ロイヤルダッチシェルという高配当石油株の歴史
2017年3月の配当記録を記事としてアップしたときにご質問をいただきました。ロイヤルダッチシェルについてです。ロイヤルダッチシェルは言わずと知れた英蘭系の石油メジャーです。
アメリカで最も大きな石油会社がエクソンなのに対し、ヨーロッパでもっとも大きな石油会社がロイヤルダッチシェルということになります。社史に少し触れます。
創業者であるマーカス・サミュエル氏は若いころに日本の三浦海岸で貝殻を拾って、それを出身地のロンドンに住む父親に送ります。貝細工として販売し、父親は行商から商店を持つに至ります。
マーカス・サミュエル氏はロンドン出身のユダヤ人、イギリス由来だということです。
その後、貝細工販売で得た資金を元に、日本の雑貨をヨーロッパに販売したり、ヨーロッパの商品を日本で販売します。そしてさらに資金を増やします。
そこで、当時騒がれ始めた石油開発に乗り出します。ボルネオやインドネシアでの石油開発に成功し、多くのタンカーを所有するに至ります。タンカー王の異名を取っています。これがシェル石油の始まりです。
これに対し、ロイヤルダッチ石油はオランダ領東インド、つまりインドネシアでの石油開発を手掛けていました。オランダ王室の許可を得て石油の採掘、販売をしていたわけです。
その後、今のエクソンモービルに繋がるスタンダード石油とのシェア争いが激化します。スタンダード石油はロックフェラー家が創業者です。
競争が激化したため、シェル石油とロイヤルダッチ石油は1907年に業務提携します。それが、現在のロイヤルダッチシェルです。この提携にはロスチャイルド家の強い後押しがありました。
なお、2社態勢から正式に合併したのは21世紀に入ってから2005年です。
ズバリまとめます。
アメリカ=ロックフェラー=エクソン
イギリス=ロスチャイルド=ロイヤルダッチシェル
こういう流れです。もっとも、ロックフェラー家はスタンダード石油とその後のエクソンで多大な財を成しましたが、2016年に全株を手放しています。
いささか長くなりましたが、こうした背景を元にご質問を紹介します。
ロイヤルダッチシェルA株とB株の違い
dividendsamuraiさんからの質問です。
はじめまして、いつも参考にさせていただいております。少ない銘柄でこれだけ配当収入凄いと思います。ところで私はRDS のA を持っているのですが、Bも現金配当ですか?
イギリスだとは分かっているのですが、現物配当と勘違いしているかもしれません。現金配当ならB に乗り換えようと思ってます。
ということです。
ロイヤルダッチシェルの歴史を見るとA株とB株の違いが分かる
ロイヤルダッチのA株とB株の違いは下記のとおりです。
A株=ロイヤルダッチ
B株=シェル
つまり、A株はロイヤルダッチ、オランダ株なのです。ロイヤルダッチシェルが「英蘭株」と言われるのはそういうことです。同じようにユニリーバも1930年にイギリス企業とオランダ企業が合併したので英蘭株ということになります。
A株はオランダ株ですので、オランダの源泉徴収税がとられてしまうのが難点です。その税率は15%にもなります。10%のアメリカ株以上です。
B株はイギリス株ですので、他のイギリス株と同様に源泉徴収課税がありません。このため、日本の個人投資家にはB株が圧倒的に人気があります。実際に私も配当として得ているのはB株のほうです。
直近の配当利回りは6.6%となっており驚異的です。投資額のわりに大きな配当金が得られますが、資源株は市況により減配の影響を受けることがあります。ロイヤルダッチシェルは今のところ、よく踏ん張っています。ただし、数字は厳しいです。
エクソンとロイヤルダッチシェルを持つということ
私はエクソンとロイヤルダッチシェルをそれぞれ約1万ドル持っています。ロックフェラー系とロスチャイルド系、石油業界の2巨頭に投資をしているということです。
まだまだ投資している金額も少額です。今後しばらくは原油安の状況を見守り、さらに下げる局面があれば倍額程度買い増していこうと思っています。
米国市場に参加していると、こうした歴史上、あるいは世界的な大企業に気軽に投資できます。これが米国株投資の醍醐味の1つと言って良いでしょう。
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1年前の配当利回りは7%を超えていました。しかし、原油市況の回復を受けて株価が上がりましたね。ちなみに、このころの記事はあまり読まれていませんでした。1日500PVぐらいでした。継続とは力なりですね。
ロックフェラー系の雄、エクソンモービルです。2017年になって、私も買い参入しました。
英蘭系のユニリーバです。買いたいリストに入っていましたが、逃してしまいました。40ドル近辺のころが買場でしたね。生活必需品企業はブランドという強みがありますね