たぱぞうの米国株投資

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社会的インパクト投資とは

社会的インパクト投資とは

 社会的インパクト投資という言葉があります。投資というのは、言うまでもなくお金を運用してリターンを求めるアクティビティのことです。その成績はリターンで問われることがほとんどです。

 

 しかし、社会的インパクト投資というのはリターンにとどまりません。投資を通して、社会的に何か貢献をする、良い影響を遺すというような側面があります。

 

 これに関しては、大和住銀投信投資顧問の「世界インパクト投資ファンド ベターワールド」の説明が分かりやすいので引用します。

・銘柄選定にあたっては、社会的課題の解決(社会的インパクト)に取り組む企業に着目し、個々の企業のファンダメンタル分析等を行い、投資魅力のある銘柄に投資します。

 こういうことですね。今回はこの大和住銀投信投資顧問の「世界インパクト投資ファンド ベターワールド」に関してのご質問を頂いています。

世界インパクト投資ファンド 愛称:Better Worldはどうか。

たぱぞう様、いつもブログで勉強させて頂いております。有難うございます。

 投資信託で1つ興味のあるものが出てきました。たぱぞう様のご意見をお聞かせ頂けますと幸いです。

 

 大和住銀投信投資顧問の「世界インパクト投資ファンド ベターワールド」です。

 

 この投信は、国連が掲げる『SDGs(持続可能な開発目標)』の2030年までに達成する17の社会的問題を解決する企業を組み入れています。

 

 我々投資家はこの投信に投資することで世界的な社会貢献が可能です。組入先企業は全世界に渡り、それぞれの分野のトップ企業のみに絞っており、運用状況も良好です。つまり、社会貢献と経済的成功の両方を訴求するファンドです。

 

 例えば、組入先のひとつは、ケニアの携帯電話会社サファリコムです。世界には銀行口座を持てない成人が20億人(つまり成人の2人に1人ほど)います。同社は銀行口座を持てない国民が携帯電話とその代理店を使って手軽に安全にお金の送金を可能にするシステム『エムペサ』を開発し、多くの国民が使用し、業績も株価も良好です。

 

 ほかに、有名どころではアメリカのスクエアも組み入れています。デメリットは、購入時手数料(3.24%)と信託報酬(1.994%)が高いこと、立ち上げられてからまだ若いファンド(2017.8.26立ち上げ)であるということです。

 

 投資方針については強く賛同できますし、運用状況も良好で好意的なのですが、高い手数料がどうしても気になっています。いかがでしょうか。

社会的インパクト投資というのは素晴らしい発想だと思います

 意外かもしれませんが、私は国際協力畑の友人が多くいます。実は私も若いころに関わったことがあります。そのやりがいは非常に大きく、時間とお金ができたら再びそういう事業に関わりたいというのはささやかな夢です。

 

 よく、「日本だってすでに豊かではないのに、なぜ海外に優秀な人材と資金を投入するのだ」というようなご批判があります。これはある意味では正鵠を射ているのかもしれません。

 

 しかし、資金協力も含めて関係を結び、インフラ整備などの政府レベルだけではなく、人的支援を含めた草の根レベルで交流をするというのは、回りまわって国益に叶うものだと私は実感しています。

 

 お金があるから幸せ、時間があるから幸せ、というのはある意味では真実です。しかし、人は何歳になっても、どこにいても「誰かと関わり、誰かの役に立つ、必要とされる」ということが最大の喜びであり、幸せなのでしょう。

 

 そして、それは国という器の話ではなく、世界という器で語られるものです。人生の本質をお金に置いてしまうと、大切なことを見失う、そんなことを考えます。日々、お金の話をしているのでこれまた意外かも知れませんけどね。

大和住銀投信投資顧問「世界インパクト投資ファンド ベターワールド」

 さて、前段が長くなりましたが大和住銀投信投資顧問の「世界インパクト投資ファンド ベターワールド」を見てみましょう。

世界インパクト投資ファンドの基準価額・純資産総額の推移

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 世界的な株高にキャッチアップしていますね。同時に、株安にも同じように反応しています。基準価額が殆ど成長性低ないのは、やや気になるところです。分配金再投資だとすると、2016年8月から1.3倍です。こちらは、米国の代表的な指数であるS&P500と比べても遜色ありません。

 

 組み入れ銘柄には開発途上国が多いです。そのためさらに米国金利高が継続するようだと、過去の例から考えると新興国から資金が引き上げられる可能性がありますね。

世界インパクト投資ファンド・国別構成

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 アメリカが比率としては最も大きいです。ただ、全世界ETFのVTなどでも組み込み5割、世界の時価総額でも米国は5割を占めることを考えると少なめと評価しても良いかもしれません。特徴的なのは、ケニアやバングラデシュですね。日本から投資をしにくい国を含んでいるところには好感が持てます。

 

 現状、新興国よりもさらに経済規模の小さい、フロンティア国への投資は日本からだとかなり限られます。

組み入れ銘柄上位6銘柄

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 スマホだと見えないかもしれません。

 1位はサファリコム【ケニア】

 2位ジーナス【イギリス】

 3位アバングリッド【アメリカ】

 4位グラミンフォン【バングラディシュ】

 5位ゾエティス【アメリカ】

 6位インディアブルズ【インド】

 といった特徴的な企業群が並びます。グラミンフォンは、名前の通りかの有名なグラミン銀行も出資していますね。一時期話題になりましたが、話題性だけでなく事業継続がしっかりできているところに好感が持てます。

 

 ケニアのサファリコムも単なる通信会社ではなく、貧困層の支援に力を入れていますね。個人的にはバングラデシュは数年前に地方都市に行き、現地の方の家に泊めていただいたことがあり、好きな国の1つです。

 

 国の熱気と勢いは非常に感じました。テロが起きて以後はちょっと行きにくくなりましたが、国民性は比較的穏やかな印象があります。

世界インパクト投資ファンドのまとめ

 非常に思いのある魅力的なファンドです。しかし、おっしゃるように購入時手数料(3.24%)と信託報酬(1.994%)が高いのが気になります。インデックス系の投資信託の信託報酬が0.2%以下が主戦場になっていることを考えると厳しいですね。新興国系の商品も今ではずいぶん安くなりました。

 

 商品の多様性という意味でも貴重だとは思いますが、自分が買うかと言われれば躊躇します。ひとまずそんな結論になりますね。ご質問ありがとうございました。

 

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