新興国ETFを投資のコアに組み入れない3つの理由とは
新興国ETFは人気があります。
しかし、私はかつてVTを通して間接的に投資していたぐらいで直接的な買い入れはしていませんでした。スポット的にトルコETFやロシアETFを買っていたぐらいですね。長期積立ではありません。長期で買うことは、おそらく、これからもないでしょう。
新興国株式は世界経済が弱くなると、とたんに資金が引き上げられるという特徴があります。それを踏まえると逆に、魅力的なボラティリティはあります。チャイナショックやコロナショックの時のVWOの値動きはそれを端的に示したものと言えるでしょう。
そのため、キャピタルゲイン狙いでたまに買いに入ることはありますが、投資のコアとして扱ったことはありません。積極的になれない理由があります。
- 人口減少国を含むETFが殆ど
- 法整備が不十分
- 信託報酬が高い
この3つが理由です。以下触れていきます。
新興国ETFは人口減少国を含むETFが殆ど
新興国ETFだとバンガードのVWOやブラックロックのIEMGやEEMという選択が出てきます。しかし、この2つは構成に中国、台湾、EEMならば韓国を含みます。
ちなみに中国の人口動態です。2030年を前に減少に転じることが見込まれています。新興国=人口増加国、ではないことに注意が必要です。東南アジアであれば、タイなども比較的早い時期に減少に転じます。
中国の人口を例に見てみます。
今までの30年とこれからの30年はまた違う景色になってもおかしくはないでしょう。
引用元:http://www.populationpyramid.net/ja/
これをみてもわかるように、今後中国は急速に老齢人口が増えていくことが予想されています。1990年ごろからの経済成長は人口の増加と歩みを共にしており、この経済成長は今後は鈍化すると見るのが自然でしょう。
もちろん、もともとの人口が10億人超えという数字なので市場そのものの魅力は依然としてあります。しかし、かつてのような高成長というのは見込みにくいということです。みんなが豊かになる前に人口ボーナスを終えてしまう国だということです。
東南アジアならば、インドネシア、マレーシア、フィリピンといった国はもともとの国の規模も大きく魅力的です。また、他地域に目を転じると、インド、南アフリカ、メキシコという国が挙げられます。これらの国は少なくとも2060年ぐらいまで人口が増え続けます。
そして先進国ですが、アメリカも人口増加を続ける国であることは押さえておきたいです。
買うならばこうした国を中心に買いたいということです。人口だけで経済成長が断定できるわけではありません。しかし、最初に人口でふるいをかけて、他の要素を検討するほうが簡単です。最も分かりやすく、確実性が高いからです。
ただし、米中貿易摩擦で中国に覇権が移るようなことがあれば、その限りではないですね。
新興国は法整備が不十分
新興国の場合、法制面での不備は高成長がある程度カバーしてくれます。中国のこれまでの成長などは良い例でしょう。株主尊重の観点からするとアメリカよりも中国は大きく劣ります。しかし、人口の爆発的な成長が株価を支えてきました。
しかし、その人口増加、つまり人口ボーナスがなくなるとなると、魅力は半減すると言って良いでしょう。いずれ内需はもちろん、外需もあてにしなくてはいけない時代が来るということです。
新興国ETFは信託報酬が高い
新興国ETFは信託報酬が高めです。VWOは0.10%、昨今人気のIEMGは0.13%ですから、この点はクリアしています。しかし、国別ETFは0.5%を超えているようなところも少なくないですね。
VWOの場合は中国、台湾、ロシア、タイといった人口ボーナスの終わりつつある国の比重が気になるところです。
バンガードVWOの国別構成比率です。インド、南アフリカ、メキシコ、マレーシア、インドネシアは特に魅力的です。次点でブラジル、中国でしょうか。
新興国ETFはPEレシオベースだと常に安いが
新興国ETFはほとんど常にPEレシオが低めに出ます。例えば最も人気ある新興国ETFのVWOはPEレシオで12倍の水準です。これは、最近売り込まれている日本株とほとんど同じ水準です。
米国ETFがこのごろまで25倍を超えていたのを考えると、魅力的に見えるのかもしれません。とはいえ、PEレシオもろもろ全てを織り込んで値付けされているので、安いと飛びつくのは早計です。
確かなリターンが得られる、国の経済成長に合わせた株式指数の成長が待たれるところですね。
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新興国リスクを低減するのがETFです。考え方は下記の記事と同じです。
トルコリラなどはかつてスワップが高金利と言われていましたが、構造が分かるとそれは言い方として正しくないということが分かります。
アジア通貨も同様に投資先としては微妙です。