たぱぞうの米国株投資

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コンパクトシティの究極は東京一極集中ということ

コンパクトシティは縮小経済を生き抜く行政術

 コンパクトシティという言葉があります。端的に言うと、駅・市役所・病院・高等教育など公共性の高い施設を市街地の中心に据え、その外輪にマンションや戸建てなどの市街地を効率よく配置する構想です。

 

 この10年ぐらいさかんに言われている構想ですが、この2,3年で各地方自治体に意識されるところとなり、多くの自治体で計画策定されています。

もはや東京を中心とする首都圏一極集中は避けられなくなっている

 都道府県の転入・転出超過の状況

都道府県の転入・転出超過の状況

住民基本台帳人口移動報告2019年(令和元年)結果

 人口転入を棒グラフ化したものです。北海道並びに東北の転出の大きさが際立ちます。その中でも宮城の転出数が低いのは、東北の中心都市である仙台への転入があるからです。

 

 同じように、地方都市では名古屋のある愛知、近畿の中心である大阪、九州の中心である福岡、四国の玄関口である香川が大きな存在感を示しています。数少ない転入超ないしは転出少の地域となっており、地方中心都市の重要性が分かります。

 

 また、東京を中心とする首都圏である埼玉、千葉、神奈川各県は大きく転入超過しています。

3大都市圏の人口移動はどうなっているのか

3大都市圏の人口移動

3大都市圏の人口移動

 かつての商業経済都市である大阪はすでに40年以上転入が横ばい傾向です。トヨタやデンソー、アイシンなどを抱える製造業優良地域である中京、名古屋圏も同様です。そういう意味では縮小経済を生き抜く行政術については、地方のほうが切実だったと言えます。

 

 日本全体で見ると、東京というメガシティが日本全体の労働力を需要しつづけたために、首都圏では人口減を切実に感じることは薄かったとも言えます。

全国の市町村のうち7割以上が転出超過

転入超過の多い上位20市町村

転入超過の多い上位20市町村

 転入超過都市は、ほとんどが東京近郊と地方の大都市であることがわかります。

 

 全国の市町村のうち7割以上が転出超過、つまり人口が減っています。転入超過残りの3割は首都圏、あるいは大阪、札幌、福岡、名古屋といった地方中心都市です。

 

 転出が多いのは政令市である北九州市、県庁所在地である長崎市、東北の青森市、八戸市などが目立ちます。神奈川の横須賀市は異色ですが、同じ神奈川県内では箱根と並んで将来的に50%以上の人口減が見込まれています。

 

 これは、東京への距離が遠く、時間がかかりすぎることが原因です。地理的に見ると明確ですが、横須賀は三浦半島の先端、箱根は静岡県境です。首都圏内でもすでに選別が始まっていると言って良いでしょう。

 

 東京、川崎、横浜の一部は2040年ごろまで転入超過が見込まれています。横浜はエリアによる選別があり、都内へのアクセスのよい鶴見区などは2042年まで超過が見込まれています。おそらく、街のイメージも今後大きく変わることでしょう。

このままだと東京中心のコンパクトシティ化がさらに進む

 散漫な市街地の広がりはインフラ維持費の高騰を招きます。また、職住近接、あるいは求職という観点で見ると都市部に転出せざるを得ません。戦後の産業構造の変化は急激に第三次産業へのシフトを見ました。それが、東京を中心とする転出の素地になっています。第三次産業とはサービス、知識の集積が要求されるからです。

 

 江戸時代後期で日本一の人口を誇った地域は新潟県でした。それは、第一次産業、つまり農業、漁業、もっと言うと米作りが盛んであったことや、大阪や江戸へ米を廻送する西回り航路の繁栄と無縁ではありません。産業構造や行政組織の変化が東京への一極集中を招いています。

 

 地方都市がコンパクトシティ化を急ぐのはもっともですが、結局は究極のコンパクトシティである東京への一極集中は、今の社会体制、経済構造、知識・文化の集積を考えると避けられそうにありません。

 

 人口縮小のあおりをすでに受けている地方の浮沈は、首都圏も含んだ政治的な課題になっています。東京にすべての機能が集まり、地方から人の転出が止まりません。地方分権の実現は全国の市町村の切実な願いと言って良いでしょう。

 

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