たぱぞうの米国株投資

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財政破綻に備えて海外資産を持つのは有効か

財政破綻に備えて海外資産を持つということ

 財政破綻とは、資金繰りが厳しくなり、借金を返せなくなることです。例えば、日本は多額の国債を発行しています。この国債は借金です。利払いをし、最終的には償還をしなくていけません。

 

 この、償還が滞ると債務不履行ということになり、デフォルト、財政破綻ということになります。財政破綻に伴い、起きる可能性の高いこととして3つのことがよく言われます。

  1. インフレ&円安
  2. 金融危機
  3. 失業率増加

1「インフレ&円安」

まず、債務が不履行になるとその国の信用が損なわれます。その国の中央銀行が通貨の価値を担保していることになりますから、通貨の価値が下がり、物価の値段が上がることになります。これがインフレです。

 

 インフレになると年金受給者は、受給額が殆ど低額なので実質的な減収になります。また、通貨の価値が下がりますので、日本の場合だと円安ということになります。 

2「金融危機」

 運用のために国債を大量に保有している金融機関は軒並み経営危機に陥ります。銀行、保険会社などです。並行して、貸し付けている資金の回収も起きます。そのため、大規模な信用収縮がおきます。

 

 金融機関自体はもちろん、多くの企業が運転資金を失い、最悪の場合は倒産ということになります。 

3「失業率増加」

 信用収縮が起きると、企業は運転資金が乏しくなり、大規模な設備投資も含めた事業規模の縮小を迫られることになります。結果として、リストラが横行し、失業者の増大を招きます。

 

 このようなことが予想されます。

実際にある財政破綻とその例

 財政破綻は実際にあります。この30年で見ると、デフォルトを何回か起こしているアルゼンチンや、ベネズエラ、リーマンショック後のアイルランド、アイスランド、ギリシアなどは記憶に新しいところです。

 

 海外ばかりではありません。日本でも地方自治体レベルではあります。その日本の地方自治体では353億円の負債を抱えて破たんした夕張市が有名です。夕張はかつて炭鉱町として栄えました。

 

 人口は最盛期の1960年には12万人を数え、道内でも有数の豊かな都市でした。市内の高校の学力レベルも高く、かつての横浜市長の高秀秀信氏や札幌市長の秋元克広氏など著名な政治家も輩出しています。

 

 そのころの夕張には、北海道きっての大企業だった北海道炭礦汽船や現在の三菱マテリアルの子会社になる三菱石炭鉱業の大規模炭鉱がありました。しかし、その後の石炭から石油へのエネルギー革命、海外産の石炭の質と価格に押されて振るわない業績が続きます。

 

 結果的に、市内すべての炭鉱は1990年までに閉山、人口は縮小の一途を辿ります。今の人口はおよそ8900人にまで減っています。結果として、夕張市の行政サービスは縮小し、値上がりしました。今も楽ではありません。鉱山都市というのは、その鉱山が閉山すればそのような道を歩むことは珍しくないですね。

 

 いずれにしても都市が反映した理由が失われれば、立ち行かなくなるのです。そういう意味では、決して他人事ではないわけですね。さて、こうした例を踏まえて、ご質問を紹介します。

財政破綻に備えて海外資産を持ったほうが良いのでしょうか。

 たぱぞうさまのblogをいつも楽しみに拝見しております。

 投資に目覚めて1年ほどで、DC→バランス投信→米国ETFと移ってきました。


 VTI,VYM,BNDに毎月数万円程度の積立ですが投資しております。(年収も貯蓄も低スペックですが)

 

 さて、問合せですが、日本はそう遠くない将来財政破綻すると考えております。その場合、米国株(ETF)保有で対策になりますでしょうか?

 

 どこかで、財産税導入、株も差し押さえになると見ました。やはり、海外口座を開設して、そこで保有すべきでしょうか?なかなか、お答えにくいかもしれませんが、お考えや実践されていることございましたらご教示いただけましたら幸いです。

 

 ということです。ご質問ありがとうございます。

財政破綻のあるなしに関わらず分散投資をすべき理由

 まず、私たち日本の労働者は円で給与を得ています。退職金も含めると相当額を円でのポジションを持っていると考えるべきでしょう。

 

 第二次世界大戦後の日本は、政治的にも経済的にもかなり安定していましたので、私たちは自国の通貨に関して疑問を抱く機会があまりありませんでした。

 

 しかし、これは世界的にはマイナーに属します。例えば中国では金が大変重宝がられ、町中に金屋を見ることができます。東南アジアでも金屋が多く見られます。それは装飾品という側面だけでなく、グラムいくらで換金できる、換金性の高いものです。

 

 また、インフレの強い国によくみられるのは自国通貨と並行してドルが流通している例も多く見られます。近い国だとベトナムやカンボジアがそうです。ドルでの現金払いがホテルやレストランでできます。

 

 こうして考えると、私たちの住む日本という国のほうがむしろ特殊なのかもしれません。ただし、増大する国債、本格的な高齢化社会を前にしてすでに膨れ上がっている社会保障費は今までの状況を激変させる可能性があります。

 

 そういう意味でも、米国株の保有はドルベースであることを考えると大変に有効です。ちなみに、財産税は憲法29条、私有財産の権利に抵触する可能性があり、議論の余地があります。公共の福祉の概念も確定的ではありません。

 

財政破綻と資産税

財政破綻と資産税

 簡単に言うと、そこまではできないのではないかということです。

 

 ただ、それも不安であれば海外口座というのは具体的な手立て、安心につながる可能性はありますね。ただし、海外口座はサポートのみならずクレームも含めて日本語対応しているところが限られるので、ハードルは低くはありませんね。

 

 10年、20年といった単位での喫緊の課題ではありませんが、増える国債、通貨発行権、インフレ、デフレ、というのはよく関連付けて議論されるところですね。

 

 ひとまずは、不確実性の高いことを考えて時間を割くよりも、確実性の高いところで確実な投資をしていくというのが最適解に思います。

 

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