本当にお金が増える投資信託とは
お金が増える投資信託というのがそもそも限られているのは、金融庁が示した諸データから明らかです。つまり、投資信託というのはそもそも手数料面でETFに劣りますし、連動している指数が限られているというのが難しいところです。
また、手数料稼ぎの回転売買が投信のイメージを失墜させてきたとも言えるでしょう。
それでも、MSCIコクサイやダウ30種に連動している投資信託で、信託報酬が0.25%以下のものは有望だと思われます。金融庁のスタンスは、インデックス投資が良いというもので、アクティブは限定的ながら限られた数本のみが積立NISAのような長期投資に資するものであるとしています。
昨今人気のひふみ投信やセゾン投信などは、例外的な好成績のアクティブ投信ということになるのでしょう。しかしながら歴史を見る限りは、つねにインデックスに勝ち続けるアクティブ投信というのは限られるというのは間違いありません。
たぱぞうの考える投資に資する投信
- 米国株インデックス
- 信託報酬0.25%以下
良い投信とはシンプルにこの条件を満たすものだと考えます。バランス投信は人気がありますが、手数料を考えると微妙だと私は思います。また、インデックスは成長する国の指数連動でないと意味がありません。
具体的にはS&P500、トータルマーケット、ダウ30種、ナスダック100、米国外も含みますがMSCIコクサイなどが鉄板だと言えます。
さらに信託報酬は0.25%以下が望ましいでしょう。これは、最安ラインが0.20%近辺なので、最安ラインを大きく超過していなければよいというものです。もちろん、米国ETFのように0.04%といったレベルまで落ちてくると嬉しいですが、それはおそらく不可能だと思われます。
さて、前置きが長くなりましたが、今回はその主張と真っ向から違う主張を紹介したいと思います。その書籍はこちらです。
著者の篠田尚子氏の主張に関しては、こちらの記事からも読めます。
儲かる投資信託が埋もれてしまう日本のナゾ | 投資 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
今回、弊ブログと全く違う主張の記事をご紹介するのは、投資とは様々な観点や切り口を知っておくと、さらに面白さを感じることができるからです。投資とは、自立した大人の嗜みであり、お互いがお互いを尊重していれば十分だと考えます。
言い換えると、多様性そのものに価値づけがされるということです。
篠田尚子氏は従前よりアクティブ投信の強みについて主張されており、そのぶれない主張は参考になる部分も多いことを改めて申し添えておきます。
優れたアクティブ投信を見つけ出すのは、優れた個別株を見つけ出すのに近い
まず、優れたアクティブ投信を見つけ出すのは、優れた個別株を見つけ出すのに近い性質だということです。もちろん、好成績を上げている投信もありますが、おおむねアクティブ投信というのは手数料率が高めです。
インデックスに運用面で勝ちつつ、手数料分も上回らなくてはいけないわけですからおのずと良い商品は限られてきます。
それを考えるとある意味では業績の良い企業を見つけ出し、投資するという個別株投資に似ていなくもありません。ただし、おおむね取引値や株価というのはプロに選別され、妥当な値段がついているものです。
そのため、掘り出し物を見つけるのは至難の業であるということです。インデックスは掘り出し物はありませんが、成長市場連動商品を買っていればその恩恵にあずかれます。
万人向けというのはそういうことです。
お金の増える投信10本を見てみる
東洋経済の篠田尚子氏の記事から引用したものです。
1位のDIAM国内株オープンは2012年から実に4倍の取引値になっています。
2位のitrust日本株式はおよそ1年で1.3倍になっています。
3位のニッセイ健康応援ファンドはなかなかボラティリティが高いのですが、10年で1.5倍になっています。
これを見ると良さそうですが、あくまで過去のデータからであり、未来はどうなるかわかりません。この成績を今後10年、20年と続けることができるならば、買ってよい投信ということになるでしょう。
日銀のETF買い入れが続くならば可能かもしれませんが、今のペースでの買い入れは難しいです。そのため、個人的見解としては、あえて買い向かうのは勇気がいると思います。
6位 ラッセルインベストメント外国株式ファンド
7位 セゾン資産形成の達人ファンド
が気になりますね。海外株式に関する投信はこの2本だけなのですね。ラッセルインベストメント外国株式ファンドは設定されて1年です。セゾン資産形成の達人ファンドは比較的歴史が長い投信です。
ただ、インデックスであるVTIやIVV・VOOに勝っている要素はあまりありません。やはり米国ETFのドルコスト平均法というのが最も無難な投資方法だと思います。
最後に著者からのコメントを紹介しておきます。引用元はアマゾンです。
【著者からのコメント】
世の中には、投資信託に関する間違った情報や、十分な裏付けのない“自称"専門家の「オススメ投資信託」の記事があふれています。
その結果、「本当に優れた投資信託」が埋もれるという状況が起こっています。このままでは、世間の皆様方に投資信託の本当の魅力が伝わらなくなってしまうという危機感が強まり、今回、『本当にお金が増える投資信託は、この10本です。』というタイトルで執筆することにより、現在の状況に一石を投じようと決心しました。
本書が、少しでも皆様の資産形成のお役に立つことができれば幸いです。
もうちょっと投信ブロガーを尊重した書き方をしてもよいと思いますが、プロフェッショナルのプライドということですね。
ちなみにこのあたりの動機は僭越ながら私がブログを書く動機とほとんど同じです。興味深いのは結論が全く違うというところですね。意図通り、一石を投じるに十分な主張であることは間違いありません。
だから投資は面白い。ということで一応のまとめとします。
関連記事です。
金融庁が配布した資料です。今は金融庁サイトでも見ることができます。手数料が高く、パフォーマンスが芳しくないアクティブ投信があぶりだされています。篠田尚子氏の主張と金融庁の主張のズレは興味深いものがあります。
同じく金融庁の資料です。具体的な指数を出しているあたり、議論があったと思われます。しかし、こうして投資に資する指数を明示しなくてはいけないあたりが、日本の今までの投資環境の厳しさを物語っています。
アクティブ投信でもピクテのこういう発想のものは共感できます。指数で出されていない視点をもったアクティブ投信は価値があると思います。