相場調整などの相場のうねりを読み切る
2000年代の相場はまさに上下動のジェットコースターでした。2010年代の相場は完全な右肩上がり、誰でも大きな利益を得られる相場でした。しかし、そのせいか独特の楽観的な雰囲気に覆われていましたね。
日本株はもちろん、実は米国株もさほど上昇しなかったのが2000年代でした。これは、ITバブルが激しすぎ、上昇の先食いをしたためです。時計の針は急には回らない、ということで急ピッチで上昇すると市場はその後時間をかけて調整する傾向にあります。
2010年に入ってからは一転上昇相場、1年ぐらいの調整はあってもそれを乗り越え上げ続けてきたのが米国株でした。2000年代の経験が染み付いている人はなかなかポジションを取れず、機会損失をした人もいたのではないでしょうか。
しかし、2020年代早々の大きな暴落は「フルインベストメント」のリスクを久しぶりに伝えてくれているように見えます。相場はとにかく、生き残ることが大事です。生き残るためには、ポジションの調整を普段から意識したいところです。
さて、その相場調整に伴う投資方法ということでご質問を頂いています。
相場調整を狙ってフルインベストメントするべきか
いつも更新を楽しみにしております。
現在38歳夫婦+子供2人(0、5歳)なのですが、これからの資産形成手段について、できましたらアドバイスをお願いします。現在の資産が以下の通りです。
【資産】2,500万円弱
- 現預金1,600万円(投資余力1,000万円)
- 日本個別株200万円
- 米国個別株600万円(T、PM、MO、BP、XOM+金鉱株)
- 日本債券50万円
- 積立NISA・IDECO・ジュニアNISAフルで開始〈楽天VT・VTI VTI厚め〉
という状況です。持ち家があり、住宅ローン2,500万円弱とバランスシート上ではギリギリバランスしている所です。
教育資金+老後資金形成目的です。
質問事項としては、以下の点です。
①投資余力として1,000万円程度あり、子供がまだ小さい間にリスクを取って資産を増やしていきたいのですが、暴落を見ていると今フルインベストメントするのがいいのか、それとも年後半に待機資金を置いておいた方がいいか判断がつきかねています。
基本的な土台は、非課税枠で固めているので、もう少しセール段階になってからのがいいでしょうか?
②金鉱系のETF・個別株に投資していますが、株式と逆相関になるか危惧しております。この辺たぱぞうさんはどう考えていますか?
③基本的にはシーゲル銘柄を拾っていこうと考えていますが、高配当ならVYM一択でも問題ないでしょうか?
相場調整に合わせてフルインベストメントするということ
まず、フルインベストメントをするということはリターンも大きくなりますが、それと同時にリスクも大きくなることを意味します。リーマンショックは別格、まさに暴落でした。現在の株式億り人は多くリーマンショック時に退場しなかった人たちです。
それとは別の2011年ギリシアショック、あるいは2015年チャイナショックのような比較的大きな相場調整でもタイミングよくフルインベストすれば比較的大きく利益を得ることができたことでしょう。
私はかつて逆張りが好きでしたので、ギリシアショック時にはバンクオブアメリカとタタモーターズ、チャイナショック時にはVTIとVYMをそれぞれ買ってきました。それぞれ大きく得られました。特に金融株の逆張りは得意とするところでした。しかし、とてもリスキーで、今の相場でできるかというとちょっとどうでしょうね。守りに入るようになりました。
大きくやられた経験もあります。結果が大きく出やすいのが集中投資であり、その資金が余裕資金なのか、それとも使途が明確な必要資金なのかというところで資産運用の切実さも変わってきます。
そう考えると1000万円の追加投資資金は時間分散を図るというのが妥当に思われます。今後、投資資金が少ないならば、なおさらゆっくり時間をかける必要があります。
金鉱株と相場の逆相関
金鉱株の逆相関への期待ですが、金鉱株自体がやんちゃな値動きをします。つみたてて資産形成というよりも、こういった商品市況に左右される株式はうねり取りに向いています。
逆相関まで行かなくともそれに近い役割を期待するならば、金ETFのGLD・IAU・GLDMや債券ETFのBND・AGGのほうが値動きは安心できるかと思います。ちなみに、世界各国には多くの産金会社があります。
上場する主な金鉱株は以下の企業群があります。順番は売り上げ順です。
- バリック・ゴールド【ABX】カナダ(世界一の産金会社)
- ニューモント・マイニング【NEM】米国(米国1位)
- アングロ・ゴールド・アシャンティ【AU】南アフリカ(南ア1位)
- ゴールドコープ【GG】カナダ
- キンロス・ゴールド【KGC】カナダ
- ニュー・クレスト・マイニング【NCMGY】オーストラリア
- ゴールドフィールズ【GFI】南アフリカ
- ポリウス・ゴールド【OPYGY】ロシア
- アグニコ・イーグル・マインズ【AEM】カナダ
- シバニェ・スティルウォーター【SBGL】南アフリカ
- ハーモニー・ゴールド・マインズ【HMY】南アフリカ
- ブエナベンチュラ【BVN】ペルー
見ての通り、南アフリカとアメリカ、カナダに集中します。これだけの企業群があることから分かる通り、経済的な濠は殆ど存在しません。そういう意味では石油会社、資源メジャーも似たところがあります。1,2位が圧倒的な売り上げを誇ります。
最後にVYM一択でも、ということですがご年齢を考えるとVTIでも良いと思います。ただ、すべてを株式にするというのは好みがあります。もっと値動きにマイルドさを求めるならば、適宜債券をトッピングしてもよいですね。
関連記事です
金ETFと言えばGLDです。実物を持つよりはこのようにETFとしてペーパーアセット化しているほうが管理しやすいですね。 GLDMという信託報酬の低い、個人向けのETFもあります。
ドローダウンの世界についてです。資産額が大きくなってくると、株のみの資産配分というのが難しくなってきます。リスク変動額が巨額になり、許容度を超えてくるからです。
債券100%の投資はどうか、ということですね。債券投資も、このところ変動が高まっています。やはり、有事が意識されていますね。