たぱぞうの米国株投資

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外貨建て社債のメリットデメリット

外貨建て社債のメリット・デメリット

 外貨建て社債というものがあります。もっとも買いやすく、有名なものはドル建て社債でしょう。日本から買えるものとしては、これ以外にもポンド建て、オーストラリアドル建てなどもよく見られます。

外貨建て社債のメリット

 外貨建て社債のメリットとしては、日本円建て債券に比べると利回りが高いこと、このことに尽きます。

 

 利回りは通貨発行国の金利状況が関係します。ですから、昨今よく話題に上る「トルコリラ建て」だと日本円で発行する社債に比べると圧倒的な高金利ということになります。

トルコリラ建て債券は驚きの20%超えリターンだが?

トルコリラ建て債券は驚きの20%超えリターンだが?

 こちらは楽天證券で現在取り扱っている欧州復興開発銀行のトルコリラ建て債券です。トルコリラに限らず、新興国通貨建て債券というのは高金利を実現しています。ブラジルレアル建て、インドルピー建て、南アランド建て、すべてそうです。

外貨建て社債のデメリット

 こんなに高金利ならば、新興国通貨建ての債券を買えば良いではないか。ところが安易にそうは言えないデメリットがあります。デメリットは主に3つあります。

  1. 為替変動リスク
  2. 価格変動リスク
  3. 信用リスク

 こういったリスクがあります。

外貨ゆえの為替変動リスク

 為替の変動によるリスクです。ドルやユーロ、あるいはポンドといったある程度円との関係がマチュアな通貨に関してはほぼボックスでリスクは低いです。しかし、先に挙げたような通貨は、かつて円がそうだったようにインフレが激しく、通貨価値は下落し続けています。

外貨建て債券は為替リスクとの共存がテーマになる

外貨建て債券は為替リスクとの共存がテーマになる

 こちらはトルコリラ円ですが、長期右肩下がりを続けています。トルコリラに限らず、新興国通貨は対円、対ドルに対してこのようなチャートを描くことが多いです。新興国投資が難しいのはこういうことで、目先の高金利に誘われて投資をすると、通貨価値が金利以上に値下がりして損をするということも珍しくありません。

 

 付け加えて言うと、株式も同じです。株式のインベストメントリターンは通貨価値の下落、つまりインフレの下落を上回るものでなければ得られないことになります。新興国は成長力があるので投資先としては魅力ですが、為替変動リスクはドル建ての比ではありません。

社債そのものの価格変動リスク

 債券も株式ほどではありませんが価格が変動します。金利高になると債券価格は下がり、金利安になると債券価格は上がります。

 

 100円で10%の利回りの社債を発行したとします。金利高局面になり、20%の利回りの新発債がその後出たとします。すると、100円で10%の債券は売れなくなります。そのため、20%にサヤ寄せすべく、100円よりも値下げして取引されるようになります。

 

 これが債券の価格変動です。債券は利回りが見られますので、利回りは価格に大きく影響します。

社債の信用リスク

 言うまでもありませんが、発行体の信用も債券価格に大きく影響します。例えば国債であれば、その国の信用が、社債であればその会社の信用が問われます。利回りはその発行体が担保するものです。

 

 発行体が利払いをできなくなるならば、利回りを保証できなくなります。利払いがゼロになれば、利回りゼロ、債券価格もゼロに近づいていきます。

 

 最初に見なくてはいけないのはこの発行体の信用です。逆に言うと、今にもつぶれそうな発行体の債券は非常な高金利になります。リーマンショック時の銀行債などがそうでしたが、結果的には高金利のお宝債になったところもあります。

 

 反面、ひところのギリシア債などは年利60%超という高金利でしたが、デフォルトしました。モノによっては利払いがリスケジュールされ、発行体リスクが意識される展開になってしまいました。

 

 さて、こうしたことを踏まえてご質問を紹介します。

外貨建て社債の利回りが良いが・・・?

はじめまして。


 たぱぞうさまのブログに出会ってから米ドルでの投資をしたいと日々勉強しています。自営業の夫の収入が不安定なので、自分のおこづかいは自分の資産を運用して得ようと、年利2~3%のインカムゲインを期待できる債券やETFをメインに考えていて、運用できる資金は3000万でキャピタルゲインはあまり望んでいません。


 ETFは、たぱぞうさんおすすめのVYM、VT、BND、QQQなどが候補です。債券は、償還まで売却するつもりはないので米国債や日本企業のドル建て債券がディフェンシブでいいなと思っていますが、たぱぞうさんのブログでは生債券の情報が見つからないのですが、あまりおすすめではないでしょうか。


 SBI証券で販売されている「三井住友フィナンシャルグループ」のドル建て普通社債は約10年物利回りなど米国債よりも良いのですが、どうでしょうか。また、たぱぞうさんが主婦なら、3000万でどのようなポートフォリオにされるか、どうぞご意見をお聞かせください。

外貨建て社債、邦銀のもの

外貨建て社債、邦銀のもの

外貨建て社債か、海外株式か。

 実はかつては社債もすこし買っていたころもありましたが、この数年買っていません。理由は株式上昇相場では明らかにリターンが株式に劣後するからです。逆に言金利高局面ですから、債券も無風ではありません。

 

 「三井住友フィナンシャルグループ」のドル建て普通社債の利回りが米国10年債よりも高金利なのは発行体リスクを気持ち上乗せしているからですね。1つの企業の社債を買うということは、その企業のリスクを含むということになります。

 

 個別株などと同じく分散をしていくのは基本になります。そう考えると債券も私はETFでよいという考えです。

 

 3000万円の運用ということでは、そろそろ債券をポートフォリオに加えても良い水準に来ていますね。私がお勧めするならば、米国株系の投資信託をコアに据え、つみたてNISAの枠を活用しつつ、債券ETFやSlim先進国債券をトッピングするというポートフォリオですね。

 

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