たぱぞうの米国株投資

米国株投資で人生の選択肢を増やすという提案です。某投資顧問のアドバイザーをしています。

Tapa's U.S. Stocks Investment

In the middle of difficulty lies opportunity

石油株と今後の原油価格

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 原油価格と米国原油生産量

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 シェールオイル自体は古くからあったものの、採算の面で折り合いませんでした。そのため、条件に恵まれた場合でしか採掘されない状態が続きました。しかし、技術革新により、採掘コストが2010年代に入って急激に下がりました。

 

 そのため、グラフを見て分かるように米国産石油は実に倍近くの増産になっています。

 

 2010年以後のアメリカ国内における生産拡大に伴い、アメリカの石油禁輸出措置が2016年に40年ぶりに解かれたのは注目されてよいでしょう。アメリカは石油の最大消費地であり、最大の輸入国でしたが、それが輸出国に転じたということです。

 

 世界の石油消費国ランキングです。米国、次いで中国が図抜けていることが確認できます。ちなみに、米国産石油の最大の輸出国は中国です。

順位 国名 2016年(千トン)
1 米国 863,122
2 中国 578,656
3 インド 212,684
4 日本 184,301
5 サウジアラビア 167,935
6 ロシア 147,986
7 ブラジル 138,824
8 韓国 122,150
9 ドイツ 112,985
10 カナダ 100,924

 ※グローバルノートから

 また、2011年ごろからの原油の高値安定は、シェールオイルの開発を後押しするものでした。その結果、シェールオイルの採掘量は2010年から2015年のたった5年で5倍以上になっています。

 

 それを受けて、原油価格は半分以下になっています。OPECなどが原油生産を調整しようとしても、シェールオイルが伸び続けていたために価格の抑制が効かない、そういう状態が続きます。

 

 ウォーレン・バフェット氏がエクソンを売り払ったのは2014年でした。このシェールオイルの急激な拡大が大きな原因になったのは間違いのないところです。そして伸び率は鈍ったものの、シェールオイルは依然として大きなシェアを占めています。

価格決定力が弱まったOPEC

 セブンシスターズと言われる欧米系の石油生産企業は第二次世界大戦後に大きな価格決定力を持つに至りました。その後、民族主義の台頭という世界的潮流に沿い、石油権益を手放さざるを得なくなります。

 

 その結果、近年は原油生産国が価格決定力を持っていました。

 

 その最たる存在は中東列国を中心とするOPECであり、設立以後は国際政治にも影響を持つほどに力を握ってきました。しかし、その後ロシアなどOPEC外の国、あるいは新興産油国も増えてました。

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 青囲みがOPECです。シェアが以前ほどではないことが確認できます。結果として以前のような価格決定力は薄まりつつあります。そこにきて2010年以後のシェールオイルの増産ですから、原油価格は複雑化、市場の手に委ねられつつあると言ってよいでしょう。

 

 いわば原油生産業界は多極化の時代を迎えており、価格操作は以前にも増して難しくなっているということです。

株価を見て割安と判断するのは早計

 エクソン、シェブロン、ロイヤルダッチシェル、コノコフィリップスなどは高配当傾向にあり、以前は安定的な業績でしたから個人投資家にも非常に人気がありました。

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※Googlefinanceから

 ただ、これらの銘柄に食指を伸ばす際に気を付けなくてはいけないのは「高値覚え」で買うような時代ではすでになくなったということです。つまり、以前の配当水準、以前の株価との比較では買えないということです。

 

 上のチャートはコノコフィリップス、ロイヤルダッチシェル、シェブロン、エクソンの10年パフォーマンスです。シェブロン以外はこの10年ですべてマイナスです。

 

 特に川上・川下分野を分け、スケール面でも劣るコノコフィリップスのパフォーマンスが厳しいです。

 

 これは前述の通り、石油の生産構造が2010年以後急激に変化したからです。株価に反映されるのはタイムラグがありましたが、この構造が変わらない限り業績の急拡大というのは望めません。

 

 この構造が変わる、つまり石油生産のだぶつきが調整されるには政治的な要素が大きく、国家の争い事もそれに含まれるでしょう。平時での国家間の調整には限度があるということです。

 

 私たち個人投資家に大きな影響を与えるジェレミー・シーゲル氏は石油企業の高パフォーマンスに言及しています。

 

 しかし、石油株に集中投資するような時代では今は無いのかもしれません。だからこそ逆張りでポジションを増やすという発想もあるでしょうが、減配なども含めたネガティブな見通しも考慮に入れつつお付き合いするのが良い、つまり時代が変わったとも言えます。

 

 ただ、一方で逆張り的な買い方をするならば今がチャンスということになります。どちらのスタンスを採用するのか、個人個人の石油株に対する見方が分かれそうです。

 

関連記事です。

  石油生産ランキングです。サウジアラビア、ロシア、アメリカといった大国の存在感が際立ちます。資源国であり、同時に世界をリードするような企業を多く抱える米国は、まさに帝国、我が世の春を依然として謳歌していると言えるでしょう。 

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  セブンシスターズの一角だったロイヤルダッチシェルです。特にEU圏内で圧倒的な存在感を持ちます。同じEUではフランスのトタル、英国のBPがあります。高配当ですが、いつまでこの水準を保てるのか、そして業績を安定飛行に持っていけるのか、共通した課題を石油企業は抱えています。

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  エクソンモービルはかつての世界の時価総額トップの企業であり、今も民間石油会社の雄として君臨します。ルーツは圧倒的な世界最大石油生産企業だったスタンダードオイルです。有名なサウジアラビアのアラムコなどは国営ですが、上場が近づいています。

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