市場としても、天然資源の供給地としても、之を各国平等の使用に供し、自国にのみ独占するが如き事なからしむるを要す。

 

 次に特に日本人の立場よりして主張すべきは黄白人の差別的待遇の撤廃なり。かの合衆国を初め英国殖民地たる豪州加奈陀[カナダ]等が白人に対して門戸を開放しながら、日本人初め一般黄人を劣等視して之を排斥しつゝあるは今更事新しく喋々する迄もなく、我国民の夙[つと]に憤慨しつつある所なり。

 ----------------------------------中略 

 想ふに、来るべき講和会議は人類が正義人道に基く世界改造の事業に堪ふるや否やの一大試練なり。我国亦宜しく妄りにかの英米本位の平和主義に耳を籍す事なく、真実の意味に於ける正義人道の本旨をて体して其主張の貫徹に力[つと]むる所あらんか、正義の勇士として人類史上永[とこし]へに其光栄を謳はれむ。
(大正七年十一月三日夜誌す)
(『日本及日本人』 1918年12月15日号)

近衛文麿、『英米本位の平和を排す』 全文 - いか@ 武相境斜面寓 『看猫録』

 

 ちょっと長いので中略しましたが、全文は上記サイトで読めます。遅れてきた先進国、日本の悲哀が語られています。ブロック経済下の苦しみですね。当時の政財界の人たちの憤懣が語られているように思います。同じように国内統一の遅れたドイツや植民地の少なかったイタリアも状況は似ています。

私たちは自分で自分の首を絞めていないか

 過去に学ぶならば、私たちはどのように生きるべきなのでしょうか。

 

 アングロサクソンやユダヤの人たちは本当に効率的で、合理的です。そして、今も世界経済は彼らを中心に回っています。乱暴な言い方をしますが、中東イスラムの暴発の根源は近衛氏の憤懣に通じるところがあります。

 

 効率的で合理的な彼我を比較すると、私たち日本人は情緒的であり、そして協調と合意形成を重んじます。戦時における滅私奉公というのは、私たち日本人の国民性を知り尽くしたうえでの言葉です。

 

 私たちはこの閉塞した時代をまた外圧によって打破するのでしょうか。それはIMFでしょうか。あるいは経済的な落ち込みでしょうか。はたまた・・・。今度こそ自己改革できるのでしょうか。

 

 いずれにせよ、よりよく生きるということはどういうことなのか。

 今を生きるということはどういうことなのか。

 

 お互いがお互いの生き方を尊重し、認め合うことでしか幸せは得られない。相対ではなく自分自身の内面での絶対の価値観が求められている。そんな時代になっていると私は思います。