たぱぞうの米国株投資

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臆病者のための億万長者入門

臆病者のための億万長者入門は資産運用についての眼を開かせてくれる本

 著者の橘玲(たちばな あきら)氏は数多くの本を著しています。小説だけでなく、経済系の著作も多く、そのわかりやすい言説は個人投資家からの支持を広く集めています。

臆病者のための億万長者入門 (文春新書)

臆病者のための億万長者入門 (文春新書)

 

 2000年代から海外投資の必要性を主張されていた橘玲氏の先見性は驚くばかりです。リーマンショックの渦中にあってもその主張は揺るぎないものでした。

 

 その橘玲氏ですが、新書版ではこの「臆病者のための億万長者入門 」が最も新しい本になります。

 

 私は読書はなるべく新書版で済ませたい人間なので、このような新書の投資本は大歓迎です。

臆病者であることは悪いことではない

 臆病者というのは、私にもあてはまります。今の時代にあって、投資をしないことがハイリスクであることが私を投資に走らせています。資産運用とは困難な時代を生き抜くサバイバル術なのです。

 

 著者の橘玲氏が主張するのは保守的な資産運用であり、一発逆転の大ばくちではありません。

 

期待資産額から考えること

期待資産額=年齢×年収/10

 という式が紹介されています。まだ就職したばかりの20代の人も、職場の中堅になっている30代の人も、管理的業務にかかわる50代の人にも参考になる数値です。

 

 特に若い人にとっては、自分の資産運用目標額の目安として使えるのではないでしょうか。

 

 ちなみに、30歳で年収400万だと1200万円です。40歳で年収600万だとすると、2400万円という数字になります。50歳で年収800万だと4000万円です。この数値からの上下の乖離で自らの位置が分かります。

 

 年収減社会にあって、期待資産額から上への乖離を目指すにはどうすればよいのでしょうか。多くの人にとっては、やはりインカムゲインなどの不労所得の育成が欠かせません。

 

お金持ちになる方法

 

 3つ示されています。

  1. 収入を増やす
  2. 支出を減らす
  3. 資産を上手に運用する

 この中で、比較的自分の思い通りに、今この瞬間から実行できるのが2です。地方に住む、クルマを持たない、携帯を格安シムに変える、プロパンガス物件に住まない、服をユニフォーム化する、など多くの方法があります。

 

 すべてを実行するのではなく、自分のやれる範囲でゆるくやることが継続できるコツだと思います。なんでもやりすぎはつらいです。

 

 3の資産を上手に運用することができれば、1の収入を増やすことも可能になります。その3の資産運用が難しいのは事実です。自分の思い通りになることのほうが少ないかもしれません。でも、相場で生きるというのはそういうことです。

資産・資本についての考え方

  1. 総資本=人的資本+金融資本
  2. 金融資本=金融資産+不動産+年金資産+相続資産など

 20代、30代は人的資本の価値を高めることが大事だと言われます。その後、年を重ねて意識されるのが金融資本です。

 

 残念ですが、人の成長曲線は止まることはありませんが、緩やかになっていくからです。

 

 人によっては下降することもあります。そのレベルにあり続ける、維持され続けることはありません。高齢になるほど下降のリスクが高くなりますから、金融資本を厚くしていき、生活の基盤を整えておく必要があります。

 

 本で言うならば、人的資本を高めるのが自己啓発本であり、金融資本を高めるのが投資運用本ということになるでしょうか。

最後に

 ちなみに、本書で紹介されている

株価=EPS(一株あたり純利益)÷金利

 という考え方は覚えておきたいと思います。EPSはシンプルですが投資運用上で最も大事な数字の1つです。利益成長や自社株買いなどすべての要素の結果の反映とみることもできるからです。