たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

定年退職と資産運用の考え方

定年退職と資産運用の考え方

 定年退職時にいくら資産を持っていれば良いのか、ということがよく議論になります。これは明確な答えを設けるのが難しいです。なぜならば、人それぞれの生活スタイル、言い換えると生活コストが様々だからです。

 

 例えば賃貸であれば住居費がかかります。また、食費も好みによって変わりますし、お酒を嗜むかどうかでも変わるでしょう。また、都市部と地方でも生活コストが変わります。

 

 ただ、平均的なところを探ったり、あるいは自分の理想像を求めたりするのは人生設計上意味があると思います。ちなみに、所得水準ではやや古いですが厚生労働省がこのようなグラフを出しています。

世帯ごとの総所得の推移

世帯ごとの総所得の推移

 これは世帯ごとの総所得額の推移です。児童のいる世帯は手取りで700万円程度が所得になっています。

 

 これに対して、年金暮らしの方が多いであろう高齢者世帯は、およそ300万円程度が所得になっています。つまり、平均的な老後を送ろうと思ったら、年金含めて年間所得で300万円程度が目安になるということです。

 

 先般、公務員の定年を65歳にする、しないという国会審議がありました。数十年前までは55歳定年という時代でしたが、今では65歳が定年という流れです。今後、定年は伸びることがあっても短くなることは考えにくく、今の20代、30代が老後を迎えるころには70歳定年というのもありえるのではないでしょうか。

 

 そしてこれは年金の支給年齢とセットであると考えるのが自然です。つまり、年金政策がそのまま定年延長に繋がります。

 

 老後の暮らしは、この300万の所得というのが1つの目安になります。つまり生活できるだけの収入があれば、「自分定年」を設けてセミリタイア、あるいはアーリーリタイアというのも可能になるのでしょう。

 

 こうしたことを踏まえてご質問を紹介したいと思います。

定年退職までに資産運用で1億円作りたい

 いつも勉強させていただいています。

 ブログを拝見させていただき、米国株ETFに興味を持つようになりました。
投資方法について質問させてください。

 

 私は37歳で、妻と子供2人の4人家族で、年収は1000万程度、住宅ローンが2600万ほど残っていて、預金は3800万ほどあります。これまで資産運用の経験はありません。

 

 住宅ローンは、控除が終わったら一括返済する予定です。年金や老後に不安があるので、投資を考え始めました。目標は定年までの23年で1億円の資産を作ることです。

 

 非リスク資産として、定期預金に1000万、リスク資産として米国株ETF(VTI, VOO, VYM)を2700万、という運用を考えています。


 まず、米ドルMMFか短期の米国債を合計2700万分買っておき、毎年500万ずつ、米国ETFにまわすことを考えています。


 現在の2700万を使いきったら、給与所得から毎年300万を米国株ETFにまわす予定です。経済ショックの際に追加投資する資金を残しておきたいのと、待機資金から少しでもリターンを得たいと考え、この運用を考えました。

 

前置きが長くなりましたが、質問は下記の通りです。

  1. オススメの株式ETFは他にありますか?
  2. 毎年の株式投資資金として、500万は私の場合多いでしょうか?
  3. そもそも、この運用は危険でしょうか?

 ご回答の程、よろしくお願い致します。

定年退職への資産運用術

 まず、ご自分で具体的に考えられているという点において素晴らしいことだと思います。資産運用のやり方は千差万別、最適解はあっても絶対解は無い、そういう世界です。つまり、最終的には自己判断になる世界です。ですから自ら考えるということは大変に価値があります。

 

 まず、定年までに1億円ということですが、年収と残年数が十分ありますから可能でしょう。単純に45歳から300万円を定年までの20年貯め続けても6000万円になります。今ある資産と退職金を含めれば十分1億円になります。

 

 また、この1億円という資産額は利回り4%程度で回した場合、税引き後300万ほどの所得になります。つまり、年金が無くとも平均的な高齢者の生活が営めるということです。実際には定年まで働くおつもりでしょうから、年金も合わせると現役世代並みの所得を維持することも不可能ではありません。

 

 利回りだけでも、年金に依存しない人生設計が可能になる、ということです。私の元居た職場でも1億円を勤労収入で貯め、リタイアした先輩がいました。もちろん、元本を取り崩したり、支出を絞ればラインは下がるでしょう。

 

 投資額が大きくなってくると、株式全振りというのが少々激しい値動きに感じられると思います。例えばVTI・VYM・VOOは素晴らしいETFですが、株式ベースですので、個別株よりマイルドとはいえボラティリティは当然あります。

 

 慣れるとほったらかしですが、慣れないと例えば1日で数%、数百万の値動きというのは少々お元気に過ぎると感じるかもしれません。

 

 もっとも、債券のパフォーマンスを懸念して、不動産や太陽光のハードアセット投資、事業化という目線の人もいますね。私がそうでした。やはり、不動産や太陽光というのも目線さえ間違えなければよい投資です。しかしそれは、借り入れに対するとらえ方ということになります。

 

 もっとも、中期目線では債券は注目されてよいでしょう。金利上昇は永遠ではないからです。

 

 私は年間500万の投資額には妥当性を感じます。時間の分散をされているからです。ただ、株式投資というのは基本的にリスクが伴います。長期で見れば米国株は右肩上がりですが、5年10年あるいは運が悪ければ15年という単位ではマイナス運用になることもあるでしょう。

 

 ご質問にある、危険かどうかというと「時には危険もある」というお答えになります。ただし、私たちの生きる時代は、国家やあるいは伴侶にすべてを依存して生きていく時代ではなくなっています。

 

 各自が自立した経済活動をしていくことが求められており、そういう意味では40歳手前から老後を見据えて投資をするというのは理にかなっていると、私は思いますよ。ご質問ありがとうございます。ともにがんばりましょうね。

 

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